①2019年度第二種電気工事士下期筆記試験問題の最初の方だけ考える(電気理論 問1~問2) | 日本と芸能事が大好きな Ameyuje のブログ

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米合衆国領土グアム島と仏領ポリネシアのタヒチ島とボラボラ島しか訪れた他国無し。比較対象が少ないのに「僕に一番合うのは日本」と思う。反日国に侮辱されても毅然とした態度をとらない現在の母国には「いやんなっちゃうな~」と立腹するけど、やっぱり日本が大好き。

 フォローさせて頂いているemiemi様の愉快なブログ「マレーシアの田舎キッチンからこんにちは」で、お嬢様の学校の理科(化学)の問題が掲載されているのを昼の休憩時間に拝見した。

 そんなことがきっかけで、今日は頭の体操というか、これまで映画ネタ不足の代替として数回、無理矢理こじつけで書いてきた「電気工事士資格」関連の情報ということで、昨年の出題を使って、問題の解き方紹介をすることでネタ不足を補おうと思いました。

 

 タイトルに挙げた昨年度下期の第二種電気工事士筆記試験問題の第1問は次のようなものでした。

【問1】

 これは「合成電気抵抗値の計算」についての知識を確認するもので、複数の電気抵抗(例R1、R2、R3)を直列につないだ場合と、並列につないだ場合、それぞれ全体で何オーム[Ω]の抵抗値になるか計算できますか? と問われています。

 

 まず、小学生レベルの用語確認ですが、電池や電気抵抗を相互に接続(connect)する形態は2種類ありました。

 

 上イメージの様に複数の電気抵抗を、一直線上に(全電気抵抗に同じ大きさの電流が流れる様に)接続するものを直列接続(series connection)と呼びます。 この場合に3つの電気抵抗をまとめた合成抵抗値をR0(combined electric Resistance zero)と名付けると、R0を求める式は  R0 = R1+R2+R3  となります。  つまり 直列接続時の合成抵抗値は各抵抗値の単純和(総和)で求められます。

 

 また、下イメージの様に、元の1本道の電路が分岐して、複数の電気抵抗に電流が分かれて流れる(分流と言います)ように接続するものを並列接続(parallel connection)と呼びます。

 


 並列接続された電気抵抗の合成抵抗値R0を求める式は、 

 

となり、 言葉で表現すると 『並列合成抵抗値は 各抵抗値の逆数の和 の逆数を求める』 となります。

※逆数とは、その数に掛け合わせると1になる数をいいます。 例として 3の逆数は1/3 であり、 2/3 の逆数は 3/2です。


 さて、ここで本題の問1の計算に戻ると、 a点からb点の間には、上記の「直列」と「並列」接続が入り混じった状態になっている。 このような状態を複合接続と呼ぶ。 複合接続された電気抵抗を合成していくには、 まず単純並列部分 (左下イメージでは桃色枠で囲った6Ω×2個の並列接続部分)だけの並列合成抵抗値を求めます。

  勿論、上で紹介した 「各抵抗の逆数の和の逆数」 の公式でも計算できるのですが、この式は抵抗の個数が3個以上の場合に使うと便利な式になります。 ここで注意したいのは、今回は抵抗の個数は2個であり、電気抵抗の個数が2個の場合には、もっと簡単な公式が用意されているので、 それを紹介しましょう。

 たとえば、電気抵抗がR1とR2のように数が2個の場合の合成並列抵抗値をもとめる式は、2個の電気抵抗値 両者の和分の積という式にして合成値を求めます。

 

 2個の電気抵抗の並列合成抵抗値R0は両者の和分の積という式を解けばよいわけです。

 

 実際の図に式を当てはめてみると、 桃色枠内の 合成抵抗値は R0=(6×6)/(6+6) =36/12=3[Ω] となます。

 さらに言えば、同じ大きさの電気抵抗Rが 並列でn個接続されている場合の合成抵抗値R0は、 1個の抵抗の値をつないだ個数nで割るだけで求めることができます。 (和分の積よりも まだ楽に計算できます)。

 

 今回の場合は R0= 6/n = 6/2 =3[Ω]と解くこともできるわけです。

 

 さて、これで黄色枠で囲んだ a-b点間の下側ルートには3[Ω]と3[Ω]が隣り合って一直線上に並ぶことになり、 これは直列接続なので、合成するには単純に 3+3=6[Ω]と和を求める計算を解きます。 これで、一番最初の複合接続回路は、最終一歩手前の段階で、a点とb点間に下段ルートに6[Ω]、上段ルートに3[Ω]という2つの電気抵抗が並列接続された形にまとまります。

 

 大きさの違う2つの電気抵抗の並列接続ですから、 使う式は 「和分の積」です。

 

 a点とb点間の 最終的な合成抵抗値は (6×3)/(6+3) = 18/9 = 2[Ω] となります。

 問1の 答え. ロ.2

 


