Last Blood レビューへの布石(1):世界の麻薬事情とメキシコという国の危険性について | 日本と芸能事が大好きな Ameyuje のブログ

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米合衆国領土グアム島と仏領ポリネシアのタヒチ島とボラボラ島しか訪れた他国無し。比較対象が少ないのに「僕に一番合うのは日本」と思う。反日国に侮辱されても毅然とした態度をとらない現在の母国には「いやんなっちゃうな~」と立腹するけど、やっぱり日本が大好き。

 なっちゃん様のブログで「ランボー ラストブラッド」のレビューを拝見し、「そうや、観に行かんと!ガーン」と思い、昨夜TOHOシネマズ西宮で鑑賞してきた。 「早よぉ、レビューを書けよゲホゲホ」って話だが、実は鑑賞後に簡単な感想をなっちゃん様のブログコメントで書かせて頂き、 さらにそのお返事で元AKB48のメンバーの方(当方で調べると入山杏奈さん)が女優留学を計画して既にメキシコに移住されており、しかも「メキシコが魅力的で楽しい」と評価していたとお聞きした。

 

 私もネットで調べると留学は2019年春からの1年間だったということで、メキシコ在住時に開設されたYoutubeチャンネルがあり、現在は日本に帰国されているようで、Youtubeチャンネルを通じて、流ちょうなスペイン語を使って日本からの情報を外国に向けて発信されているようである。

 

 とにかく無事でよかったが、彼女がメキシコ在住時に発した言葉を単純に信じる一般の日本人女性が出ると怖いな…と老爺心が働いて、このような警告文章を書こうと思った次第だ。

 

 私がこのブログで「日本が好き」と書く一番の理由は、世界のG20などに挙げられる先進各国と単純比較した場合でも我が日本国が国民にとって高い安全性を確保してくれている事と、警察組織の優秀さに感謝しているからだ。

 

 もしも比較するために海外の治安の悪さを知りたければ、ネットを使えば簡単に知ることができる。 日本のマスコミとは違って東南アジアや、中南米の国々の報道では、日本のメディアのように「死体」「負傷者」「犯罪者」を隠すようなことはしない。 犯罪被害状況については、警察が現場検証している様子も含めて、原型に近い形の映像で媒体に掲載することが多かったと思う。

 

 日本のように自由な国家のネットワークというのはありがたいもので、努力すれば、外国の報道や情報を原型に近い形で観ることができる。 例えば「世界の危険な国ベストテン」などを調べて、その国の言語でキーワードを並べて新聞記事の検索をすれば、15%程度の確率で「読みたかった記事」を見つけることも可能だ。

 

 

フリーダ・カーロとサルマ・ハエック

 

 私は2002年度アメリカ製作の映画で「フリーダ」という作品に出合い、サルマ・ハエックが演じていた主人公のフリーダ・カーロという、とてもチャーミングなメキシコの女流画家の人生を観てから、メキシコに少し興味を持った。 そして、映画を観た2003年頃からネット上でメキシコの報道なども検索するようになったのだ。

 

 丁度その頃は、メキシコ最古の歴史を持つ犯罪組織といわれ、当時 麻薬カルテルの雄であったガルフ・カルテルに対して、彼等から見れば「1989年に結成された新興」の麻薬カルテルであるシナロア・カルテルが南西テキサスの麻薬密輸ルートの占有を狙って抗争を仕掛け始めた頃だった。

 

 このカルテルの名は、メキシコのシナロア州という地名から来ている。 日本における北関東大久保一家みたいなものだろうか。 シナロア州は太平洋沿岸にあり、カリフォルニア湾の入口付近に位置し、ケシやマリファナの主要栽培地も抱えており、北にはソノラ州、北東にチワワ州がある。

 

 

 この メキシコのチワワ州、そしてその州内でも最大都市のシウダー・フアレス(Ciudad Juárez)といえば、ドキュメンタリーも数本作られたほど、のち(2008年以降)の麻薬抗争の激戦地になる。日本でチワワと言えば泣く子もほほ笑む可愛い犬だが、メキシコのチワワ州、その中でもシウダー・ファレスと言えば泣く子がさらに泣き叫ぶ無法都市状態が2013年を過ぎる頃でも続いていた。

 

 

 カルテルの抗争が、真実「戦争」と表現できるまでに激化したのは、ガルフから分家の様に派生したロス・セタスの出現からだろう。元メキシコ陸軍特殊部隊隊長だったアルトゥーロ・グスマン・デセナ大尉が自分の部下や同僚だったメキシコ軍人30人を引き込んでカルテルの傭兵部隊を作ったところから組織強化されたという。ガルフ分家の出自らしく、2010年に分離するまではガルフの宿敵であるシナロア・カルテルと死闘を繰り広げた。 「死闘」と書いたが、言葉の綾ではない。 文字通り血で血を洗う抗争だった。

 

 いつものように話がどんどん 脇道にそれていくが、お許し願いたい。 元AKB48の入山杏奈さんの言葉にもしかしたら影響を受けてメキシコ渡航を考えるかもしれない日本女性に、まだ10年も経たない過去に、恐ろしい治安状況の大都市がメキシコに在ったということを伝えてあげたいのだ。

 

