あもん史 第三十七章 改革 | あもん ザ・ワールド

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君へと届け 元気玉

『誰からも愛される応援団』を創る
それがあもん達第30代応援団の夢であった

夢を実現させるために
練習が終わった後部室で
寄り道の公園で
帰宅後の誰かの家で
あもん達は語り明かしていた


あもん達には時間があまりなかった
もう応援団最後の『野球の応援』まで数週間しかなかったからだ


誰からも愛されるということ
それは人を動かすことが出来るということ
それには“人としての魅力”が必要ということ
魅力とはみんなとは違うということ
今までの応援団とは違うということ
それには『改革』が必要ということ


それが第30代の辿り着いた答えだった

第28代以前の野球の応援は応援団と観客とは少し距離が離れていた
応援する者と観戦する者
第28代応援団はその観客を応援団が囲むという改革をした
あもん達は当時1年生
改革の難しさを未熟ながらも体験をしていた
あれから2年‥
あもん達第30代応援団は

『観客全てが応援団になって欲しい』と思うようになった



団長である たっひーが主張した



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応援には一体感が必要である
観客を応援団にするには全員をまとめるリーダーの仕事が大切になってくる
いままでのリーダーはグランドの方へ向かっており
観客はリーダーの背中を見て応援をしていた
そこには大きな境界がある
オーケストラの指揮者は演奏者に背を向けてはいない
あくまでリーダーは観客の方を向かなければならない
ただし、試合状況を分かるようにサイン者を観客の後ろに立たせ
試合の実況応援を目指すこととする
リーダーはスタンド全体を仕切ることを役割とする
それによって海田高校応援団は成立する

目標は『カープの応援』である

ビジョンが定まった



親衛隊長である あもんが主張した
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応援には選手に届く声が必要である
選手に届く声とは
『大きな声』ではなく『多くの声』である
それが歓声というものである
一人の応援団の声より10人の観客の歓声が必要である
ここでひとつ仕掛けを仕掛ける
観客にメガホンを持たすのだ
それにより10人の歓声は大歓声と成長する
さらにもうひとつ仕掛けを仕掛ける
スタンドを盛り上げる演技を創ることだ

今までの型にはまった応援団の演技では観客は拍手するのみである
得点を入れた時観客がバカ騒ぎする演技が必要である
それには型を破ることが必要である
だったら長い間部室に飾られている“大しゃもじ”を使おうじゃないか
音戸はもう決めてある これである
『宮島さんの神主が おみくじ引いて言うことにゃ
 今日も海田の 勝ち!勝ち!!勝ち勝ち!!!』


目標は『カープの応援』である

ベクトルが定まった


リーダー部長である EIGが主張した




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演技には感動が必要である
感動を与えるのは声と動きである
静と動 この二つを巧みに操ることによって感動を与える演技は成立する
しかし忘れてはいけないのは“流れ”である
感動を依存させる流れである
人は皆流れに流され魅了されるのである
この演技には敢えて“静”を省くものとする

代わりに“馬鹿”を加えるものとする
『馬鹿騒ぎ』
この時こそ人間は最大の力を発揮し大歓声は生まれるのである
だからこの演技には決まった動きを付けるのはやめることとする
『押忍』の掛け声も省くものとする
リーダーは感動体全体で表現し踊れ
“大しゃもじ”を振りかざし踊れ
そしてスタンド全体を踊らせろ!
踊れや! 踊れ!! 歓喜せよ!!!


目標は『カープの応援』である

プレジャーが定まった






副団長である ボブ西が主張した





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大歓声を湧かせるには共鳴が必要である
観客の背中を押し上げる拍手と声が必要である
その役割は我々応援団のバックである
しかし残念ながら我々応援団は数が少ない
共鳴させる楽器が手薄である
ならば、もうひとつ『型』を破ることとする

海田高校全体の応援団を創造するために
一般生徒から臨時応援団を集うこととする
今が良い時期である
体育祭の応援を経験した者は感動の余韻が残っているからである
応援団に憧れを持ちつつキッカケを作れなかった人も中にはいるものである
加えて観客動員数も重要な役割をみなす
それには宣伝が必要不可欠であり
校内放送をし校内新聞を配布することを必要とする
スタンドを響かせるには数が必要である


目標は『カープの応援』である

ステップが定まった


我々 第30代海田高校応援団は


応援馬鹿である


たった数週間のうちに伝統深いカープの応援団を越えようとしていたのである

最後に 4人のバカは同じことを主張した

我々は“大応援団”を創造することに勤しむべきである