 

【問2】

 

◎この問題が溶ける大前提として、 抵抗率について知っている必要があります。

 ◆抵抗率(resistivity):正式には電気抵抗率(electrical resistivity)と呼び、物質がどれ位 電気を通しにくいかを比較するために用いられる物性値。 抵抗率を表すのにはギリシア文字のρ(ロー)を用いる。 単位は、オームメートル[Ω・m]。
 

 さらに、固有の低効率ρ[Ω・m]を持った物質の形状が、その断面積S[㎡]と長さL[m]によって 何[Ω]の抵抗値を持つことになるかを求める「抵抗値と低効率の関係」と呼ばれる下の計算式を覚えている必要もあります。

 抵抗Rが何[Ω]になるかを求める式は以下のようになります。

 

◎次に、問2で使われているように、電線の太さを表す方法として、「単線の場合は心線導体の直径(単位㎜)」 または「より線の場合は導体を構成する素線断面積の合計(単位㎟)のいずれかを使用します。 (単線は直径を㎜で、撚線は断面積を㎟でサイズ表現する)。

 

 小学校の高学年で習うように、 円の面積(ここでは断面積)Sを求めるには次の公式を使う。

 

この正攻法で行くと、問2が最初に提示する単線Φ2.6㎜の導体芯線の断面積は  3.14×(2.6/2)^2=5.3066㎟ となる。

その他 解答候補ハ.に出て来る単線Φ1.6㎜の断面積は  3.14×(1.6/2)^2=2.0096㎟ 、

また、 解答候補ニ.に出て来る単線Φ3.2㎜の断面積は  3.14×(3.2/2)^2=8.0384㎟ 

 

 ある物体の抵抗値 R[Ω] は 抵抗率ρ × (長さL / 断面積S) できまるのだから、 今回は物体(物質)の種類は同じ銅なので、

長さL / 断面積S の比だけに着目して、値が同じになるものを「解答候補 イ~二」の4つの中から選べばよい。設問では長さが10mとあるので、候補中では

 イ.断面積5.5㎟    と

 ロ.断面積8㎟     の2つが試しに選択でき、

さらに上の計算で、単線Φ2.6㎜の導体の断面積は約5.3㎟ と求めていたので、 上の候補だと イ.断面積5.5㎟ が近似しており、ロ.断面積8㎟ は大きく異なっているので、 イ.が正解となる。

 

 念のために 10m/5.5スケ=約1.8 の比率と候補ハが合うか確認すると、

 ハは 20m/2スケ=10 となるのでアウト。

 二は 5m/8スケ=約0.6 となるのでアウト。

 

 やはり 問2の 答え. イ   となります。

 

※さて、1問でたった2点しか獲得できないのに、 こんなにたくさん計算しなければならないというのは 「割に合わない」ですよね。

 なので、実はこの問題には別の解答アプローチがあります。

 

 それは、7月3日の記事「大脱線(1):第二種電気工事士筆記試験出題範囲より、配電理論のお勉強『需要率』その用語解説」の中で紹介した、 電気工事士が屋内配線工事で使用する 代表的な単線と撚(より)線との「相当品一覧」の表を暗記することになります。 この下に同じ表を貼っておきます。

 

※一般家庭の屋内配線として使える電線の最低の太さはΦ1.6㎜からなので、その1.6㎜から太くなる方へ数種類、 代表的な太さを以下に紹介します。 : を境に隣り合った同士が相当品(許容電流値が近似するもの。さらに言えば太さが同じとみなせるもの)です。より線の断面積単位は㎟ですが、現場では面積を表す スクエア→スケア→スケ という風な省略形で「スケ」と発音します。 例えば単線3.2ミリ相当の より線は8スケとなります。

単線(Φ㎜)許容電流値: より線(sq) 許容電流値 
1.6ミリ   27[A] :  2スケ      27[A]
2.0ミリ   35[A] :  3.5スケ    37[A]
2.6ミリ   48[A] :  5.5スケ    49[A]
3.2ミリ   62[A] :  8 スケ     61[A]
周囲温度    30℃
絶縁体許容温度 60℃ とする (電流の単位:A)

 

☆この上の単線とより線の相当品としての対応表を丸暗記しておけば、 いちいち 半径×半径×円周率などという計算をしなくても 電線の断面積はすぐ出てくるわけです。そしてこの表を覚えておくと、他にも2問ほど出題比率の高い問題で再利用できます。(6点分の得点につながるということです) さらに言えば、この問2は一言一句変化せずに 過去10年間の間に3回以上出題されている問題ですので、 単線Φ2.6㎜で10mの銅線の相当品 は より線5.5スケで10mと同じだと 丸覚えしても良いでしょう。

 

今日は たったの2問しか確認できずに申し訳ありません。 ひとまず今日はここまでで置きたいと思います。

 

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