「ヒトの話は、ちゃんと聞けよ」
俺に馬乗りになったまま、情けない顔で言う。
「突然キスしてごめん」
「.........」
「俺、お前に嫌われんのが怖かったんだ」
「...え???」
予想外の言葉に、おーのさんを見上げた。
「ジュニアの頃に、さ...ずっとおーのくん、おーのくんって、来てくれてたじゃん。こいつ、可愛いなって思ってた。
ずっと一緒にいるうちに、ずっとお前と一緒がいいなって思うようになって...
それが『好き』ってことなんだって気がついたのはだいぶ後だったけど...
けど、好きって言ってしまったら、お前は俺から離れていってしまうんじゃないかって、そう思ったら怖くて...」
その後はデビューが決まって、自分の気持ちに向き合う余裕なんかまるでなくて...
言い訳してるみたいな、おーのさんの話を、ぼんやりと聞いていた。
バカみたいだ。
俺も、アンタも。
「ハワイに来たら、昔のいろんなこと思い出して...どうしてもお前に、気持ちを伝えたくなったんだ」
おーのさんが、俺の瞳をじっと見つめる。
「かずの瞳、ほんとにキレイだよな...」
どんだけ、遠回りしてきたんだろ。
「いつまでそんなクサイ台詞言ってるつもりなんですか」
手を伸ばして、おーのさんの頬に触れる。
おーのさんが驚いた顔で俺を見つめる。
「ゴタゴタ言ってないで、言うべき一言があんじゃないの?」
...それは、俺も、同じ...
たった、一言、なのに...
なんで...言えないのかな...
おーのさんが、俺の上から降りて、手を引っ張って、俺をベッドの端に座らせる。
「かず...俺、かずが好きだ」
俺の前に跪いて、俺の手のひらにおーのさんがキスをした。