海 2021 2 | 櫻葉で相櫻な虹のブログ

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「どうだった?」




結局相葉君は風呂には戻ってこなかった。いや、そうだろうと思ったから俺も早々に切り上げたんだけど。






「…………断られた」




「まじ?誰?って、用事あんじゃねぇの?」




「……3人とも……そんな事ある?」





うわぁーーん!って子供みたいに声をあげるから少しビビる。よしよし、と宥めるけれど落ちた肩が冷たくて余計に切ない。





「理由があんだろ?聞いてみたのか?」




とりあえず断られたことはわかった。しかも揃いも揃って3人とも。それなら何かしらの理由があるんだろう。別に嫌いで断られるなんてことは絶対に無いんだから。




って、今の相葉君を見てると断られたショックでそこまで頭が回ってなさそうだけど。





「わかんない。でも、断られたぁぁぁ」





えーーーん!とまた泣き始める。いや、泣いては無いよ?泣いてるフリだけど。で、どうやら断りの理由は書いていなかったらしい。




「理由は書いてなかったんだな?」



「書いてなかった。……それは無理、って感じの返事ばっかり」




なるほど。それならば分かった。悲しむ相葉君にはものすごく申し訳ないけれど、思い当たるというか断られた理由は多分ひとつしかない。









「あのさ、特別に3人がワケを言ってないんだったらさ、ごめん、それ俺のせいかも」




そう、たぶん。いや、絶対に俺だ。俺のせいだとほぼ確信。





「え?なんで翔ちゃんのせい?意味わかんない」





そりゃそうだろう。相葉君が知るわけない。



この時期になると毎年、相葉君のいない席でメンバーの誰かと一緒になったら俺は、この日が自分にとってどれくらい大切なのかをくどいぐらいに語りまくってきた。



相葉君の前では流石に恥ずかしかったから、いない時にあえて。だって、本人がいるのにそんな風にしたら痛い奴らになると思ったから。





「多分だけど、みんな遠慮してんだと思う」




「なんで遠慮?こんな内容なのに?」




そう言って自分がみんな宛に送信したシンプルなお誘いの内容のメールを見せてくれるけど。





「そう言うことじゃなくて…さ……」




「え?なに?」




「相葉君のメールがどうこうってことじゃなくて、さ」




「え?それ以外になんかある??ないでしょ?うわーん!」




ってご最も。普通はならない。本来なら予定があるからとか、そんな事が断りの理由の大半なんだから。





「落ち着け。説明するから」




悲しみにくれる相葉君の顔を覗き込めば、やばい。零れそうな涙はマジのやつだ。それが分かって今頃になってめちゃくちゃ慌てた。







「あー、ごめん!マジでごめん!俺さ、あの日のおもてなし企画から始まって、毎年相葉君とあの海に行ってるんだって事をさ、えー、なんて言うか、自慢っていうか惚気って言うか、めちゃくちゃメンバーに言ってたんだよ……」




「……え?」




「だからさ、えっと、ふたりで毎年行ってるんだー、みたいな事をさ。多分、めちゃくちゃ張り切って報告してたっつーか……、うん。あ、でも、一応その日の夜はお互い燃えて、とかまでは言ってないから、うん。えっと……だから安心して?」



怪しいくらいに急にしどろもどろになる俺。風呂上がりだからという理由以外に、変な汗すら流れてくる。




「だからみんな遠慮しちゃったんだと思う!マジでごめん!」




自分がしてきた事がまさか今日、あんなに相葉君を悲しませるとは思いもしなかった。








「……意外」



「……え?」



「めちゃくちゃ意外!!翔ちゃんってみんなの前でオレのこと話したりするんだ!」



「……は?」



「なんかさ、テレビの時とかはリップサービス含めてオレのこと話したりしてくれてたけどさ。楽屋とかだと割とクールって言うか。オレとのことメンバーの前であまり話したくないんだろうな、って思ってたから」




悲しげな表情はどこかにいってしまって、相葉君はめちゃくちゃに嬉しそうだ。





「いや、俺にだって節度ってものがあるからな。さすがにみんなの前でイチャイチャは……」




「それって我慢してるってこと?」




「そうですよ?我慢しなかったら大変なことになりますからね」





どうやら俺のこの一言が相葉君にとってはトドメの一言になったらしい。機嫌が良くなったどころかそっちの方まで具合いが良くなったみたいで。





「じゃ、今は?……我慢する?しない?」





立ち上がったと同時に床に落ちたタオルはわざとなんだろうか。




「その前に風呂!!お前の体冷たい!」




だけど裸のまま抱きしめてきた相葉君の体が冷たくて




「えーーー、オレ臨戦態勢なのにーー?」



「知るか!」



「えーーー、翔ちゃんのもこんななのにーー??」



「うるせー!」





半ば強引に、相葉君の腕を引っ張るようにして風呂に連れていった。