そんなことない、って、言いたかったのに。
何言ってんの?って、笑い飛ばしたかった、のに。
「...っふ...ぅん...」
おーのさんの唇で俺の口は塞がれた。
おーのさんの力が緩んだ瞬間に、思いっきり、突き飛ばした。
「...っ!なにすんだよ!」
「いってぇ...」
窓枠に思いっきり背中をぶつけたおーのさんが、顔を歪めた。
おーのさんが、悪い。
こんな、本気のキス...
なんで...
「いってぇな、かず」
ゆらり、と立ち上がったおーのさんに、後ずさる。
タチが悪いイタズラは、やめてくれよ。
こんな終わり方は、嫌だ。
俺はホントにアンタが好きで...
ただ、それだけなのに。
わざわざ、ペアのネックレス買って、わざわざ、こんな悪ふざけして...何が楽しいんだよ?
「お前、わかんねぇのか?」
おーのさんが俺を睨む。
わからない?なにが?
分かるわけない。
俺に1歩、近づくおーのさんに合わせて、1歩、後ずさる。
「なんで、逃げるんだよ...」
なんで?わかんないよ、そんなの。
ただ、俺の中で何かが、逃げろっていうんだ。
今なら間に合うって、誰かが叫んでるんだ。
「わ!」
思いの外、ベッドが近くにあったらしく、俺はベッドに倒れ込んだ。
やばい...
そう思った瞬間、俺の手はおーのさんの手でベッドに沈められた。