しょーちゃんは黙ったまま、俺の方も見ないまま車を走らせる。
信号待ちで、左手をハンドルから離して、指で唇をとんとん叩く。
なにか、考えてる時の癖。
話しかけていいのか迷って、窓の外に視線を移した。
久しぶりのお泊まりなのに。なんでこんな空気になってるんだろ。
なんか怒ってる?とか聞いたら、余計機嫌が悪くなりそうだし……
しょーちゃんに聞こえないように、小さくため息をついた。
しょーちゃんが動いた気配がして、脚の上に置いていた右手にしょーちゃんの左手が重なった。
びっくりして振り返っても、しょーちゃんは前を向いたまま。
手を返して指を絡めたら、しょーちゃんも指にぎゅって力を入れて握り返してくる。
怒ってるわけじゃないのかな……
しょーちゃんの横顔をじっと見つめる。
「見すぎ」
「しょーちゃんは、見なさすぎ」
二人で同時にぷって、吹き出した。
「なんか買っていかなくていいの?」
「買ってある」
その言葉に、しょーちゃんも楽しみにしていてくれたのかなって、ちょっと嬉しくなる。
それでも無言のまま、車はしょーちゃんのマンションの駐車場に滑り込んで、しょーちゃんの手が俺の手から離れて、ギアをパーキングに入れた。
「「……」」
エンジンを止めて……なのに、しょーちゃんは前を向いたまま。
俺も自分の脚の上に置いた手を見つめたまま。
ふと、顔をあげたら、絡まる視線。
無言のまま、唇が重なる。
何度も離れては重なる唇。
「しょ……」
「行こう」
低く囁いて、しょーちゃんがドアを開けた。