シャガール「アレコ」全4作品完全展示
「アレコ ホール」 という 四層吹き抜けの巨大なホール(縦・横 21m、高さ 19m) の各面に 「アレコ」 は展示されています。

第1幕 と 第2幕

第2幕 と 第3幕

第3幕 と 第4幕

第4幕 と 第1幕
バレエ 『アレコ』
原作/『ジプシー』 アレクサンドル・プーシキン 作(1827年)
音楽/ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー 『ピアノ三重奏曲イ短調』 (オーケストラ用編曲)
振付/レオニード・マシーン
初演/1942年9月8日 メキシコ国立芸術院宮殿
上演/バレエ・シアター(現 ; アメリカン・バレエ・シアター)
ストーリー
文明社会に嫌気がさした貴族の青年、アレコは自由を求めて旅芸人の一団に加わり、そこでジプシーの娘ゼンフィラと恋に落ちます。
しかし、ほどなくして ゼンフィラは別のジプシーの若者に心変わりをしてしまいます。
嫉妬に狂ったアレコは、怒りに任せて恋敵とゼンフィラを刺し殺してしまうという悲劇。
メキシコでの初演では大成功をおさめ、上演後のカーテンコールは 19回にも及んだとか。
“ジプシー娘と貴族の青年” の恋物語は、ロマンチック期のバレエ作品にもいくつかあるので、バレエとして格好の題材だったことでしょう。
新大陸 アメリカで 故郷ロシア(現 ベラルーシ)への望郷の念を募らせていたシャガールは、やはり ロシア人でバレエ・リュスの振付家でもあった レオニード・マシーン 共々この作品に没頭していたそう。
第1幕

『月光のアレコとゼンフィラ』
画面に浮かぶのは “月”
月明かりに照らされて宙に浮かぶアラゴンとゼンフィラ。
画面左下にはジプシーの野営テント。
恋人たちは シャガールと妻・ベラの面影をとどめていると言われます。
赤い鶏は アレコとゼンフィラの恋物語の始まりを告げるかのよう。
シャガールの真骨頂である 青々とした幾層もの色彩が画面を覆いつくす、ロマンチックな情景です。
第2幕

『カーニヴァル』
画面に浮かぶのは “雲”
二つの雲は 幸福の絶頂にある アラゴンとゼンフィラ を想起させます。
カーニヴァルの季節。旅芸人の一座と村々を巡り 踊り、歌い、動物たちの芸を披露しながら自由で楽しいひとときを過ごします。
第3幕

『ある夏の午後の麦畑』 フィラデルフィア美術館所蔵
画面に浮かぶのは 二つの “太陽”
ジプシーの若者に心変わりしてしまったゼンフィラを、自分へ引き戻そうと懇願するアレコに対し、ゼンフィラはまったくとりあいません。
右に浮かぶ “目玉” のような太陽は、ゼンフィラとその新しい恋人を凝視しているのでしょうか。
ひとりぼっちで小舟に乗っているのは、おそらく アレコ。
黄金色に輝く麦畑から飛び出している鎌は、まるで 死神を暗示しているようです。
第4幕

『サンクトペテルブルクの幻想』
画面に浮かぶのは “シャンデリア”
そこにめがけて車輪をひく白馬が突進していきます。
もはや制御のきかなくなってしまった アレコその人のよう。
仲良く連れ添うゼンフィラと恋人を目にし、怒りのあまり 我を忘れたアレコは彼女の恋人をナイフで刺し殺してしまいます。
悲しみに暮れたゼンフィラは みずから アレコの持つナイフに身を投げ、恋人の後を追って逝ってしまいました。
自由を求めて 流浪の民の一人となったものの、自由そのもののゼンフィラの奔放さを許せず、彼女の恋人もろとも死に追いやってしまったアレコは、その場に倒れこんでバレエの幕は閉じます。
血塗られたように真っ赤な サンクトペテルブルクの街並み。
それは “北のヴェニス” とさえ呼ばれる美しい古都ではなく、荒涼とした廃墟のような情景。
左下には 残酷な結末を暗示するような 墓地や磔刑のキリストが描かれています。
<アレコ特別鑑賞プログラム>
現在、展示中の背景画に順を追って 舞台用の照明を当てながら、音楽とともに 作品制作の背景、バレエのストーリーなどをナレーションで紹介する鑑賞プログラム(約15分間)を 1日4回上映しています(日本語・英語)。
2018年10月1日(月) - 2021年3月頃 予定
幕切れの場面はCGのアニメーションでバレエ風な演出で上映していました。
とても 凝ったドラマチックな演出。
バレエを全幕で観たかのような充実感です。
これらの背景画は、1960年代後半まで 『アレコ』 上演の度に用いられていましたが、1977年 バレエ団が手放してから 美術作品として後世に受け継がれてきました。
青森県は、1994年に 全4点中 第1、2、4幕を収集したそうです。
フィラデルフィア美術館から借り受けている 第3幕 を合わせて
<全4作品完全展示>
となるのは、美術館開館記念として開催された
『シャガール 「アレコ」 とアメリカ亡命時代』 展 以来、とのこと。
これも観たかった・・・
そんなこと、全然 私の情報網に引っかかってこなかったような。
聞いたとしても、青森県じゃ遠すぎると諦めていたかもしれませんが。
でも、現在のコレクション展に来ることができて、本当に良かった。
想像を裏切らない、というかそれ以上の迫力と興奮でした。
1時間ちかく ホール内で 「アレコ」 の世界に浸っておりました。
フィラデルフィア美術館所蔵の第3幕の背景画の展示予定は、2021年3月迄。
フィラデルフィア美術館 ティモシー・ラブ館長より
「 向こう4年間にわたり、フィラデルフィア美術館は、歴史的建造物の中にある多くのスペースを改修、拡張していくことになります。
この大規模な工事計画によって、1986年に収蔵されて以来、美術館のエントランスロビーに展示されてきたマルク・シャガールの《ある夏の午後の麦畑》を撤去する必要が出てきました。
そこで私たちは、シャガールがバレエ「アレコ」のために生み出したほかの3点の背景画と再び一緒に展示されることを願い、喜んでこの作品を青森県立美術館へ長期貸出することにいたしました。」
(2017年3月)
コレクション展は、アレコホールからスタートし、そのほかにも 青森県に所縁のある芸術家の作品を中心に鑑賞してまわると 最後にまた アレコホールに戻ります。
特に 棟方志功の版画が目に留まりました。

『二菩薩釈迦十大弟子』(1939/1948年)


『丸紋百花譜』(1944年)

青森県立美術館のシンボル ↓

あおもり犬

弘前市出身の美術家、奈良美智氏による作品(高さ 約8.5m、横幅 約6.7m)。
お昼は 美術館内の café 4匹の猫 というカフェでいただきました。

青森県産牛と青森産りんごのビーフカレー \1,080
THE 青森 なメニュー。
ルーはとろっとコクがあって、お肉も溶けてしまいそうなほど柔らかかったです。
たっぷりと堪能した青森県立美術館。
是非 また訪れたいけど、その時には 「アレコ」全4作完全展示を鑑賞するのは難しいかもしれません。
