「雅紀の部屋、変わってねぇな」
「ふふ、うん。そうだね」
まだご飯には時間がかかるから、部屋でのんびりしてきたらって、母さんに言われて、お茶を持って、部屋に入った。
「ランドセル、まだ出してあんの?」
「うん。宝物、だもん」
しょーちゃんが、俺の机の上から、今は小さく感じるランドセルをよいしょって、持ち上げた。
蓋を開けると、『SHO』って、刺繍の見えるランドセル、は...本当なら、しょーちゃんの、もの。
おそろいのランドセルを買ってもらったのに、小学校に入る前にニューヨークに引っ越しちゃったしょーちゃんと、こっそり交換したランドセル。
あの時から、しょーちゃんのこと、大好きだったんだよなって、思い出して頬が緩む。
しょーちゃんは、さっきからずっと、ランドセルのチャックをあけたり、ひっくり返したり、中を覗きこんだりしてる。
「しょーちゃん、なにしてんの?」
「ん?あぁ...あ!あった!!」
ほら、見て、ココって、しょーちゃんが指さしたのは、ランドセルの中の底の部分。
「見える?」
しょーちゃんに、はいって、渡されたランドセルの中を覗きこむ。
「なんも、見えないけど...なに?」
「ちょっと、ランドセル動かしてみてよ。多分、光の加減で見えたり見えなかったりすんだよ」
しょーちゃんに言われて、ランドセルを動かしながら、中を覗く。
「...あっ!!!」
思わず出た声に、しょーちゃんが、ふふって、笑う。
...だけど、でも、さ...
俺も、思い出した。
「しょーちゃん、しょーちゃんのランドセルって、どこにあんの?」
「あー、母さんが日本に持って帰ってるはずだけど...なんで?」
「...俺も、同じこと、してる」
そう言ったら、マジかよ!って、しょーちゃんが立ち上がって、今からランドセル取りに行ってくる!って、部屋を飛び出した。