love is 74 | 櫻葉で相櫻な虹のブログ

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「で、何を相談しようと思ったの?」





俺を抱きしめた雅紀は、めちゃくちゃに甘い声で俺に聞いた。










あの時の俺は相談しようと思ってたのかな。ただ話を聞いて欲しかっただけだったのかもしれない。ふたりのことを同時に好きだと確信してしまった事を口に出しても良いのかを躊躇いつつも。





「聞く?」




「うん。知りたい」




「なんて言うか。……お前と潤とさ、2人とも大事なんだって。どっちの事も手離したくないんだって。それに気付いちゃったんだよ、あの日」





本当はそれよりも前に気付いていた。だけど、絶対に考えてはいけないことなんだと気持ちに思い切り蓋を閉めていた。だけどあの時はもう口に出さないと、自分が潰れそうだったんだと思う。





「どっちかを手放さなくちゃダメなんだって分かってたんだ。それが正解なんだってことくらい俺にだって。だけど分かっていて出来なくて。だから」




「……うん」




「だから辛くて」




「うん」




「守ってあげたいと思う潤と、守って欲しくてどうしようもないお前と」




「うん」




「……ダメだよな、俺」





まただ。また泣いてしまう。この腕は俺を泣かせるのが上手い。泣きたいわけじゃないのに。雅紀にだって弱い所を見せたいわけじゃないのに。






「オレたちはそれでいいじゃん」



「え?」



「だからさ、オレたちはそれでいいでしょ?オレはそれでいい。それでも翔さんといたいよ?」



「……やっぱ姉弟だな」



「姉ちゃんも言ってた?」




ニュアンスは違うけど。ママは当事者では無いけれど。でも、否定されても仕方ない内容なのに、ちゃんと話を聞いてくれていた。




「だけどみんなが幸せってのは無理だと思うって話をしてくれたかな。傷付く人が出るだろう、って。確かにその時点でもう潤は相当傷付いてたんだよ。俺が馬鹿だから」





そうなんだよ。だから俺は潰れかけたんだ。自分だけが辛いわけじゃなくて、自分が大切な人が物凄い辛さを感じていると分かっていたから。





「だけど俺は、お前の側から離れられない。弟がどんなに悲しんでも、辛そうにしても。それと同じように、弟からもきっと俺は離れない。……ごめん」




今は物理的に距離があるから体を繋げることはないけれど。でも、やっぱりどうしても毎日想うのは家族だから当然。でも、もし家族じゃなかったとしても、きっと俺は潤の愛にも応えただろう。






「それでいいよ」



「……ごめん」



「翔さん、謝りすぎ。だけどオレはそんな翔さんも好きなんだよね」





沢山沢山悩んで、それで今オレといてくれてるのが分かるよ、ってまた。





「お前のせいで体の水分無くなる」




「水分?」



「そ、お前は俺を泣かせすぎ」



「ふふ、涙だけじゃないでしょ?これからまた汗かくことしようか?」





そう言うけど多分今はしない。いつもはギラギラとしている雅紀から、今はその欲が全く感じないから。





「しねぇよ。お前もそんなんじゃないだろ。それよりこのまま寝たいよ、俺」




「ん、いいよ」




「……ん。……って待て。ヤバ!今何時だ?」




「まだ大丈夫だよ?ちゃんと見てるから大丈夫。少し寝たらいいよ」




「焦った!あー、でもこのまま起きてるわ。お前は寝ていいよ?」





なんて言ってわざと雅紀の首筋に唇を付ける。珍しく欲というものを感じない雅紀の首筋に。





「仕事何時から?」



「……いつも通り」




唇から舌を伸ばして、首筋から耳の後ろに這わせてみるけれど。




「帰りは?何時まで?」



「わかんねぇ。今日は遅いかも」




まだ冷静?それとも少しは欲が出てくれる?俺なんかの下手な煽りでも。





「ハァ……。オレさ、今さ。すげー弟くんと話してみたいよ」



「え?」



「語り合いたいわ。翔さんのエロさを、ね」





煽るのが上手くなった事も教えてあげなくちゃ、って笑う雅紀の懐の深さが、この人といる空間の居心地の良さなのかな。





「もっと他に話すこと無いわけ?」



「あるけどまずはそっちかな。弟くんも溜まってると思うんだよね。でも教えてげたらもっと我慢させちゃうかなぁ」




「溜まっ……!」




「翔さんの体知っちゃったら他は無理だと思うんだよねぇ」




「もう、なんなんだよ。つーか俺って体だけ?お前も潤も?」





潤の事もこうやって雅紀と話せるなんて不思議でしかないけれど





「ふふ、まさか。オレも弟くんも翔さんの全部が大好きなんだよ?決まってるでしょ?」




こんな風に言ってくれるから、安心して隣にいることが出来るんだろう。