ミナミのクニのカゼ | あもん ザ・ワールド

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君へと届け 元気玉

あもんは「いいサー」ということばが好きだ

「~サー」というのはよく聞くことが出来る琉球語で

あまり細かなことを気にしない

なおかつとても前向きなことばだと感じる

ほんの少しいい加減さが混ざっているのが人間らしく

オバァが言うととても可愛らしく思えるのは僕だけだろうか

沖縄はこの「サー」の風が流れているから

楽園なのである

 

沖縄本島北部本部半島の北西約9kmの洋上に浮かぶ伊江島は

この島特産の落花生の形をした楕円形の島である

この島でのシンボルは城山(ぐすく山:192m)である

本当からでも眺められるこの山は島の守り神として崇められている

「イータッチュー」と島人は言うみたいだ

この島のことばで「尖がっている」という意味らしい

このイータッチューが何処からでも眺められる平地が多い伊江島は

ダイビングや釣りの穴場的存在であり多くの旅人が訪れる

テッポウユリでも有名なこの島では白いじゅうたんが敷き詰められる

86000平米の敷地に20万本の花が咲くのは見てみたいものである

 

この島は戦跡めぐりもできる島である

戦時中、東洋一と言われた飛行場があったこの島では

沖縄北部で最も激しい戦闘が行われたところでもある

1945416日米軍上陸

1500人の島人と約2000人の軍人がこの島で眠った

この島にある「公益質屋跡」は当時の激しさを見ることができる

昭和4年に質屋として建てられたこの建物は

当時では珍しいコンクリート造りだった

戦争で島の建物がことごとく破壊された中

多くの砲弾跡を残しながら今も実存する建物である

伊江ビーチ周辺に広がるリゾートエリアの一角に

「ヌチドゥ タカラの家」という資料館がある

「命こそ宝」という意味の名前のこの資料館には

反戦平和を唱えるものが展示されている

伊江島は現在も面積の約35%を米軍用地で占め

北西部は米軍演習場のため立ち入り禁止となっている

 

集落を歩いていると

集落の庭にさび付いた鉄の塊をみることが出来る

当時の戦争道具や機関銃がなにげなく飾られているのだ

台風の影響で生暖かい風が吹いている

悲しみの舞台となった当時でも

この風はおそらく吹いていただろう

「いいサー」と風が吹いていたのだろう

島人は悲しみに涙した後

「いいサー」といいながら

平和を望んできたのではないかと思った

☆ 

『島国からの贈物』

『ミナミのクニのカゼ』

 

2004622日 沖縄県伊江島にて

 

ミナミのクニのカゼが吹いている

 

いいサー

 

あつくて いいサー

 

ねむれば いいサー

 

こわくても いいサー

 

あしたで いいサー

 

どうにか なるサー

 

てね

 

 

 

 

 

『タイム イズ マネー』と言った人は

 

 

 

 

 

たぶん沖縄に旅をしたことがないのだろう

 

 

 

 

 

沖縄には独特のタイムが存在する

 

 

 

 

 

次回更新 『ウチナータイム』