あもん史 第三十八章 馬鹿 | あもん ザ・ワールド

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君へと届け 元気玉

“大応援団”の創造
そんな誇大な夢が定まった第30代応援団は動き始めようとしていた



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しかし、大きな事を言ったもの
第30代応援団は実は不安だった
新入生も未だベジータ一人である
自分たちには魅力がないのか?
多分、そんな疑問を全員が抱えていたのだと思う
だけど第30代応援団は誰一人それを口には出さなかった
負け惜しみではない
我々が第30代応援団なんだとう誇りが強かったからだ
まだまだ負けてはいないという意志が強かったからだ
魅力が無いのは己に克つことを精進していないからと知っていたからだ


そんな時である
第30代応援団に入団希望者が来た
彼は2つ隣の部室である柔道部員であった
そう、あもんと愉快な仲間たちのノリと大ちゃんがいる柔道部である
彼は今時の高校生では珍しい角刈り男子であった
昔から柔の道を真面目に志していた男志であった
ノリと大ちゃんに洗脳されていない志士であった
彼の名をカズと言った

『何で、応援団に入ろうと思ったんじゃ?』
あもんが聞いた
『いや~皆さんが弾けていまして!僕も皆さんのようになりたいな~と思いました』
つまり、こうである


あもん達は厳しい練習が終わった後
必ず校庭で遊んでいた
テニス,バトミントン,野球,ケイドロ,チャリレース,エロ本鑑賞などなど
柔道部と仲がよかったあもん達は時折柔道部も一緒に遊んだ
その中にカズはいたのである
柔の道を究めた志士は柔軟に弾けたかったのである!
あもんは言った
『お前、ええとこ見とるの~よっしゃ!弾け方教えちゃるけん!』


第30代応援団はカズの入団を承諾した

カズの入団を期に
とっても単純な第30代応援団はノッてきた
『よっしゃ~このついでに柔道部の部員を全員臨時応援団にしようや~』
満場一致で賛成だった
とっても単純な発想である
しかしその単純さがよかったのである
ノリと大ちゃん,
それに加え2年生であるイグリとよっしーも臨時応援団に入団した
『お前ら!柔道の練習は?』
そのセリフは誰一人言わなかった


その後、第30代応援団は波に乗り
後輩男女約20人が臨時応援団に入団した
ちなみに女子はチアリーダーをして試合を盛り上げる



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“野球の応援の構想”が固まった第30代応援団は
構想を実現させるために動き出した
今までとは異なった応援形態となるため
様々なシュミレーションをしなければいけない
それには野球部の練習試合を有効に使うことした
どんなタイミングで音頭を放ち
どんなタイミングで切り替えをするか
実際にスタンドに立って試行錯誤が始まった


なにか違う,もうちょっと違う,ん~
4人は悩んだ
『魅力のある応援』は
『楽しい応援』であるという仮説が生まれ
4人は『楽しい応援』を試してみた


我々 第30代海田高校応援団は
応援馬鹿である


いつの間にか試合に夢中となり
いつの間にかいつもの『カープの応援』をしていた4人がそこにはいた
礼儀も規律も無くただ『おおぉ』とか『よっしゃ』とか叫び
メガホンで頭を叩き合う応援
型を破り過ぎである‥


だけど、それが観客として楽しいのである
第30代応援団は一般観客にそうなっていもらいたかった
礼儀規律を重んずる応援の中で我々が
どんなアクションをすれば一般客がひとつになってくれるのか
どんな声をかければ“大応援団”で応援が出来るのか
第30代応援団幹部4人は
それぞれの答えを得て球場を後にした


『超えるには まず 真似から始まるのである』
馬鹿な誰かが偉そうにそう言った





『馬鹿は真面目にやってこそ正真正銘の馬鹿になりえる』
別の馬鹿が偉そうにそう言った






『馬鹿になってこそヒーローになれるのである』
もう一人の馬鹿が偉そうに言った






『馬鹿は承知さ応援団である』
最後の馬鹿が言い継がれてきた応援団の言葉を
自分が言い始めたような顔をして言った




そうして、第30代応援団の野球の応援は始まったのである