幸と不幸と現実と 42 | あもん ザ・ワールド

あもん ザ・ワールド

君へと届け 元気玉

この物語は『半フィクション』です
どれが現実でどこが妄想なのかは
読み手であるあなたが決めてください
この物語は1996年から1997年の
あもんの記憶の中の情報です
現在の情報とは相違がありますので
ご理解ご了承お願いします


あもんは一ヶ月半ぶりに魚谷アパートへ帰ってきた
北海道からの帰路であもんは“幸と不幸と現実と”についてずっと考えていた

『幸せは妄想している時が一番幸せやから、そういうことにしよ!』
ミクねぇは最後にそう言った
『幸せって妄想なのか?幸せって現実なんじゃねぇのか?』
あもんの思考回路はそれをグルグル循環させていた


幸せとは確かに感じるモノであり、目に見えるモノではない
目の前にある現象に対して感じることが幸せだ
幸せにはそれぞれの理由がある
幸せとはある現象があるからこそ存在する感情だ
妄想とは無いモノが根底にある
“ありえないもの”が妄想であり、幸せが妄想なら、幸せは無いモノとなる
幸せが無いということは絶対にない
あもんは北海道の旅で幸せを感じた
皆で踊っている時、語り合っている時
二人で笑っている時、少し距離を置いた時
ひとりで考え込んでいる時、何も考えていない時
北海道という舞台で大学4年生の若輩者が“幸せだな~”と何度も感じたのだ
『幸せは妄想している時が一番幸せ』ということは
現実にないモノを夢見ている時だけが幸せで
夢を叶えると幸せは無くなってしまうという理論だ


なら、あもんが感じた幸せは何なのだ?
あもんの感じる幸せは薄っぺらいモノなのだろうか?


いや、違う!
あもんは北海道の旅が楽しかった!
色んな人と出会い、色んな自分と出会い
これほど喜怒哀楽が現れた1ヶ月半はない
そう、自分が自分でいられたのだ!
あもんがあもんらしく生きていけたのだ!
それが幸せだ!!あもんの幸せだ!


ん?それっぽっちの幸せか?
ミクねぇの言っていた幸せはもっとレベルの高いモノではないのか?
今の幸せよりレベルの高い幸せ?
なんだそれ、、、、、
いや、確かにあもんは北海道で幸せだった
あもんの幸せは現実であったのだ


不幸こそ、妄想だろ!
不幸は不幸と思わなきゃ不幸ではない
あらゆる災難も個人の感じ方で違うではないのか
『私は不幸よ』と言っている人は
『不幸であることに気づいた自分を慰めてよ!』と言っているだけじゃねぇか
そういえば、ミクねぇも自分のこと不幸って言ってたな
でも、あもんはミクねぇを慰めなかった
敢えて、今の自分に挑戦する機会を与えたたのだ
彼が亡くなった山という怪物に一緒に挑戦し
万年雪の麓で命の始まりを一緒に確かめた
ミクねぇはそれで変わったと思う



『今から、“幸せ”をはじめようと思ったの』
『今まで不幸だったんだから、いいでしょ。幸せはじめたって』

ミクねぇは利尻島の万年雪を見てそう言った
幸せを始めるって何なんだ?
不幸だったからって、どうしてだ?
幸せは今から始めるものでは無く
今までにあったことで気づき感じることだろ!
不幸と思っていたとしても、その中に小さな幸せはたくさんあっただろう
ご飯が美味しかったとか、今を忘れられる景色を見たとか
人に優しくしてもらったとか、今を超えるチャンスをもらったとか
そんな幸せはレベルが低いものなのか?


ミクねぇの不幸は確かに重かった
今のあもんには決して耐えられない重さだろう
でも、ミクねぇは諦めていなかった
ミクねぇは今の不幸に打ち勝つ幸せを始めると言った
ミクねぇの不幸に勝つ幸せって?

おい!ミクねぇの幸せって何なんだよ!

俺はどうしたらいいんだよ!

ミクねぇのこれからの幸せのために、何したらいいんだよ!






北海道の小樽から新潟の舞鶴までフェリーで20時間
舞鶴港から広島県福山市の魚谷アパートまでバイクで4時間


あもんはこんな質疑応答を続けていた


『もしかして、答えはこの中にあるんじゃねぇのか?』

と魚谷アパートの玄関を開けてみたが
そこにはカビ臭い部屋があるだけだった
考えすぎて疲れたあもんはすぐさまベットに寝転んだ



『あぁーーミクねぇと会って話したいよ!』
『ずーっと、一緒に幸と不幸と現実を考えたいよ!!』


あもんは2時間ほど寝た

起きたあもんは不在中に届いていた2通のはがきを見た



安曇野説法会開催

場所:長野県安曇野市黒沢キャンプ場
時:1996年9月20日頃の誰かが来る日~誰かが帰る日まで
参加資格:世界統一ライダー教会入会者
主催者:ルイ・アントリーヌ・フロレルド・サンジェスト


もう一通のはがきを見た

おい!あもん!帰ってきたか?
安曇野説法会、行くと?
俺は9月20日午前9時頃に大阪の泉大津港に現れる
今回は車だ
よかったら、乗ってけ

まぐろ大将より愛を込めて♡



あもんは決して現実的ではない2通のはがきを見て
次なる旅の準備を始めた


続く