皇后陛下は本日60歳のお誕生日をお迎えになられました。

おめでとうございます。

 

*地久節とは、皇后誕生日の旧称です。老子の「天長地久」による語で、天皇誕生日の旧称である天長節に対となる名称。明治の初めごろから宮中では儀式が行われていましたが、明治20年代に、地久節を奉祝すべきとの世論が高まり、女学校では学業を休んで奉祝式を催すようになりました。以来昭和に至るまで続きました。明治時代の地久節は5月28日、大正は6月25日、昭和は3月6日、平成は10月20日。終戦後、天長節が天皇誕生日と改称されるとともに地久節の名称がなくなりましたが天長節と同様残したい言葉です。  

 

皇后陛下お誕生日行事 令和5年12月9日(土)
行事時刻    出御    行事    事項       場所
午前     両陛下    祝賀    宮内庁長官、宮内庁次長(総代)及び皇宮警察本部長(総代)    鳳凰の間
同      両陛下    祝賀    参与等      鳳凰の間
同      両陛下    祝賀          梅の間  

内閣総理大臣及び内閣法第9条1順位指定大臣並びに以上の者の配偶者並びに国務大臣、内閣官房副長官及び内閣法制局長官
衆議院及び参議院の議長及び副議長並びに以上の者の配偶者
最高裁判所長官及び最高裁判所判事(長官代行)並びに以上の者の配偶者
会計検査院長、人事院総裁、検事総長、公正取引委員会委員長及び原子力規制委員会委員長 
同      両陛下    祝賀    皇嗣同妃両殿下お始め皇族各殿下     梅の間
正午     両陛下    祝賀    元皇族(代表)及び御親族(代表)    竹の間
午後     両陛下    御挨拶    上皇上皇后両陛下          仙洞御所
同      両陛下 愛子内親王殿下    祝賀    侍従長始め侍従職職員    御 所
同      両陛下    祝賀    元側近奉仕者(代表)    御 所

 

今年は事項にある行事に参列される人の人数が増えており、コロナ禍前に戻っているように見えますが、今年もお祝い御前がありません。

 

皇后陛下さまは9日、還暦となる60歳の誕生日を迎えられた。結婚から30年の節目に当たる今年、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が見直されるなどしたこともあり、外国訪問や再開された宮殿行事など、多くの公務に天皇陛下とともに臨まれた。  

5月には、およそ4年半ぶりの開催となった春の園遊会にご臨席。6月には陛下のご即位後、初めてとなる国際親善のための海外公式訪問でインドネシアを訪問された。7日間の滞在中、先の大戦の歴史に向き合うとともに、日本に関心を寄せる学生ら現地の若い世代との交流も果たされた。  

国内では全国植樹祭、全国豊かな海づくり大会など、恒例の地方公務である「四大行幸啓」すべてに陛下とともにご臨席。6月に植樹祭が行われた岩手県陸前高田市では、東日本大震災の教訓を伝える施設を訪れ、被災者や復興に携わる関係者と親しく懇談された。  

歴代皇后に受け継がれる養蚕や、日本赤十字社の名誉総裁としての活動にも精力的に取り組まれた。結婚から30年を迎えた6月には、陛下と「感慨もひとしお」とする感想の文書をご発表。11月にはご一家で皇居三の丸尚蔵館を訪れ、結婚関連儀式で着用したドレスを懐かしそうに見学される場面もあった。 宮内庁は9日、療養が続く皇后陛下さまのご体調について「快復の途上」とする医師団の見解を公表。体調には波があるとして、十分な休息とともに、「私的な部分でもご活動の幅を広げていっていただくことが大切」とした。

※敬語・敬称を追加訂正しています。

※感想については以下の宮内庁発表分の全文をご覧ください。

 

皇后陛下お誕生日に際してのご感想
令和5年12月9日(土)

ちょうど10年前の今日、50歳の誕生日を迎えるに当たり、それまで半世紀を生きてきたことを思い、「不思議な感慨に包まれます」と感想を綴りましてから、いつの間にか10年の月日が経ちました。

光陰矢の如しと申しますが、この10年はあっという間に過ぎたようでもありながら、以前には予期していなかったような様々な出来事や社会の変化のあった10年でもあったように感じます。

その10年前の少し前には、未曽有の被害をもたらした東日本大震災により、大変に多くの方々が犠牲になられ、また、被災されました。30年前に私が皇室に入りましてから時をあまり経ずして起きた阪神淡路大震災とともに、このことは大きな衝撃と深い悲しみを持って受け止めなくてはならない現実でした。その後も、7年前の熊本地震のほか、台風や豪雨などの自然災害により、我が国は度々大きな災いに見舞われてきましたが、その度に、その時々の厳しい状況の中で人々が力を合わせ、手を取り合って、助け合いながら、悲しみを乗り越え、苦難に立ち向かおうとする姿にどれほどの感銘を受けたことでしょう。そのようなときに、国内各地、そして海外のたくさんの方から届いた温かい支援や善意も心から有り難く感じるものでした。

