ハーフペダル(その3) | 自分と繋がってピアノを弾く

自分と繋がってピアノを弾く

ピアノ演奏に関して
「身体の使い方」や「意識の持ち方」について
私がこれまでに気づいたこと
意識していること
感じたことなどを
書いていきたいと思います。

ハーフペダルの続きです。


今回は、

前述のハーフペダルの2つ目の方法について

お話します。


2つ目は、


「最初は最下部までフルで踏み込み、

  その後の踏み換えは、

 ペダルを上まで戻さず

 半分の深さから最下部までの範囲で

 踏み換えをする」


という方法です。


このペダリングは、例えば

バスの音を長く響かせた状態で

中音域から高音域で

和声が移り変わっていく音型を重ねて

演奏するときに

有効です。


長く伸ばしたいバス音を弾く時に

ペダルを下まで踏み込み、

その後は、

上に重なった音の和声の移り変わりに合わせて

ペダルの最下部から半分の深さまでの間で

踏み換えをします。


そうすると、バス音だけが長く響き、

それ以外の音は

濁りすぎず

微妙に色が混じり合った響きを作り出すことが

できます。



【使用例】


私は、ドビュッシーの前奏曲第1集の

「沈める寺」を弾いたときに

このペダリングを教わりました。


中間部にこのような箇所があります。


ここでは、

和音が変わるごとに

ペダルを上まで上げて踏み換えると

数小説にわたってタイでつながっているはずの

バスのC音の響きが

すぐに消えてしまいます。


また、この曲独特の和音の響きの混じり合いも

無くなってしまいます。


そうかと言って、

ペダルの踏み換えをしないで

ずっとペダルを下まで踏み込んだまま弾くと

音が濁りすぎて、

和音の響きの重なりは、

美しさではなく混濁へと変わります。


どうしたものかと困りあぐねていたとき、

フランスものを得意とされる

あるピアニストの方のレッスンで

「ハーフペダルを使うといいよ」と

教えていただきました。


バス音のCを弾くときに、

ペダルを下まで踏み込み、

その後、次のバスのC音を弾き直すところまで

和音が変わるたびに

ペダルの最下部から半分の深さの範囲内で

踏み換えます。



そしてまた、

次のバスのC音を弾くタイミングで

ペダルを上まで上げて踏み換え、

その後またハーフペダルを使います。


こうすると、

バスのC音はずっと響き続け、

上の和音の響きの重なりの美しさも

表現することができます。


もちろん、

楽器や会場の状態や特性によって、

また音のバランスの作り具合によっても

音の残り方や

響きの融合の加減は

変わりますから、


そして、もちろん

それぞれの方の解釈によりますから、


このハーフペダルが

マストという訳ではありません。


また、この「沈める寺」の冒頭部分で

同じように、バス音の上に

移り変わる和音を重ねていく箇所がありますが、

こちらは弱音での表現のため、

このハーフペダルは

あまり有効ではなく、

バス音が綺麗に残りません。


こちらはハーフペダルの踏み換えではなく、

フルペダルで踏み換えをしない、

もしくは少なめの踏み換えで

ちょうど良いかもしれませんね。


同じような音型でも、

強弱によっても効果が変わるのですね。


🍀 🍀 🍀


他には、例えば

このようなパッセージを弾く際、

この2つ目のハーフペダルを使うと

頭の中でイメージしていた響きを再現できた、

ということが、

つい最近ありました。



この1〜2小節目は
楽譜のペダルどおりに踏むと
2小節目の3、4拍目で
かなり濁ってしまいます。

でも、
左手の最初のGは2小節間
響いていてほしい。

2小節目のさ3、4拍目で、それぞれ
下半分で踏みかえるハーフペダルを使うと
左手のG音が響いているまま、
濁りも解消されます。

このように、
何ということはなさそうなフレーズにも
有効に使えることがあります。

🍀 🍀 🍀

以上、
ペダルを下半分で踏みかえる
ハーフペダルについて
お話しました。


お試しくださいね😊