前回に続き、台湾旅行について書きます。

 

前回の記事はこちら↓

 

 

 

三貂嶺

 

 今日は平渓線の起点である三貂嶺について書きます。

 

 秘境駅


 三貂嶺駅は台北から電車でわずか一時間。宜蘭線と平渓線が分岐するターミナル駅でありながら、秘境駅でもあるという稀有な場所です。断崖絶壁と川に挟まれ狭く奥まった場所に位置するため、駅の周辺に車が近づくことができないのです。一番近い車道でも1キロ以上離れているという秘境っぷりです。

 

 

 断崖絶壁と川に挟まれた三貂嶺駅はギリギリの狭さ。プラットホームも人が一人やっと立てるくらいの幅しかありません。

 

ギリギリの幅のプラットホーム。

 

 この駅で乗り換えを行う場合、駅員の指示に従って線路を渡り、一旦改札の外に出て次の電車を待ちます。通過電車の風圧に晒されて危険なので、プラットホームで待機することは許されないのです。

 

 駅と外界を繋ぐ道

 

 駅は細々とした歩道で辛うじて外界と繋がっています。

 

線路と川の間に挟まれた肩身の狭そうな歩道。

 

 この道はGoogle Mapsにも存在を認識されておらず、三貂嶺駅からどこか近くの地点までの徒歩ルートを表示させようとすると、ありもしないルートが表示されます(2025年2月現在)。

 

駅のすぐ隣に基隆河に張り出した廃屋があります。

 

樹木が壁にしがみつき、まるでアンコール遺跡のよう。

 

 この小路は途中で宜蘭線の線路下をくぐります。

 

線路をくぐる地下道。天井に頭をぶつけそう。

 

 本数の多い宜蘭線が川を渡って行ってしまうと、線路は平渓線の単線だけとなり、景色は途端にのどかになります。

 

柵で仕切られていない平渓線の線路。

 

踏切にも遮断機がありません。

 

基隆河にかかる平渓線の鉄道橋。脇に細い歩道があり、人間も渡れます。

 

 廃墟カフェ

 

 駅から10分ほど歩くと、橋の手前に小さな集落があります。


集落といっても、家が数軒並んでいるだけ。

 

ここがわたしたちの目的地である廃屋カフェ:Cafe Hytte。Google Mapsにも載っていない、知る人ぞ知る人気カフェです。

 

キジトラちゃんが店番をしています。

 

 日本にも古民家カフェはたくさんありますが、ここは「古民家」なんてものではなく、もはや「廃墟」もしくは「廃屋」。崩れ落ちた民家をリノベーションしてカフェにしています。

 

 ちなみに台湾ではこうしたレンガの廃屋をよく見かけました。日本の木造家屋は築100年くらいでは屋根が落ちませんが、台湾のレンガ造りの家は屋根が脆いようです。三匹の子豚のお話では木造よりもレンガ造りのほうが丈夫なことになっていますが、実際は違うのでしょうか。

 

どうです、このワイルドな壊れっぷり! ちょっとこれは日本ではお目にかかれないでしょう。

 

自然と一体化していて隠れ家的。

 

屋根を葺きなおし、床を貼ってある部分も。抜群のセンスに痺れます。

 

わたしはチョコレートコンパンナとカヌレを注文。

 

 

 オーナーご夫妻はかなりの日本通。カフェを始める前はアンティーク小物を買いにしょっちゅう来日していたそうです。日本のポップスにも造詣が深く、店内には山口百恵が流れていました。最近80年代にハマっているのだそうで、大滝栄一や井上陽水、山下達郎などもお好きだそうです。

 

 奥様は日本語もペラペラ。日本語でおしゃべりが楽しめました。日本人のお客さんは滅多に来ないのだそうで、日本人だとわかると喜んでくれ、ちょこっとサービスもして頂きました。

 

台湾産のパイナップル。甘い。

 

 三貂嶺エコフレンドリートンネル

 

 廃屋カフェで一休みしたあと、平渓線の鉄道橋を渡り、三貂嶺エコフレンドリートンネルに向かいました。

 

