続 『1週間』 土曜日 | 櫻葉で相櫻な虹のブログ

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『抱きつくのは後でな?お前、寝不足なんだろ?仕方ねぇから今晩一緒に寝てやるよ』




寝不足だと言う彼にそう言ったのは、付き合うと決めたその日に一緒にいる口実が欲しかったから。




『マジ?ほんと?!今日からずっと一緒に寝てくれるの??』




反応は上々。いや、むしろ期待以上。




『ばーか、毎晩なんて言ってねぇし。ずっとなんて、ンなの無理に決まってんだろ』



『ヤダヤダヤダ!無理じゃないよ!毎日一緒がいい!』



駄々を捏ねる子供みたいなセリフもただただ可愛いと思える当たり相当。たった1週間という短くも濃い期間で相葉という人間を好きになった。



『ったく仕方ねぇな。……ならお試し1週間って事でどうだ?』



『お試し1週間??』

 

『嫌なら別にいい』



『嫌じゃない!めちゃくちゃいい!!それでお願いします!』




無邪気に喜ぶ相葉を見てこれから始まる1週間はまるで未知なものなのに、彼と同じくらいに自分も楽しみ且つ喜んだのは昨日の職場での話。









「おはようございます」




わざわざわ狭いベッドに男ふたりで寝なくてもよかったことくらい分かっている。だけど俺たちは一緒に寝た。言い訳としては相葉の部屋には客用の布団が無かったから。ソファーという選択肢もある事には気付かないふりをした。




「……はよ」




昨晩仕事を終えてから、昨日言った通りに1週間のお試しが始まった。どちらの家にするかという話が出ることも特になく、自然な流れで職場から近いの家になったんだと思う。




「寝起きも可愛いんですね」




起きて早々ふわふわと嬉しそうに俺の頭に手を乗せる相葉は、看病をした数日前の時と同じように寝起きの髭面でも相当にイケメンで。同じく髭面であろう自分の事を可愛いとか言うけれど、そんなわけないことは百も承知。




「お前はすげーな。寝起きでかっこいい奴っているんだな」




昨晩は記憶に無いほどに爆睡だった。付き合うと決めた初日の恋人同士としては理想的ではなかったかもしれないけれど、ソファーに並んで座り酒を飲みいつの間にか隣で気持ち良さそうに寝息をたてる相葉を見ていたらつられて猛烈に自分も眠たくなった。




「昨日はごめんなさい」



「ん?何が?」



「オレ、寝ちゃって……」




確かに多少の甘さは覚悟していた。いや、覚悟というのは今更おかしいかな。期待、という言葉の方が正しいかもしれない。少なくとも、自分の事をどれほど好きなのかと言う事を相葉の口から聞けるのでないかと思っていたから。




「そんなのいいって。寝れてなかったんだろ?体調不良だってまだ完全じゃないだろうし」




驚くほどの回復力だと思ったてはいたけど、実際はまだ多分無理をしていたんだろう。職場でもあの女の前でもそんな風には見えなかったけど、昨日一晩一緒にいてほんの少しだけその疲れが見えた気がした。




「ごめんね?しかもベッドまで連れて行ってくれたんでしょ?」



「だから良いって。でもお前自分でちゃんとベッド行ったんだよ?記憶無し?」



「え、ほんと?」



「マジマジ。さすがに相葉の事運べねぇわ」



「ふふ、そうかも。櫻井さん華奢だし。あ、でも大丈夫だったね、風邪は」




先週のいつだったかな。そうだ、こいつが風邪を引いた翌日の朝だったと思う。自分は頑丈だから伝染らないと言う理由を無理やりにつけてキスをした事を思い出し赤面する。自分が如何に丈夫なのかをあんな形で見せる必要なんてなかったのに。




「……あぁ……うん」




だからそれこそそんなのは口実にすぎない。単純にあのタイミングで俺は自分から相葉にキスをしたかっただけ。付き合う事をまだしていない男が相手だとだと分かっていながら。





「ふふ」



「なんだよ」



「寝起き、可愛いって言ったけどそれだけじゃないとかズルくない?キスのこと思い出して赤くなるのとか反則……」





そう言った相葉が狭いベッドの上で覆いかぶさるように俺を抱きしめながらしてきたキスにヤバいくらいに燃え上がったのは俺もで。





「……だからってやりすぎだっつーの」





朝っぱらからの濃いキスは、飽きることなくその日一日中ベッドの上で繰り返し続いた。