4年近く前には、俄(にわか)に新型コロナウイルス感染症の猛威に曝(さら)されることになりました。我が国を含め、世界中で多くの人々が重い病に倒れ、亡くなっていくという、日々の報道を見るのが辛い毎日でした。そのような中にあって、人々の命を救うために、医療や保健などの分野で日夜懸命に力を尽くされた方々の献身に改めて深く感謝いたします。国民の皆さんの協力も相俟(あいま)って、その後様々な努力が実り、この感染症の問題が少しずつ落ち着きを見せるとともに、街にも活気が戻り、多くの人が徐々に日常の生活を取り戻してきていることに安堵しています。その一方で、今なお様々な困難を抱えている人も多く、身の上を案じています。

世界に目を向けますと、戦争や紛争により、各地で子どもを含む多くの人の命が失われていることに大変心が痛みます。そして、現在、国際社会の中で、分断と対立が深まってきているのではないかということが気に掛かります。平和な世界を築いていくために、人々が対話を通して相手の置かれている状況を理解しようと努め、互いを尊重し合いながら協力していくことがいかに大切かを改めて感じます。

世界ではまた、今年も地震や水害などの大規模な災害が起きました。トルコ、シリア、モロッコ、アフガニスタンでは、大きな地震が発生し、多くの人が亡くなったり、負傷したり、家を失い避難生活を余儀なくされたりしています。大雨による被害や山火事、深刻な干ばつなど、地球温暖化に伴うと思われる自然災害も世界各地で多発しています。気候変動など地球規模の環境問題は、私たちが協力し合いながら真剣に取り組まなければならない喫緊の課題の一つであると考えます。

日本国内にあっては、南海トラフ地震や首都直下地震などの発生が今後心配される中、関東大震災からちょうど100年に当たった今年、防災や減災についての様々な啓発活動が行われていたことを心強く感じました。他方で、今年も国内の様々な所で地震や大雨、台風などによる自然災害が起こり、残念なことでした。亡くなられた方々とその御遺族に心から哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々にお見舞いをお伝えいたします。

このように、心の痛むことも多い昨今ですが、同時に、若い人々を含め、社会のいろいろなところで、助けを必要としている人々やより良い世の中のために様々な活動を地道に続けている方もたくさんおられ、頼もしく思うとともに、そのような方々の善意や創意工夫に感心し、励まされることが度々あります。

昨年から私たちの地方への訪問が再開されましたが、6月に全国植樹祭に出席するために訪れた岩手県の陸前高田市や大船渡市、釜石市では、被災地の皆さんが、幾多の困難を抱えながらも弛(たゆみ)ない努力を続けてこられた姿に心を打たれました。被災地が今後、真の復興を遂げていくことを心から願うとともに、引き続き被災地に心を寄せていきたいという思いを新たにいたしました。

9月には、全国豊かな海づくり大会のために北海道を、そして10月には、特別国民体育大会のために鹿児島県、国民文化祭及び全国障害者芸術・文化祭のために石川県を訪れ、それぞれの地域の特色に触れ、この国の自然・風土や歴史・文化の豊かさを改めて感じることができました。また、行く先々で、多くの方に温かく迎えていただいたことも嬉(うれ)しく、それぞれの場所でいろいろな方のお話を直接伺えたことも有り難いことでした。

6月には、天皇陛下と御一緒に、令和になって初めて国賓としてインドネシアを訪問いたしました。久々の海外への親善訪問で、滞在期間も国内で地方を訪問する時よりも長かったこともあり、当初は不安もありましたが、多くの方に温かく迎えていただき、お陰様で、貴重な経験に満ちた思い出に残る初めてのインドネシア滞在となりました。大統領御夫妻には、ボゴール宮殿において歓迎行事や午餐(さん)会を催していただいたほか、大統領には、御自身の運転されるカートで植物園を御案内いただき、また、御夫人にはインドネシアの伝統文化を御紹介いただくなど、温かいおもてなしを頂き、楽しいひとときを御一緒させていただいたことが有り難く、とても良い思い出になりました。また、若い人々を含め、インドネシアの人々との現地での交流を通じて、インドネシアの人々の心の温かさや優しさ、そして、日本の人々や文化に対して抱いてくれている敬いや親しみの気持ちを肌で感じ、日本とインドネシアの間で長年にわたって培われてきた友好の輪の広がりを実感することができました。

幸いにして、今年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の落ち着きを受けて、4年ぶりに栃木県の御料牧場や那須御用邸で静養する機会にも恵まれました。豊かな自然の中で、ゆっくりと心安らぐ日々を過ごすことができたことは嬉しいことでした。

