甘いやつがいい。
思い切り甘いやつ。
時々でいい。
他の誰にも見ることのできない甘い彼を見たくなる。
「しょーちゃん」
甘い声を聴きたくなる。
いつもじゃなくていい。
特別な日に聞くことが出来ればいい。
「んー?どした?」
そして俺も。
思い切り甘い声で返す。特別に甘く。
彼にだけの特別な声で。
「どこ行こっか」
久々の好天候は最高。だからなんだろう。気分もいい。彼の隣にいるから更に。
「んー、ホテル?」
らしくなかったかな。こんな日は外にいたい。それが俺のセオリー。彼だってそう思って聞いたはずだと分かっていたのに。
「意外」
だけどそれだけ。その一言だけ。そして彼はハンドルを大きく切った。
窓を開けたのは単純に気持ちよさそうだと思ったから。真っ青な空と海が特別に綺麗だと思うのは、天気のせいなのか、この空間のせいなのか。
「気持ちいいね、風」
窓から入る風を受けた彼が柔らかく言う言葉には共感しかなく
「ん、すげー最高」
被っていたキャップを脱いでサングラスを外した。
「甘いね、しょーちゃん」
体に触れる手が好きだと思う。触れる唇も舌も、それに反応する俺を見る彼の目も好きだと思う。
「お前の方が甘いよ」
その全部が甘ったるいくらいに甘い。気持ちがいいくらいに、体の芯が痺れるほどに甘い。
「だって、しょーちゃんといるんだもん」
うん。だから特別な日だけで良い。
毎日じゃなくて大丈夫。
だって今この瞬間は俺しか見えていないし俺の事しか考えてない。
現状、それがとてつもなくいいと思っている。
「ん。そうだな、俺も」
そして俺は腕を回す。相葉くんの背中に。
足を広げ、彼に首筋を吸われながら。
「一緒に気持ちよくなろうね」
その言葉の後すぐに彼の体の一部が自分の体の中にゆっくりと入る事を期待する俺は
「ん。一緒に、な」
だけどやっぱり毎日一緒がいいと願ってしまっていた。
ロマンチックモード
終わり