『男はつらいよ 寅次郎かもめ歌』シリーズ第26作(昭和55年:1980年12月27日公開) | 日本と芸能事が大好きな Ameyuje のブログ

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米合衆国領土グアム島と仏領ポリネシアのタヒチ島とボラボラ島しか訪れた他国無し。比較対象が少ないのに「僕に一番合うのは日本」と思う。反日国に侮辱されても毅然とした態度をとらない現在の母国には「いやんなっちゃうな~」と立腹するけど、やっぱり日本が大好き。

「さくら」ネタに続けまして…表題に挙げた作品のご紹介です。

 

◆シリーズの第26作で昭和55年12月に公開された

『男はつらいよ 寅次郎かもめ歌』です。

 ※かもめ歌とは”江差追分”のことで、映画の中でも聴けます※

 

Crew

監督・原作 … 山田洋次
脚本 … 山田洋次、朝間義隆
撮影 … 高羽哲夫
編集 … 石井巌
製作 … 島津清
音楽 … 山本直純

主題歌 … 渥美清『男はつらいよ』

 


Cast

車寅次郎 … 渥美清
諏訪さくら … 倍賞千恵子
水島すみれ … 伊藤蘭

 :寅さんのテキヤ仲間「シッピンの常」こと水島常吉の娘。函館の高校を中退して奥尻島の水産加工場で働いていた。
車竜造 … 下條正巳
車つね … 三崎千恵子
諏訪博 … 前田吟
諏訪満男 … 中村はやと(満男として最後の出演作)
御前様 … 笠智衆
源公 … 佐藤蛾次郎

 :寅次郎の夢では悪人役

印刷会社のタコ社長(桂梅太郎) … 太宰久雄
 :寅次郎の夢では悪人役

青山巡査 … 米倉斉加年(平成生まれの皆さん、この名前はマサカネと読みますにやり

  :柴又交番勤務。長万部出身。
寅次郎の夢で出てくる悪代官 … 吉田義夫

 :映画内では坂東鶴八郎一座の座主が夢の中で代官として現れる体裁になってます
テキ屋の忠さん … 関敬六

 :この作品以降、関敬六さんの役割が「ポンシュウ」に定まります。
中年の生徒 … 梅津栄

 :寅さんが先生と間違える葛飾高校定時制生徒。すみれのクラスメイト。
スルメ工場のおばさん … あき竹城

 :奥尻島の川崎水産というイカ加工場で働いている

菊地貞夫 … 村田雄浩

 :すみれとは函館の高校時代の同級生で、恋人。現在は函館で大工をしている。
すみれの母 … 園佳也子

 :すみれが3歳の時に別れた母親。
林先生 … 松村達雄 - 葛飾高校定時制の国語教師。

若い先生 … 伊藤敏孝

 :葛飾高校定時制の英語担当教師。すみれの入学試験の面接官。

葛飾高校定時制の生徒 … 田中美佐(田中美佐子)

 :すみれのクラスメイト。
葛飾高校定時制の生徒 … 光石研

 :すみれのクラスメイト。
寅次郎の夢で出てくる村民・コンビニの店長 … 加島潤

国勢調査のおばさん … 杉山とく子
隣家の主人 … 林家珍平 :さくら夫婦が購入した一戸建ての家の隣人。
ボクサー … 津嘉山正種 :冒頭のシーンで江戸川土手でサインをしている人物
 


この有名な映画シリーズの中で、主人公の寅さんが夢を見るシーン…というのは、第2作「続・男はつらいよ」で母親の夢を見るシークエンスから存在するのですが、映画の冒頭から物語導入を兼ねて見る夢…となると、第5作「男はつらいよ 望郷篇」での おいちゃんの臨終シーン からになるでしょうか。

この第26作での夢のシーンは

飢饉に見舞われた柴又村に通りかかった旅人(渥美清さん)が、「飢饉は天狗の祟りだ」といって祟りを祓う生贄として「娘(倍賞千恵子さん)を差し出せ」と難題を突き付ける悪代官(吉田義男さん)を成敗するというものでした。
 


DVDなどに書いてある 物語の大筋は…、

 

北海道江差市でテキヤ仲間、シッピンの常の死を知った寅さんは、奥尻島へ墓参りに行きます。

そこで常吉の娘・すみれ(伊藤蘭)と知り合い、定時制高校に通いたいという望みを叶えるために、柴又へ連れ帰ります。

しかし、柴又では似顔絵の誘拐犯と間違えられて、青山巡査(米倉斉加年)が出動する大騒動に。

さくら、博の温かい協力を得て、すみれは猛勉強して無事入学を果たすが、保護者気取りの寅さんは、連日学校に付き添って出かける始末…

挙句の果てに 自分も定時制に通おうと 願書まで書く寅さん。しかし、残念ながら寅さんは中学校中退の為に願書を受理してもらえませんでした。

※この願書の現物は葛飾柴又の「寅さん記念館」に飾られています※


元キャンディーズのメンバーである伊藤蘭さんが、自分の境遇を乗り越えて、懸命に勉強をして、幸せをつかもうと努力をするマドンナ・すみれを好演。

 

定時制高校の教員には、二代目おいちゃんを演じた松村達雄さんが出演。

定時制高校に通う生徒たちと先生の交流と、その居心地の良さに入学願書を出す寅さんの向学心が愉快。

すみれの恋人役には当時まだ二十歳の村田雄浩さん。朴訥とした演技が強い印象を残します。

・・・というものです。

 


