幸と不幸と現実と 20 | あもん ザ・ワールド

あもん ザ・ワールド

君へと届け 元気玉

あもん史 妄想編

幸と不幸と現実と 20


この物語は『半フィクション』です
どれが現実でどこが妄想なのかは
読み手であるあなたが決めてください
この物語は1996年から1997年の
あもんの記憶の中の情報です
現在の情報とは相違がありますので
ご理解ご了承お願いします


青森フェリーターミナルでの朝も8日目を迎えた
ねぶた祭りも終わり、今年の目的を終えた跳人ライダーは徐々に新たな地に旅立っていった
一時は数百人はいたであろう旅人が今は数十人に減っており
青森フェリーターミナルは閑散としていた
あもんもそろそろ、北海道に上陸する気でいた
今回の旅の最終目的は青森ねぶたでは無い
北海道に再び上陸し、昨年感じられなかったコトを感じ、吸収して成長に繫げる気であった
まだ、大学の夏休みは一カ月以上ある
あもんはそろそろと思い、少しずつ荷造りをしていた

『あれ?もう帰っちゃうの?』
と話しかけてきたのは、ハッカイさんだった
『はい。そろそろ、北上しようかと思いまして』
『そうか~北へ上がるのか、いいな、学生は、時間が合って』

というハッカイさんは3ヶ月前までオーストラリアを旅しており、今はまだ定職についていない
『ハッカイさんは北上しないのですか?』
『ああ、俺は寒いの苦手なの。また今年の冬もオーストラリアに行く気だから、準備を兼ねてちょっと地元でバイトするかな』

というハッカイさんの地元は長野県である
『あっ、あもん、今年の安曇野説法会に来いよ。みんな来るらしいぞ』
『安曇野説法会?』
『毎年、9月の終わりに長野の安曇野でキャンプするんだ』
『説法会って、なんか怪しいっすね』

『なんか、ムッシュがそう言っているだけだから、気にせんでもいいけどな。ただ、みんなでぐうたらするだけだ』

『あもんも、もう世界統一ライダー教会に入会したからな』

と話しに入ってきたのは片手に缶ビールを持ったムッシュさんだった
ムッシュさんはこの祭りの期間中、缶ビールを手放したことが無いのか?と思った

『なんっすか?それ?勝手に入会させられてるし!』
『アホ!世界統一ライダー教会はな世界の恒久平和の為にな、まずビールを飲んで、メッセージを世界に発信してな、気持良くなるというのが教義や』
『え?ワシの名前か?ワシの名前はルイ・アントリーヌ・フロレルド・サンジェストや』
『はっかいさん、ムッシュさん、まだ酔ってますね』
『ああ、間違いないな。そっとしとこ』

今のここに残っているメンバーで北上するのはあもんの他にシンさん、サラミさん、森ねぇ、ミクねぇであった
その他にもう北上してしまったメンバーもいた

あもんが荷造りをしていると、地元の消防団の方がたくさんの食材を持ってきてくれた
そして、瞬く間に青森フェリーターミナルは新鮮な魚介類のバーベキュー大会となった
消防団の方はここに残っているみんなに声をかけ、みんなが輪になり新鮮な魚介類を頂くことになった




『じゃぁ、そろそろ、行きますわ』
とあもんはみんなに別れを告げバイクに跨った
『あっ、あもん君のバイクから煙が!』
『バイク壊れてんじゃない!!』

と教えてくれたのは砂糖さんだった
『え?マジッすか?』
あもんは急いでバイクの後方を見た
『え?』
とそれを見つけた時、後ろには砂糖さんの笑顔があった
砂糖さんがあもんのバイクの後ろで煙玉に火をつけ煙をだしていたのだ
『ちょっ、ビビったじゃないですか!』
『あははっははは』

いつも寡黙な砂糖さんは時にお茶目になる
筋肉質で坊主頭の砂糖さんがお茶目な姿が可愛かったのであもんは怒る事は無かった
しかし、後ろブレーキホースが若干溶けている気がした

『あもん、小さくまとまんなよ!』
とハッカイさんが別れを告げた
『安曇野説法会で待ってるわ』
ムッシュさんはバーベーキューでベロンベロンになっていた
あもんは見送ってくれた人とみんなと握手をしてバイクに跨った
あもんと同じく後から北上する仲間とも握手をした


もしかしたら、また何処かのキャンプ場で会えるかもしれない
もしかしたら、もう一生会えないかもしれない
だけど僕たちはもう一度会うことを夢見て旅に出る
それがいつかは知らない方がいい
それが偶然であればさらに嬉しいから
それが必然であれば旅に出た理由が見つかるかもしれないから
旅人同志はサヨナラと言って別れを悲しまない
またな!と言って別れを楽しむのである







『それは あなたです』

はじまり はじまりと
幕を上げるのは
あなたです

ひとつ ひとつ 積み上げていった石が
大きな 大きな 山となった時 
あなたは どうしますか
ただ 傍観するだけですか
思い切って 蹴飛ばしてみますか


さよなら さよならと
幕を下ろすのも
あなたです

夜空は ずっと 夜空じゃないよ
満腹は いつまでも 続かないよ
朝日が いつも 待っているよ
あなたは 決して ひとりじゃないよ

いまから いまからと
舞台に立つのも
あなたです


今はまだシルエットな仲間たちも
やがて素顔が見えてくるよ

そして 共に歩んでいくよ

あもん詩集~島国からの贈物~より




『友達』

人と人が出会ったら
紡ぎ始める見えない糸
はじめまして の一言で
決して切れない見えない糸
楽しいね の一言で
結んでいくのはちょうちょう結び
またいつか の一言で
より強くつながる糸と糸
遠くに離れればさらに
きつく締まってほどけない
時の数ほど想えばさらに
結び目が無くなり一本の糸に


また いつか会う
また きっと会う

それが友達
ずっと友達


あもん詩集~島国からの贈物~より






あもん史 ~妄想編~
『幸と不幸と現実と』
第1部 完





第2部へ続く