「なぁ...」
俺の髪の毛を、何度も何度も指で梳きながら、しょーちゃんが、言う。
さっきの、俺の言葉...聞き流してくれないかな。
でも、ずっとこうやって触れていてくれるんだから、嫌われたりはしてない...んだよね?
「やっぱ、ネクタイ、教えなくてもいい?」
聞こえた言葉にビックリして顔を上げた。
「なん...で...?」
かろうじて、それだけ、声になった。
けど、しょーちゃんは、何も言わずに、また俺の髪の毛に指を通した。
「しょーちゃ...」
「毎日、俺がやってやる」
そのまま、しょーちゃんの指が、俺の耳を触る。
あつい...
目も顔も耳も首もあっつい。
頭の中もあっついよ...
「...ど、して...?」
目の前にいるはずのしょーちゃんが、ゆらゆらして、よく見えない。
困ったみたいに眉毛を下げて笑う、すごく優しい笑顔、見たいのに、よく、見えない...
「俺が、したいから」
しょーちゃんの手が耳から頬に動いて、親指がそっと、俺の目頭から目尻までをゆっくりなぞる。
「なんで、泣いてんの?」
俺、泣いてんの?なんで?
嫌だった?って聞かれて、ぶんぶんって首を横に振った。
「じゃ、俺がやる」
ふふんって、笑ったしょーちゃんに...
...言っても、いいの、かな...
「...しょーちゃん...」
「ん?」
「しょーちゃんが朝練の日は、どうしたらいいの?」
「...ん?????」
しょーちゃんが一瞬、固まって...
あああーーー!!!!!って、叫んで...
慌てて翼くんを振り返って、それから、がっくりと肩を落とした。