今年は、私たちにとりまして、結婚30年の節目の年でもありました。この30年の間のことを思い起こしますと、上皇上皇后両陛下の温かいお導きの下で、天皇陛下に常に優しくお支えいただき、また、ほかにも多くの方々に助けられ、見守っていただきながら、今日の日を迎えることができましたことに心から感謝しております。今年は、記念の展覧会なども思いがけず開催していただき、多くの方にお祝いいただいたことは嬉しく、有り難いことでした。

この30年の月日の中で、2年前に愛子が無事に成年を迎えることができました時には安堵すると同時に、たくさんの方にお祝いいただいたことを心から有り難く思いました。お陰様で、愛子はこの4月から大学4年生に進級し、対面での授業を受けるために大学に通い始めましたが、先生方やお友達とも一緒にとても楽しそうに学生生活を送っています。今は卒業論文の提出が間近に迫って忙しそうにしていますが、残りの大学生活を有意義に送ってもらえればと思っています。まだあどけないところも残る愛子ではありますが、いろいろな時に私たちを助けてくれるようにもなってきたと感じます。

今回、還暦という節目の誕生日を迎えることに信じられないような気持ちがいたしますが、この機会に、これまでの60年の人生を改めて振り返り、この世に生を受けてから私を慈しみ育ててくれた両親を始め、家族や友人、先生方、そして今までお世話になった全ての方に深く感謝いたします。また、日頃より国民の皆様から寄せていただいている温かいお気持ちに対し、改めまして心からの御礼をお伝えしたいと思います。これからまた新たな気持ちで一歩を踏み出し、努力を重ねながら、この先の人生を歩んでいくことができればと思っております。

来る年が、我が国、そして世界の人々にとって、明るい希望を持って進んでいくことのできるより良い年となることを願いつつ、国民の皆様の幸せを祈りながら、できる限りの務めを果たすことができますよう努力してまいりたいと思います。

 

皇后陛下のお誕生日に際しての医師団見解

令和5年12月9日

皇后陛下におかれましては、これまでも医師団が説明いたしております基本的な考え方を踏まえながら、引き続き御治療を継続していただいております。

本年は、都内行幸啓につきましては、お一方でお出ましになった5月の全国赤十字大会や7月のフローレンス・ナイチンゲール記章授与式、両陛下でお出ましになった5月及び11月の園遊会、8月の全国戦没者追悼式などをあわせ、24回に及ぶお出ましをなさいました。地方行幸啓につきましては、岩手県、北海道、鹿児島県並びに石川県にお出ましになった他、近隣の神奈川県(2回)やオンラインで福島県にお出ましになりました。さらに、6月には、御負担を勘案して一部宿舎に滞在されることとするなど御日程を工夫しつつ、念入りに御準備をなさり、インドネシアを国賓として御訪問になり、温かい歓迎をお受けになりました。

皇居では、宮殿などでの行事に臨まれたほか、感染防止に十分配慮されつつ、今年も御養蚕に取り組まれるなど、御活動を続けられました。

皇后陛下には、天皇陛下をお支えになりながら、国民が直面している様々な困難を心から気遣われ、出来る限り国民との触れ合いの機会を大切にされようと努めていらっしゃいます。

また、大学での日々の授業や課題、御卒業に向けた卒業論文の執筆などに取り組んでいらっしゃる愛子内親王殿下を母親として温かく見守っておられます。

今年は幸い、御静養のため、お三方で4月に栃木県の御料牧場、8月から9月にかけて同じく栃木県の那須御用邸にお出ましになることがおできになりました。

このように皇后陛下は工夫を重ねられ、御体調を整えられながら、努力して御活動を続けていらっしゃいます。

一方で、皇后陛下には、御快復の途上にあり、依然として御体調には波がおありです。そのため、大きい行事の後や行事が続かれた場合には、お疲れがしばらく残られることもあります。本年は都内行幸啓に加えて、地方や海外など、様々なお出ましをなさるとともに、御所や宮殿での行事も増えていらっしゃいます。そのような中でお疲れが残らないよう、御散策などの御運動や気分転換のためのお時間を含め、十分な御休息をおとりいただきたいと、医師団としては考えております。また、かねてから皆さまにお伝えしているところではありますが、公的なものに加え、私的な部分でも御活動の幅を広げていっていただくことが大切だと考えております。

皇后陛下には、これまで同様、周囲の方々の理解と支援をお受けになりながら御治療を続けていただくことが大切ですので、引き続き温かくお見守りいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

 

誕生日においては末永い長寿を言祝ぎ、国においては永遠に続く安寧=平和で豊かな国を言祝ぐ予祝の歌「君が代」

 

 

 

 

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