≪少し詳しい物語の流れ≫

寅次郎が旅先で見た夢では、時代劇の柴又村に水害が起こり、代官の命令によって村で一番美しい娘である「おさく」が天狗様への人身御供になることに。

旅の者の寅次郎は、おさくの代わりにつづらに入り、悪だくみをしていた代官たちを捕まえる。そして、おさくの生き別れの兄だと名乗り出るのでした。
トランプハート
柴又に帰ってきた寅さんは、さくらと博 夫婦が一戸建ての家を購入したことを知らされ、その家の一部屋が自分が宿泊できるように用意されているということを聞いて感激します。

祝儀に源公から無理矢理借りた2万円を出すのですが、博たちは「気持ちに感謝」するものの「大金すぎる」といってお釣りを返そうとします。

お互いが相手を思うがゆえの、シリーズ定番の不幸なすれ違いが原因となって怒った寅さんは、これまたいつもの如く再び旅に出るのでした。


トランプハート


寅さんは「民謡 江差追分の全国大会」が開催されている江差へ啖呵売に行きます。

そして、その地でテキヤ仲間の「シッピンの常」こと水島常吉が寂しく死んでいった…と聞いて、線香の一本もあげてやろうと奥尻島を訪れます。

その地で寅さんは常吉の忘れ形見のすみれ(伊藤蘭)と出会うのです。


幼い頃に母も家を出ていて これといって頼る者が居ないすみれは

「東京に出て働きながら定時制高校で学びたい」という願いを持っていたことから、寅さんは彼女を連れて葛飾柴又へ戻って「とらやの親族たち」に協力を仰いで就職の世話や高校の入学手続きに奔走します。


さくらや博から編入試験のための勉強を教わったすみれは、試験から逃げ出したいと弱気になったりもしましたが、「このままの人生でいいのか?」と諭す寅さんの気持ちに応えて、晴れて試験に合格し、とらやに住みながらの学校生活が始まります。

すみれの学校での様子が気になる寅次郎は、毎晩教室へ顔を出すうちに、クラスメイトや教師らとも顔見知りになり、打ち解けていきます。


そんなある日、すみれの友人を名乗る男性の貞夫(村田雄浩)からとらやに電話が入りました。

さくらからすみれの勤め先を聞き出して連絡を取った貞夫は、登校してきたすみれと再会します。

かって恋人同士だった二人は過去の行き違いから喧嘩していたのですが、「一緒に暮らしてくれ」という貞夫の真摯な気持ちに打たれたすみれは、自分もまだ貞夫のことが好きだと告白します。

夜になってもとらやに帰ってこないすみれを心配した寅さんは慌てふためきます。

 

翌朝、戻ってきたすみれは心配をかけたことを皆に謝りますが、彼女が一晩中 男性と一緒にいた事を知った寅さんは怒りだします。

けれども、すみれの口から貞夫と結婚する意志があることを聞いた寅さんは、再び旅に出る決意を固めて身支度を始めます。

 

泣きながら謝るすみれに「幸せになれるんだろうな、お前。もしならなかったら、俺、承知しないぞ」と励ますと寅さんはとらやを出て行くのでした。

正月が来て、すみれと貞夫がとらやを訪れて「3月に結婚式を挙げる」と報告します。

貞夫の真面目そうな様子は寅次郎も気に入るタイプだ…と、とらやの人たちやタコ社長も太鼓判を押します。

すみれは、結婚しても定時制の高校に通う気持ちは捨てておらず、一方、寅さんから源公と とらや宛に年賀状が届きます。

源公への年賀状には「借金の返済はもう少し待ってほしいが、利息をつけて必ず返す」と書いてあり、

博とさくらへの年賀状には「すみれが幸せで暮らせるように見守ってあげてほしい」と父親代わりにお願いする言葉が書いてありました。


この映画を観た方と話をすると、ほぼ全員が「心打たれた」と言うシーンがあって、それは葛飾高校定時制の国語教師の林先生(演者:松村達雄さん)が授業の中で紹介する詩。

 

『便所掃除』という濱口國雄さんの詩で 以下のものですが、映画用に割愛された行や雨爺がかってに採用している行があります。

宝石緑

扉をあけます
頭のしんまでくさくなります
まともに見ることが出来ません
神経までしびれる悲しいよごしかたです
澄んだ夜明けの空気もくさくします
掃除がいっぺんにいやになります
むかつくようなババ糞がかけてあります

どうして落着いてしてくれないのでしょう
けつの穴でも曲がっているのでしょう
それともよっぽどあわてたのでしょう
おこったところで美しくなりません
美しくするのが僕らの務めです
美しい世の中も こんな処から出発するのでしょう

くちびるを噛みしめ 戸のさんに足をかけます
静かに水を流します
ババ糞におそるおそる箒をあてます
ポトン ポトン 便壺に落ちます
ガス弾が 鼻の頭で破裂したほど 苦しい空気が発散します 
落とすたびに糞がはね上がって弱ります
かわいた糞はなかなかとれません
たわしに砂をつけます
手を突き入れて磨きます
汚水が顔にかかります
くちびるにもつきます
そんな事にかまっていられません
ゴリゴリ美しくするのが目的です

朝風が壺から顔をなぜ上げます
心も糞になれて来ます
水を流します
心に しみた臭みを流すほど 流します
雑巾でふきます
キンカクシのうらまで丁寧にふきます
社会悪をふきとる思いで力いっぱいふきます

もう一度水をかけます
雑巾で仕上げをいたします
クレゾール液をまきます
白い乳液から新鮮な一瞬が流れます
静かな うれしい気持ちですわってみます
朝の光が便器に反射します
クレゾール液が 糞壺の中から七色の光で照らします

便所を美しくする娘は
美しい子供をうむ といった母を思い出します
僕は男です
美しい妻に会えるかも知れません。

 

宝石赤宝石緑宝石ブルー宝石紫

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