屋久島 | あもん ザ・ワールド

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君へと届け 元気玉

「スタンド使いはスタンド使いにひかれあう」

日本漫画の超大作「ジョジョの奇妙な冒険」で

荒木飛呂彦氏が綴った格言だ

その格言はもう実証されている

なぜなら

「旅人は旅人にひかれあう」からだ

 

僕は、屋久島の青少年旅行村に12日間ほど滞在した

ここに来る前、北海道で出会った仲間にはがきを出した

「いまから屋久島に行きます」 するとその返事には

「わたしたちも屋久島に行くところです」であった

 

北海道で別れ、年賀状でおめでとうと言い合った次の会話だった

屋久島に滞在して数日間目

そういえば彼らはここに来ると言っていたな

と思い出していると

彼と彼女は本当にやってきた

それから楽しい宴は毎晩続いた

 

携帯の普及していない時代

たった一枚の便りで繰り返された再会

旅人は旅人にひかれあうとはこのことであろう

 

そんな運命的な再会の数日前

ひとりでキャンプしている僕におじさんが話しかけてきた

作務衣姿のおじさんは「親水」と名乗った

親水さんは毎晩のようにやってきた

そして毎晩語り合った

 

親水さんは屋久島移住者のひとりで

昔はカメラマンで生計を立てていた

池袋サンシャインビルに落ちる雷を撮ったことのあるカメラマンで

彼の車に積んであった大量の資料のひとつにその新聞があった

いつしか時間に追われている自分の生き方に不満を感じ

尺八を吹く修行僧になってみたり

長野の山奥で大きなテントを立て、自給自足で暮らしていたらしい

山羊を飼い、山菜を取り、自分の子供を自分の手で引っ張るお産を経験した

彼の車に積んであった大量の資料のひとつにその新聞があった

 

この屋久島の存在を知り、この島を神が宿る島と悟り

この島に住み着いたらしい

この島の有名な観光地「千尋の滝」で水出しコーヒーを売りつつ

隣島の口永良部島で取った竹で「天吹(テンプク)」と呼ぶ笛を作って売っていた

 

親水さんの夢は「時間銀行」を創ることだった

貯金するのは自分の時間

すなわち自分が楽しい時間だ

この時間は人に預け共有することができる

よって今自分は、必死に働く日本人の時間を預かっている

働く人と遊ぶ人

どちらも人間界には必要な存在だ

そんなことを熱く語っていた

親水さんは強く推薦する「波動の法則」という本を見せてくれた

後に僕はこの本にひかれあう結果となった

 

「尋」という単位をご存知だろうか

この単位は人間が両手を広げた大きさを「一尋」とする

屋久島にある千尋の滝は

その単位を感じられる滝だ

人間は人間にひかれあう

そんな当たり前のことを教えてくれたこの屋久島で

絆ということばの大切さを学んだ

☆ 

『島国からの贈物』

『千尋の絆』

 

1997年2月20日 

鹿児島県屋久島千尋の滝にて

 

心のつながる人と

手を握ってごらん

誠を語れる人と

手を握ってごらん

裸で向き合える人と

手を握ってごらん

 

まだまだ足りないよ

 

いまから始めようよ

 

とことん探そうよ

 

千尋の滝に負けないくらい

大きな絆で

僕たちの未来を創っていこうよ

僕ひとりじゃできないから

千尋の絆ならできるから