  例えば、2013年暮れ頃のチワワ州の大都市、シウダー・ファレスは、警察組織、裁判所共に麻薬カルテルの支配下に置かれていた。生活者たちは社会生活を送る必要があるから、企業も活動しているし、マーケットも活動している。だから 誰かが殺されることでもなければ、外国から来た旅人には昼間の街の様子は危険性を感じさせないのだ。

 

 しかし、すでに2006年の段階で公開された映画 『BORDERTOWN/ボーダータウン 報道されない殺人者』 という作品の中でも告発されている事象が映画公開時まででも10年間続いていた。映画のレビューを探せば「その事象」は簡単に分かるが、内容はこうだ。

 

  1992年12月、アメリカ合衆国の罠ともいえる北米自由貿易協定(NAFTA:North American Free Trade Agreement)にカナダとメキシコは署名し、1994年が明けてすぐにNAFTAは発効した。映画「BORDERTOWN」では、NAFTAにより世界各国に工場を持つグローバル企業が、シウダー・ファレスに進出してくる。 そこにはマキラドーラと呼ばれる保税輸出加工区の大工場群が出現していた。

 

 トウモロコシ生産農家が打撃を受ける中、生きるためにグローバル企業の工場で働くしかない現地の少女達は、24時間体制で、家電製品やパソコンの部品などを低賃金で生産している。 そんな少女たちの周りではある事象が続いており、それは犠牲者を排出する事件だった。

 

 工場働きの女性工員たちが集中的にその犠牲者にされており、映画で描かれるその事象とはレイプされたうえに命を奪われるというものだった。 映画ではメキシコ政府が国益優先で事件に対して向き合おうとせず、警察組織も腐敗の中に在って捜査をサボタージュして、事件などなかったことにしてしまうのだ。

 

 映画が描いた事柄は現実をモデルにしていた。 実際に当時のシウダー・ファレスで生きていた女性工員たちは、アメリカのグローバル企業が経営する工場で、夜間勤務にも従事した。 そこで工場手配のバスが女性工員たちを送迎するのだが、このバスの運転手がマフィアの一員だった。マフィアの構成員と二足の草鞋を履くバス運転手は、性欲が湧いたら乗客の中にいる好みの女性工員をバスから降ろさずに人気ない場所まで連れて行ってレイプするという悪行を繰り返していた。

 

  哀れ極まりないのは、彼女たちは、24時間制労働に就く為に真夜中の送迎バスに乗って帰宅するまでの間に、同僚女性がレイプされ続けていることを知っていることだ。 全員がそれを知っている。明日は自分がレイプされることも覚悟している。 それでも逃げないのは、仕事を無くすと自分と家族が飢えてしまうからだ。また、我慢できずに警察組織や司法に訴えても、前述のように警察署もマフィアの支配下にあるので、最初から頼りにはならないのだ。 だから恐怖に震えながらも何も言えず、逆らえず、レイプされるがまま工場での労働も続けていたのだ。

 

 NAFTA発効前の 1993年から2008年までの15年間で、記録されているモノだけで、500件に及ぶ女性殺害事件が起こっている。確認記録されている数字だけでその数であり、実際には女性殺害事件は5000件に及ぶと推計されている。 また、その後、2012年になると、シウダー・ファレスの街だけで性暴力の犠牲になった女性たちは約1万人を超えていたと言われる。

 

 象徴的な実話として、2013年の8月に2日連続でバス運転手が殺害された。犯行後に「バス運転手ハンター ダイアナ」という署名で「これは性的虐待に対する報復だ」と書かれた電子メールが地元メディアに届いたという。

 

 マフィア・カルテルの構成員を殺すという行為は、カルテルにたてつく行為だ。身元がバレた場合、カルテルは女子供でも容赦ない。比較的綺麗な殺害方法として、下のように遺体の全身が一体で残されている形がある。全身に打撲痕があり、全裸で街角に捨てられてはいたものの、体の部位に関しての損壊は無いものだ。

 

 

 片や、次のようなケースもある。 ロス・セタスの麻薬犯罪を扱い、セタスと対立する立場にあった女性弁護士のナイェリ・サントス・レイエス(当時32歳)は2010年1月に裁判所に向かう通勤途中の自動車を止められ、そのままセタス構成員に拉致され、その3日後に損壊された遺体が「小学校近くの路上」に捨てられているところを発見された。 彼女の遺体は両脚が太ももで切断され、両腕は手錠をされたまま肩から切断され、頭部も切断されていた。検死報告書によると、この切断行為は殺害後の遺体に対して行われたと断定され、死者へのわずかな救いとなった。

 

検死官によって確認されるナイェリ・サントス・レイエスのデッドボディー

 

 メキシコのヤクザ者にとっては、女性は「モノ」でしかないのだと、日本女性は肝に銘じてほしい。天使のような太陽が照り付ける昼間、平穏に見える街中でも、失業して貧困の中にいる男(マフィア構成員の予備軍)に目を付けられた段階で、大きな確率で自分の人生が破壊される崖っぷちに立つことになる。 くどいが、町によっては警察ごと、マフィア、カルテルとグルなのだから。

 

 だれも あなたを 助けに来ない。 ランボーのように、あなたを助けに来てくれる者は、現実のメキシコには居ない。

 

執筆者への愛のムチを

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