 このトンネルは元々宜蘭線のトンネルでしたが、新しいトンネルが開通したためお役御免となりました。2022年に自転車および徒歩専用としてリニューアルオープンしたばかりのトンネルです。

 

三貂嶺駅近くからトンネルの入り口を見たところ。駅の対岸にあり、直線距離は近いのですが、基隆河を渡るのに2キロ半ほど迂回しなければなりません。

 

 三貂嶺駅からGoogle Mapsを頼りにトンネルの入り口へ行こうとすると、これまたありもしない道を示されます。三貂嶺駅からの正しい行き方は「平渓線に沿って南下し、平渓線の鉄道橋を渡ったら基隆河に沿って車道を北上する(猴硐方面に向かう)」です。

 

三貂嶺から猴硐方面に向かう。

 

猴硐側から見たエコフレンドリートンネルの入り口。

 

 エコフレンドリートンネルは環境保全のため人数制限があり、事前にインターネット予約が必要です(予約申請はこちら(中国語のみ))。

 

 入り口で予約のQRコードを見せると、手の甲にスタンプが押され、入場を許可されます。そこから木道を200メートル歩くとトンネルの入り口に着きます。

 

 

 さあ、トンネルに着きました。中に入ってみます。

 

中は暗く、床はびしょびしょの水浸し。でもこれにはワケがあります。

 

 しばらく歩いて後ろを振り返ると・・・。

 

トンネルの床の水が景色を反射して、こんな素敵な鏡張りが・・・!

 

このトンネル(三瓜子トンネル)は短かったのですが、先にはまた別のトンネル(旧三貂嶺トンネル)が続いていました。

 

 当初の予定では入口の鏡張りを見たら引き返すつもりだったのですが、なんだか先が見たくなり、先へ進むことにしました。

 

 ところがこれが長かった・・・!

 

二つ目のトンネルの入り口付近に2K800という表示がありました。2キロ800メートルという意味でしょうか。

 

どうやら100メートルごとにカウントダウンされていくようです。

 

でもトンネルは長い。歩いても歩いてもまだまだ続きます。

 

2K000、1K500・・・。

 

 このトンネル、一体どこに続いているんだろう・・・?

 

1K000の表示が現れたところでやっと出口が見えました。

 

 

外に出てからもカウントダウンは続きます。

 

カウントダウンを追って行くと、宜蘭線下り方面の隣駅・牡丹駅に着きました。

 

 宜蘭線といえば、朝、宿のご主人から「宜蘭線の福隆駅は駅弁で有名」と聞いたのを思い出し、せっかく近くまで来たので、3駅乗って福隆まで駅弁を買いに行きました。

 

 

 福隆滞在時間は15分。駅前でお弁当を買うとすぐに宜蘭線で三貂嶺駅に取って返し、駅のベンチでお弁当を食べました。そして平渓線に乗り換えて夜の天燈上げを見に十分へ向かいました。

 

 

 

 三貂嶺に関しては日本語で読める情報が寡少で苦労したので、ちょっと詳しめに書いてみました。参考になれば幸いです。

 

 三貂嶺は、秘境駅の風情といい、廃屋カフェといい、エコフレンドリートンネルといい、ここにしかないものがある場所です。今回は行きませんでしたが、美しい滝がいくつも見られる三貂嶺歩道というハイキングコースもあります。駅の周辺は撮り鉄スポットとしても人気があります。

 

 将来、三貂嶺駅をリニューアルして車が入れるようにする計画もあるようです。三貂嶺がまだ秘境駅のうちに訪れてみてはいかがでしょうか。

 

今回のコーデ

 

  台湾に持って行った服の2コーデ目。三貂嶺へ行った日に着ていたコーデです↓

 

 ハイネックカットソー:GU(リブレースハイネックスタイルヒート)
 カーディガン:ノーブランド

 スカート:ノーブランド

 靴:GU

 バッグ:Lesportsac

【色番】P264 ハッピーデイジー(Happy Daisy)

【型番】7520 クラシックホーボー(Classic Hobo)

 

このカーディガンも、旅行前にたまたまリサイクルショップで見つけたもの。凝った手刺繍が気に入っています。本来は丸首ですが、首元をすっきり見せたくて、丸首部分を中に折り込み、Vネックにして着ていました。