「これ、面白いよねー」
なんで水が上に上がるんだろね?って、相葉くんが言うから…
「気圧だろ?」
「きあつ?」
「下は火で温められてるから空気が膨張すんの。で、上は常温で下のフラスコよりも気圧が低いから、気圧の低い方へ向かって流れていくんだよ」
「……ふぅーん。よく分かんないけど…」
上がってきたお湯とコーヒーをクルクルと混ぜながら相葉くんが笑う。
「よし、いいかな」
アルコールランプの火を消すと、今度は引き戻されるようにコーヒーがフラスコに流れてくる。
「くふふ。いつ見てもおもしろーい」
「俺、初めて見た」
はいどうぞ、ってオシャレなマグカップを渡される。
「ありがと。マジで美味そう」
「砂糖とミルク、要ります?」
「あ、要らないよ」
俺はカフェ・オ・レにしよーって牛乳をたくさんいれて、俺の向かい側によいしょって座る。
「うま!」
「よかった♡」
「……相葉くんってさ、なんか出来ない事、ないの?」
「え?」
「いやだって、イケメンだし、スタイルいいし、オシャレだし、洋服も作れてメシもコーヒーもこんな美味いのできんじゃん……」
俺なんて一人暮らしを始めて何年も経つのに、家事全般何もできねぇし……
「うーん…勉強は、できないよ?」
「別にそんなの、社会に出たら関係ないし」
カップに口をあてて、うーん、って少し悩んだ後で
「……レンアイは、できない、かも」
少しさみしそうに笑った相葉くんに、胸がぎゅって、痛くなった。