汗だくになったしょーちゃんが、ランドセルを抱えて戻ってきた。
「マジ、日本の夏ってハンパねぇな!」
渡したお茶を一気飲みして、ドカって、床にあぐらをかいて、ランドセルの蓋を開ける。
「しょーちゃん、シャワーしてきたら?」
「うん、でも、こっちが気になる」
同じランドセル、だけど...しょーちゃんが今、抱えてるランドセルは『MASAKI』って、刺繍がされてるヤツで...
こんなにわかりやすいのに、絶対親にバレないって思ってた自分たちが、ちょっと可愛く思えちゃう。
「あー!ホントだ!」
ランドセルを覗いて、しょーちゃんが叫ぶ。
「ね?あったでしょ?俺、すっかり忘れてたけど...」
「俺もさっき、急に思い出したんだよな...」
俺の方に手を伸ばして、しょーちゃんが止まる。
「どしたの?」
「...抱きしめてキスしようと思ったけど...先にシャワー借りるわ」
「汗だくのしょーちゃんでも、いいのに」
「俺の汗がお前についてたら、恥ずかしいだろ!親がいんのに!」
しょーちゃんが赤くなったところに、下から、翔くんシャワー浴びたらー?って、母さんの声が聞こえた。
「ふふ、はい、着替え」
「おぅ、さんきゅ。じゃ、ちょっと、さっぱりしてくるから...」
くるり、と俺に背中を向けようとした、しょーちゃんの腕をつかむ。
「じゃ、シャワーして来たら...ハグしてキス、してね?」
ちゅ、って、触れるだけのキスをして、離れる。
「...おまっ...!!」
しょーちゃんがびっくりした顔をした後、がくーって、肩を落としてため息をついた。
「小悪魔すぎんだろ...」
「え?なんか言った?」
「何でもねぇよ!後で、覚悟しとけよ!」
「はーい。いってらっしゃーい」
ますます真っ赤になっちゃったしょーちゃんに、くふふって笑って、手を振った。