長崎県東彼杵郡川棚町を歩く3
放浪日2019年8月16日
【片島魚雷発射試験場】で“時が建築する芸術”を眺めています
あもんが彼らの様な戦争遺構に出会った時にすることは
そっと耳をすませたら
こんな詩が聞こえてきました
『強がりな貴方は』
強がりな貴方は『行ってくるわ』と私に手を振った
弱虫な私は『行ってらっしゃい』と言うことが出来ない
貴方の前に現れた運命に逆らえない私たち
私たちはまだまだちっぽけな存在だったから
この国での仕事は無理だと知った時から
強がりな貴方は海の先を見つめ始めたよね
半分の確率なんて残酷すぎる話だけれど
その半分を貴方は希望と私は絶望と考えた
『僕が戦うだけだから』と貴方は別れを告げた
私は貴方へ勇気を与えることに躊躇した愚者だった
今の壁を壊して貴方の傍へ行こうとしたが
全身が震えるだけで悔し涙が止まらない
願うことしかできない私はこう言うしかない
『辛い時はひとりじゃないと思ってね』
強がりな貴方は『帰るのが楽しみやわ』と私に言う
弱虫な私は『帰ってきてまた始めようね』と言えた
あもん詩集~貴方へ~より
おっと!あの向こうにも戦争遺構らしきものがあるぞ!
【探信儀領収試験場】と言うそうです
発射された魚雷を探知する実験などを行っていたと言われています
残念ながら、近くまで行くことはできませんでした
【空気圧圧縮喞筒所】へ戻って来ました
ここで再び、彼らにそっと耳をすませて観ました
そっと耳をすませたら
こんな詩が聞こえてきました
『貴方を失くす それまでに』
貴方を失くす それまでに
私に何ができるのだろう
貴方を失くす それまでに
涙を何リットル流すのか
貴方が涙を流さないように
私は君だけにお茶らける
貴方は私にいつも微笑んで
私はひとりで隠れて泣く
貴方を失くす それまでに
小さな幸を見つけようね
貴方を失くす それまでに
小さな命を見つめようね
【片島魚雷発射試験場】では
全国から志願または学徒動員された数万人の若者たちが訓練を受けていました
ここから出陣し、尊い命を落としたのは、3511人と言われています
ということで、続きます