先日、(伊勢)神宮の月次祭が行われましたが、神宮には、祭主がいらっしゃってその祭主は、現在上皇陛下の皇女黒田清子様が就任されています。この祭主について初めて知ったのは、前回の遷宮より数年前ぐらいの頃で、その頃は神社に始まり天皇と皇室について学びだした時期でした。当時の祭主は、昭和天皇の皇女であられる池田厚子様でした。祭主は神宮の主要なお祭りには必ずいらっしゃるわけですが、高齢なそのお姿を動画などで拝見して、お勤めは大変だろうなあと感じていたものですが、平成24年(2012年)には、黒田様が臨時祭主を務められるようになり、平成25年(2013年)の式年遷宮で奉仕されてらっしゃいました。そして平成29年(2017年)には祭主を引き継がれました。

 

池田厚子様は岡山県在住で、先月岡山県で全国植樹祭が行われ天皇皇后両陛下ご臨席のため岡山へ行幸啓された際には、ご自宅を訪問されたことがニュースとなりましたのは記憶に新しいことと思います。

 

祭主は神宮の主要なお祭りの際に、奉仕されるのですが、主要なお祀りとは祈年祭、6月と12月の月次祭、そして神嘗祭の4つの大祭を指します。神宮をはじめ、皇室縁の神社の大祭には、天皇陛下の勅使である奉幣使が参向されますが、神宮の場合は祭主が奉幣使として、天皇の意思を御祭神に伝えられることを役目としています。

 

明治以前までは、中臣家の世襲祭主でしたが、明治以降は皇族が就任し戦後は明治天皇の皇女であられた北白川房子が就任され、以降も皇女が就任されています。

 

祭主を引き継がれ参拝される映像

 

先日行われた月次祭の映像(祭りそのものの映像はございません)

 

 

 

なお、現在の伊勢の大宮司は2年前に就任された久邇朝尊(くにあさたか)氏で、高祖父は久邇宮朝彦親王という旧皇族の家系の方です。またその前の大宮司もやはり旧皇族小松宮家の流れをくむ小松揮世久氏が就任されていました。

 

 

 

今年は、敬宮内親王殿下が神宮に初めて単独で御参拝され、その際に斎宮歴史博物館に御成りになられたことも話題となりました。

2024/03/26

敬宮愛子内親王殿下さまが伊勢神宮を参拝された。お一人では初めての地方訪問に、ひと目見ようと多くの人が集まった。 天皇皇后両陛下の長女・敬宮愛子内親王殿下さまは26日午後4時半過ぎ、伊勢神宮の内宮を初めてお一人で訪れ、参拝された。敬宮愛子内親王殿下さまの伊勢神宮参拝は、中学校入学後の2014年以来10年ぶり。 敬宮愛子内親王殿下さまは午後1時ごろ、オフホワイトのスーツ姿で近鉄鳥羽駅に到着し、出迎えた駅長や三重県知事らとあいさつを交わされた。 鳥羽駅では、集まった人たちから「愛子さま!」と大きな歓声が上がった。 動画を撮影した男性は、「動画を見ても本当にすてきだなって。温かい気持ちをいただいた感じですね」と笑顔で語った。 1人で地方を訪問するのは、今回が初めての敬宮愛子内親王殿下さま。午後2時40分ごろには、伊勢神宮の外宮に到着された。居合わせた人は国旗を振って出迎えていた。 三重県からの参拝者は、「ステキですね、可憐ですね、感動しました」と話した。 午後3時過ぎ、敬宮愛子内親王殿下さまは白いロングドレスに帽子姿で、地元の園児たちに笑顔で会釈され、伊勢神宮の外宮の静かな参道をゆっくりと進み、参拝された。 続いて午後4時半過ぎ、敬宮愛子内親王殿下さまは伊勢神宮の中心的な社、内宮に足を運ばれた。 内宮の入り口では「ご卒業おめでとうございます!」との歓声が上がった。 天皇家の祖先とされる天照大神が祭られる正殿に向かい、玉串をささげ、深く拝礼された。 今回の参拝は、学習院大学の卒業と日本赤十字社への就職を報告するためのもの。 26日は鳥羽市内のホテルに1泊、27日午後には奈良県に移動し、初代天皇とされる神武天皇陵を参拝したのち、帰京される予定だ。

※称号・敬称を追加しています。なお、最初以降は「殿下」に省略できますが、訂正線が畏れ多いため全て追加訂正分となっています。

 

2024/03/27

三重県を訪問中の、天皇皇后両陛下の長女・敬宮愛子内親王殿下さまは、伊勢神宮に仕えた女性皇族「斎王(さいおう)」に関する博物館を訪問された。 訪問2日目の27日、敬宮愛子内親王殿下さまは午前9時半ごろ、三重・明和町にある「斎宮歴史博物館」に到着し、集まった地元の小学生などに手を振られた。 地元の人「優しいお顔で、きのうからテレビにくぎ付け」 館内では、天皇の代わりに伊勢神宮に暮らし、天照大神に仕えた未婚の女性皇族「斎王」の歴史などについて紹介されている。 敬宮愛子内親王殿下さま「居住スペースはこちらの寝殿?」 敬宮愛子内親王殿下さまは、恋愛が禁止されていた斎王のラブロマンスが描かれた絵巻の説明を受け、「斎王はタブーですか? これ(恋愛)が描かれているのが面白いですよね」と話されていた。

