4歳児クラスのあんずちゃんがお絵描きをしていて、
紙を机の上に置いたまま違う遊びをしに行ってしまいました。
私は紙を片付けるように言おうとして
その紙に目を落とした。
そこには、
髪の短い女の人の顔が描かれていて、
その横に
かあちやん
と、書かれていた。
私は心臓を鷲掴みにされた気がした。
あんずちゃんのご両親は、彼女が1歳の時に離婚されて、
子供たちはお父さんに引き取られた。
あんずちゃんは多分お母さんの顔を覚えていないだろう。
でも、心の中でずっと優しかったお母さんを求めているんだろうな…
保育士の仕事は、時に切ない…
あんずちゃん、あなたのお母さんは
髪が長くって、
あなたとそっくりな黒目がちのくるんとしたお目々をした人だったよ。
きっとかあちゃんもどこかで
あなたたちのことを恋しく思っていらっしゃるのでしょうね。