あもん史 第19章 後悔 | あもん ザ・ワールド

あもん ザ・ワールド

君へと届け 元気玉

あもん ザ・ワールド




海田高校応援団の発祥は同好会である
野球の応援用に作られた同好会である
夏の甲子園を目指す球児の想いは
生徒にも伝わり
母校を愛する者が集い応援団が生まれた




よって応援団の最大の行事と言えば「野球の応援」である




炎天下の球場の中

広いグラウンドの中でこだまする応援団の声

戦っている球児に届けと応援団はエールを送る

各球児の応援マーチに沿って型を切り

『かっ飛ばせ』とエールを送る

ヒットが出れば歓喜の拍手を送り

エラーをすれば『ドンマイ』とエールを送る

ピッチャーがひとり苦しんでいる時があっても

バックには8人+1人がいるんだとエールを送る







あもん ザ・ワールド






僕たちはみんな仲間なんだ




母校がひとつとなり

勝利と言う目標に邁進し

己の限界を超えるほど戦った後には

『必死』という麻酔がかかる

『必死』と『夢中』が融合された時

『没我』と云う言葉が生まれる

没我は人間をある状態にさせてくれる








あもん ザ・ワールド







“ハイ”である

ここまでくればもう苦しいものは何もない

苦しい感覚が楽しくてしようがないのだ

たったひとつのボールの行方を

僕たちは楽しんで追いかけていったんだ






そして、僕たちは、負けた







あもん ザ・ワールド






苦しみの先が見えたのに負けた











くやしかった









この時よりも悔しかった







泣き虫先生の愛のムチは無かったけど
この時よりも悔しかった











『没我』と云う言葉がやっと見え始めたけど
この時よりも悔しかった








あもんはダメな応援団員である

あもんのエールは球児に届かなかったのである

だから、負けたのである

あもんは一人では何もできないのである

一人で『没我』の世界に飛び込んでも無駄だったのである

ごめんよ、ごめん

あもんは今までを懺悔するよ













眠れない夜にあもんは考えた

『ひとりでだめなら、みんなでつくればいいんだ』







海田高校生全員が応援団となり
海田高校生全員で没我を創ろう

そんな夢が生まれてきたのである







後悔は夢を産む







岡村孝子 『夢をあきらめないで』









優しい歌声が

この夜の眠り唄となった