※称号・敬称を追加しています。なお、最初以降は「殿下」に省略できますが、訂正線が畏れ多いため全て追加訂正分となっています。

 

伊勢の斎王といえば皇女を始めとする未婚の皇族女性が就任してきた歴史がありますが、それも遠い昔に廃されています。祭主と似たもののように感じられるかもしれませんが、祭主が天皇の勅使であるのに対し、斎王は上記にあるように、神宮に仕えることが使命であり天皇の代わりに伊勢神宮に暮らしていた方達です。今では廃されているため、敬宮殿下が斎王になることはございませんが、祭主については将来就任されるかもしれないことは念頭にあるのではないかと存じます。そう考えると今回雨の中の訪問と思われる中、直前に晴天になったことは、内宮と外宮のそれぞれの神々の歓迎の思し召しのように感じられたのではないでしょうか。

 

斎王は、神宮に仕えた巫女的な(現在の神社でのお飾り的なものではなく、本来の神に仕える存在としての巫女)存在でしたが、もともと天皇ご自身も斎王であられ、皇居内には宮中三殿があり主要なお祭りは天皇陛下ご自身が今もなさってらっしゃいます。なぜなら、天皇陛下が一番大切にされていることは宮中祭祀であられるからです。この宮中で行われていたお祭りが、三種の神器の御神鏡が伊勢に祀られたことで、神宮でも行われるようになったのが神宮の始まりといわれますから、神宮のお祭りを知ることはもともとの宮中祭祀を知ることにもつながるのではないかと存じます。神宮の潔斎はとても厳しいものと言われていますが、その神宮でお勤めされた神職の方が、宮中の潔斎はもっと厳しいといわれるそうです。

 

神社について知るとそうした潔斎についても知るようになりますが、その潔斎を知るとなぜ女性の神職が少ないのかも理解できるようになります。古代の斎王をみると幼い年齢でなることが多かったのは、幼い年齢なら潔斎が楽だったからではないかと推察できます。しかし成長にともなって月のものが始まる年齢になれば潔斎以前に奉仕できる日も短くなったことでしょう。斎王の親である天皇や兄弟の親王などが御隠れになると斎王もその役目を解かれたのは、「死」という穢れからの潔斎の意味合いもあったのでしょうが、「血」という穢れによる潔斎が定期的にあるためでもあるのではないかとも考えられるのです。もちろん、古代の死の忌み日は長かったということもあります。

 

女性には毎月「血」の穢れがあり、潔斎が厳しいところでは避けなければならないわけですが、女性は毎月あるというだけで、この「血」や「死」の穢れというものはもちろん男女の区別はありません。男性でも血を伴う怪我などをした場合は、神社参拝などは遠慮しなければならないですし、神職でそのようなことがあればご奉仕はもちろん控えなければならないのです。

 

以前、今も行われている神宮での主要なお祭り前にお仕えする神職を決める儀式の話を聞いたことがあります。占いに当たるような儀式なのですが、そこで外れてしまえばその儀式には奉仕することができません。だいたいは、そのまま儀式は終わり、神職はお勤めできるようなのですが、たまにその儀式で外されてしまうことが起きることもあるそうです。外された神職にとっては結構なショックなことのようなのですが、その後、その外された神職や身内になにかしら起きたりして、潔斎が必要なことになることがあるため、なるほどそのために外されたわけなのか、と納得されるんだそうです。つまり神宮ともなれば、そうなるまえに最初からその神職はそのお勤めからは外されてしまうということなのです。

 

宮中祭祀は、天皇が行われる祭祀ですが、各宮家にも祭祀があります。そのため、過去、宮家で後継ぎがいない場合はその祭祀を引き継ぐために、他の宮家から養子が入ったということもありました。つまり、宮家があるということは、その各宮家にも祭祀があるということなのです。そうした祭祀があるということをきちんと知ることが重要であり、大切なのはそう知ることで初めて理解できることもあるからです。

 

海外の王室や単純な男女同権を天皇や皇室に持ってきても、当てはめられないのは、こうしたことがあるからです。まずは、天皇と皇室の歴史や宮中祭祀をはじめとする神道について知ることは、天皇と皇室への理解を深め、ひいては日本とそこに所属する自分自身を知るためにも大切なことだと思います。

 

昔は、神社などにまつわることは誰もが知っていましたし、知っているからこそ天皇や皇室へについて何も知らなくても理解できることが多かったのだと思います。しかし、今では神社などに関することをきちんと教える人が減ってしまい、ただパワースポット的な意味あいでしか理解していないということもあるのではないか、と見受けられます。

 

私もまだまだ勉強中の段階ですが、こうしたことを少しずつでも知ってきたことで、例えば女系天皇や女性宮家の違和感を感じたり、また過去の女性天皇がなぜ引き継ぎで即位されてきたのかということが理解しやすかったわけです。

 

薄い冊子ですが、わかりやすい『宮中祭祀』。入門テキストとしてお薦めです。

 

神社検定のテキストは日本を理解できる教科書です。神社検定を受けなくても、こちらを一読することをお勧めします。

 

 

 

神職でもある涼恵さんの歌う「君が代」

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