武田さん、斎藤さん、ありがとう | あもん ザ・ワールド

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君へと届け 元気玉

22時30分
僕は車のドアを開けた
『ふぅ~』
毎日繰り返すこのため息
僕は煙草に火をつけエンジンを賭けた
『あもんさん! こんな遅い時間までご苦労様です』
カーナビのナビゲーター“日向えり”さんが僕に話しかける
毎日こ
22時30分
僕は車のドアを開けた
『ふぅ~』
毎日繰り返すこのため息
僕は煙草に火をつけエンジンを賭けた
『あもんさん! こんな遅い時間までご苦労様です』
カーナビのナビゲーター“日向えり”さんが僕に話しかける
毎日この時間に同じ言葉で話しかけられる
『今日も最後の会話はえりさんか‥』
僕は独り言を言いつつ煙草をひとくち飲み、ふと今日のセリフを思い出した






『なんでそうなん!?ちゃんとやろうや~』
与えられた仕事の責任感が年々重く感じ
達成感までの時間が年々長くなっていく気がする
伝えたいことを伝えられないやりきれなさ
指示した以上のことを望んでしまう愚かさ
もどかしさと苛立ちがすぐ沸騰してしまう、弱い自分
ついついきつく当たってしまう卑怯者の僕
口に出しことをすぐに否定する勇気がなかったので
重い雰囲気を創った自分はその場から逃げた
これじゃ~ダメだ 全くもってダメだ
苦労の先のあなたの笑顔はまだまだ想像もできやしない






『帰って‥早く寝よう‥』






帰るまでに眠ってしまってはいけないので
僕はFMラジオからHDDプレーヤーに切り替えた
ディーゼルエンジン音に邪魔されながらこの曲が流れた









斎藤和義 『おつかれさまの国』














今宵は満月
今、この曲は日本中で流れていたみたいだ
何を言っても反論され『私が貝になりたいよ‥』とつぶやく政治家
会社の歯車になってしまったことに気づいて、NOと言っているサラリーマン
『派遣だからしょうがないよ』と言われ、わかっちゃいるけど納得がいかない派遣労働者
育てる使命と母性本能で愛を捧げたため、愛貯金が少なくなっている新生ママ
『ウザいと言われるために育てたんじゃねぇ』と布団の中でつぶやく親父
何のために今こうしているのかを探す暇がない受験生
自分遺産を貯める旅に出ている大卒OL






みんな、みんな疲れているんだよね
疲れているからこの言葉が必要なんだよね





だったらこう答えておくれ











ありがとう
大丈夫です
おつかれさまです










冷蔵庫にアリナミンは無いけれど
もう一度この曲を聴いてから眠りにつこう