幸と不幸と現実と 51 | あもん ザ・ワールド

あもん ザ・ワールド

君へと届け 元気玉

この物語は『半フィクション』です
どれが現実でどこが妄想なのかは
読み手であるあなたが決めてください
この物語は1996年から1997年の
あもんの記憶の中の情報です
現在の情報とは相違がありますので
ご理解ご了承お願いします





『この島のバラモンって知ってる?』
『ああ、知ってるで、凧のことだろ』
『そうそう、島では子供の厄を払って成長と出世を願って、初節句に飛ばすらしい』
『あのバラモン教とは関係あるのかな?』
『いや、全く無いらしいぜ』
『バラモンとは方言で荒くれ者とか向こう見ずとかの意味らしい』
『バラモンにならない為にバラモンを飛ばすってこと』


ガラガラ声のハカセが知識を語り始めた
ハカセはきっと勉強は嫌いだが、熱心なんだと思う
何事にも興味を持って接し、教えてもらうより自分で調べるタイプだ
親しみやすい性格に話が上手だから、調べたことを堂々と人に伝えらる
サカナ組のメンバーもハカセのように知識が広くは無いが勉強嫌いな熱心は多い



『うしろの しょうめん だ~れ~が、大嫌いだったんじゃ』
秀さんが焼酎3杯目で語り始めた
『振り向くことも振り向かれて止まることも大嫌いだったんじゃ』
『200X年ってどんな感じになると思う?俺はな、、、』

『政府がバク転禁止令を発令した年に匍匐前進推進委員会が発足され
タイムマシーン壊滅運動が過激となりクラス対抗400mリレーが体育祭から消滅する』
『憎しみのカルマが放送禁止用語となり苦しみのメビウスリングを解く達人が有名となる』
『ネバーエンディングストーリーが日本剣術界の奥儀に加えられ「過去の惑星」というドキュメンタリーが娯楽映画となっいる』
『と思う』
『この年の紅白歌合戦の大トリは“きのう レクイエム”じゃろう』
『レクイエムって知ってる?鎮魂歌。キンコンカンコンじゃねえよ』



ダメだ。秀さんは疲労と酒でおかしくなってきている

『おしくらまんじゅう おされて なくなが大好きだったんじゃ』
『どちらかと言えば、ゲンコツ先生とするのが大好きだったんじゃ』

と言った秀さんはそこから何もしゃべらなくなった
多分、もう少しで眠りにつくであろう

おかしくなってきているのはもう一人いた
怪しいビジネスマンだ
『俺、この前、不幸の手紙が届いたんだ』
『だから、こんなを返事書いてみたんだ』






拝啓 不幸様
いつも僕の傍に近づいてくれてご苦労様です
綴られているあなたの警告は有難いものです
確かにあなたは間違ってはおりません
生きていれば不幸は三時のおやつみたいなものですから
無かったら無いで少し寂しい気持ちがするものです
あなたの警告 
今日は謹んでお受けします
だけど明日はちょっと忙しいので受け取れません


明日は微笑むのが忙しくて受け取れません

もしも僕の明日を五億円で買ってくれる人が現れても
僕はさらさら売る気はありません
それは僕の明日だからです
僕だけが味わえる僕の明日だからです
決してあなたの明日ではないのです

不幸な人は 沢山います
きっといます
だけど、昨日より不幸な人はあまりいません
ほとんどいません



『どう?どう?』
と聞く怪しいビジネスマンに答える人はいない
こんな時、彼に返事を返してくれるのはいつも優しい大将であった
『ビジネスマン、この五島っていう焼酎は旨いな!』
『どの島で作ってるのかと思ったら、熊本県かよ!なんでやねん!』



血潮をビールで沈めた砂糖さんは一言も話すことは無かったt>


『こんばんわー酒宴組のはしごで来ました~』
『ヒラコって言います!』

と現れたのは、いかにも女子高校生であった
『おお、酒宴組に洗脳されたヒラコじゃん』
『はい。お兄ちゃんたちも来てます』

あもんと同じ年ぐらいの島の若者が後ろにいた
『これ、よかったらどうぞ!』
島の若者達は島で採れた新鮮な魚やイカを持ってきてくれていた
福江ねぶた様様である
あもん達がキャンプしている公園は島の若者を加えた大宴会となっていった
『わたし、卒業したら、絶対、青森行きます!』
『島の代表として本場で跳ねます!』

ヒラコは嬉しい主張をあもん達にしてくれた
ヒラコは福江島の女子高校生であり、小学生の頃から福江ねぶたに参加していた
島民の中でもねぶたの情熱を早く覚えた子であり
中学生で酒宴組の跳人グループに参加するようになった
今は青森で跳ねたいという嬉しい夢を持っている女子高生である







『ミス福江っているの知っています?』
『ええっ、いるの??』

島の若者は優秀な情報を教えてくれた
『一応、いるんです。友達だから、言っておきますね』
『明日、サカナ組さんが一緒に跳ねようって』

福江ねぶた様様様である
『あっ、市役所にも若い子いるんですよ。二人だけですけど』
『市役所もグループ参加していますから、一緒に突入しますか!』

『おおおおおー』

あもん達のやる気は一気に高揚した
福江ねぶたは早くも明日が最終日である
あもんはねぶたの情熱を燃え尽くすために今日はしっかり飲んでしっかり寝ようと決めた




続く