『キャスト・アウェイ/Cast Away (20th CENTURY FOX 2000年)』 | 日本と芸能事が大好きな Ameyuje のブログ

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米合衆国領土グアム島と仏領ポリネシアのタヒチ島とボラボラ島しか訪れた他国無し。比較対象が少ないのに「僕に一番合うのは日本」と思う。反日国に侮辱されても毅然とした態度をとらない現在の母国には「いやんなっちゃうな~」と立腹するけど、やっぱり日本が大好き。

キャスト・アウェイ
Cast Away
(20th CENTURY FOX 2000年)
 
 
 
 「キャストアウェイ(CAST AWAY 漂流)」というタイトルはとても意味深だ。
 絶望の果てまで覗きに行くような 運命が与えたチャック・ノーランドの過酷な人生。
 何度も傷つきながらも ウィルソンと共に希望を抱き続ける男の姿が見事に描かれている映画だった。
 
STAFF
Director ... Robert Zemeckis
Writer ... William Broyles Jr.

Music by ... Alan Silvestri
Cinematography by  ... Don Burgess
Film Editing by  ... Arthur Schmidt
Casting By ... Victoria Burrows
 
CAST
Tom Hanks … Chuck Noland
Helen Hunt … Kelly Frears
Nick Searcy … Stan
Jenifer Lewis … Becca Twig
Peter Von Berg … Yuri
Chris Noth … Jerry Lovett
Lari White … Bettina Peterson
Vince Martin … Pilot Al (as Vin Martin)
Fred Smith … HimSelf

チャック・ノーランド … トム・ハンクス
ケリー・フレアーズ … ヘレン・ハント
スタン … ニック・サーシー
ベッカ・トウィグ … ジェニファー・ルイス
ユーリ … ピーター・フォン・バーグ
ジェリー・ロベット … クリス・ノース
ベッティーナ・ピーターソン … ラリ・ホワイト
アルバート・“アル”・ミラー … ヴィンス・マーティン
本人役 … フレッド・スミス
 
 

 

 映画館で観た時には、トム・ハンクスの役者魂に脱帽する思いだった。
 トム・ハンクスが演じる主人公チャックは国際物流企業Fedexの管理職。
 
 
多忙な仕事に追われながらも恋人のケリーを大切に思い、しばしの別れだと「彼女との再会を約束して」飛行機に乗り込むチャックでした。
 
 
 
 しかし、嵐に巻き込まれたFedexの貨物ジェット機が大海原に墜落するところから雰囲気ががらりと変わります。嵐の中、大海原で救助用ゴム・ボートに命を懸けて、名も知らぬ無人島の浜辺に漂着するシーンまでは特殊撮影も含めてドキドキさせてくれます。
 
 とにかく、いきなり私達の日常世界と断絶する世界に投げ込まれ、取り残されたようなチャックの人生をキャメラはひたすら静かに見つめ続けるのです。
 
 
 
 
 漂流、無人島といえば誰もがきっと「ロビンソン漂流記」を思い出すでしょう。Robinson Crusoe が島で過ごしたのは28年、本作の主人公はおよそ4年。年数では Robinson に及ばないけれど過酷さの密度は本作の方が高いですね。
 
 
 そしてFedex貨物機の積荷や乗務員の死骸が自分と同じように無人島の海岸に漂着しています。
 絶対的な「孤独」の中で人間はどこまで耐えることができるのか? 哀しく、雄々しく、時に滑稽なチャックの姿をとおして映画はその答えらしきものを見せてくれます。
 

 Robinson には Friday という名の人間の相棒(黒人の従僕)が与えられますが、 Chuck にはWilson製のバレーボールが与えられるだけ。Chuck は自らの血でボールに顔を描き、ウィルソンと友のように呼んで心の拠りどころにします。この描写に僕の心は同情で埋め尽くされました。
 
 ウィルソンはボールというただの物体なのですが、まるで Chuck の心を映す鏡、Chuckの分身として何度も破綻しかける主人公の精神を支えるのですね。だから最後の当てのない漂流に出た海でのウィルソンとの別れは、まさに自分の手足をもがれるような悲しみだったことでしょう。
 

大海原の片隅でチャックに訪れたウイルソンとの別れ
 

 おしゃべり上手の Tom Hanks に一人芝居をさせて、ひたすら静かに彼を見つめるキャメラの視点が心地よくて秀逸だと思いました。普段の私達の生活が如何に素晴らしい騒々しさに満ちているかということも再確認しましたね。

 ウィルソンとの別離のほかで、もうひとつ涙を落としそうになったのは、本国に生還した主人公がかっての恋人 Kelly と再会したシーンでした。彼女は別の男性と結婚し、新しい家族を持っている。ウィルソンとともに彼に唯一生きる希望をあたえ続けてくれていた「Kellyとの再会」がついには彼女との決定的な別れでしかなかったという結末。
 

 「君を二度失った」という主人公の言葉は僕の胸に刺さりました。ただただ涙です。
 この思いは彼女 Kelly とて同じだったでしょう。生き別れは、死に別れよりもつらいといいますからね。「あなたを二度も失った」彼女のその思いは、ウィルソンに自分をずっと映して生き延びて来た彼だからこそ「はっきり聞こえた」に違いありません。

 身を引いた主人公、自分同様に本国に届くことなど考えられなかった筈のFEDEXの荷物を受け取り主届けに行く姿。新たな人生が風に乗ってやってくる予感を漂わせるラスト、佳い映画でした。
 
 

 

 蛇足ながら、トムは遭難前のちょっと小太りの身体から、無人島での生活のシーンでは50ポンド(約22.7kg)も体重を落としたそうですね。
 
 また、映画のロケで使用された島を表示するには、Googleマップに17.609152,177.038130と入力し、衛星モードでズームインすると参照できます。 チャックが頂上から見降ろす島のビーチは、フィジーのモヌリキの最東端だそうです。
 
 

執筆者への愛のムチを

頂けましたら幸甚ですニコ

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