薮原検校 | 感傷的で、あまりに偏狭的な。

感傷的で、あまりに偏狭的な。

ホンヨミストあもるの現在進行形の読書の記録。時々クラシック、時々演劇。

平成19年5月10日(木) 「薮原検校
」 を観る。




音楽はギター一本,しかも生演奏,ということにまずは衝撃。


しかも,(当然といえば当然だが)うまい。


津軽三味線風の音楽に,ギターがうまく乗っている。


ギターって不思議な楽器だ。ギター一つでどんな音色も作っていける。




舞台の照明とか,造り,とかとにかくすごくよかった。


ロープが橋にも見えるし,道路にも見えるし,暗夜行路のロープにもなる。




一番気に入ったシーンは(色々あるんだけど),


杉の市が上京した際の日本橋でのシーン。演出にかんどーした。


あとは,母殺しのシーン。


「マザコンじゃなきゃ,男じゃない」という三浦しをん氏の言葉を


あわよくば自分のものにしよう,ともくろむ私としては,このシーンで泣かずにおれようか。






さて,物語はひどく残酷で,おぇ,な性描写もあり,


クビから流れ落ちる赤いそばなんて,グロテスク以外のなにものでもない。


最後,保己市検校と薮原検校が語る場面がこの話のメインであると思うが,


「悪」を絵に描いたような薮原検校が一本筋が通ってて潔い。


というよりも,盲人が生き残っていくためには,とにかく「金だ」という考えが


イタイほど分かる。


そして保己市。これは食わせモンですよー。


あえて言うなら,私はこのシーンがあまりスキではなかった。


んー,なんというか,井上ひさしの思想を腹一杯食べさせられた感じ。


でも,いいものはいい,ということ,あまり気にしないことにする。




さて,役者さんたちですが,これはもう文句なしによかった。


古田新太がステキだった。


(薮原検校を軽いノリで演じていた。重厚な薮原検校をお求めの方にはちょっとアレかも。)


段田安則ってよく知らなかったんだけどあんなにお上手だったとは!


田中裕子,うまいな~かわいいな~。などなど。


みな本当にすばらしかった。




この舞台,とにかく変わってる。


古田新太と田中裕子以外は,1人で何役もこなしている。


段田安則に至っては,1人10役くらいしてるのではなかろうか?




<H28.5.12追記>
キャスト、スタッフ等を全く記載していなかったので、Wikiによる記載を転記。
「藪原検校」
蜷川幸雄演出版データ
2007年5月8日 - 31日 Bunkamuraシアターコクーン 6月5日~10日 イオン化粧品シアターBRAVA!
スタッフ[編集]
作:井上ひさし
演出:蜷川幸雄
音楽:宇崎竜童
美術:中越司
照明:原田保
衣裳:前田文子
音響:井上正弘
ファイトコリオグラファー:國井正廣
振付:花柳錦之輔
舞台監督:濱野貴彦
プロデューサー:栗田哲、加藤真規
企画・製作:ホリプロ、Bunkamura

キャスト
古田新太
田中裕子
段田安則
六平直政
梅沢昌代
山本龍二
神保共子
松田洋治
景山仁美
壤晴彦

ギター演奏:赤崎郁洋