以前から気になっていた本が、10巻が出て完結したようで本屋さんでさらに気になっていました。それで久しぶりに1巻を手に取ってパラパラしたときにある言葉が飛び込んできて、読むことにしました。

 

それが「神様の御用人」。

 

読みだしたら面白くて止まらなくて、毎日1冊ずつ買って帰って読んでます。そして今まで買う気にならなかったのは、今この時に一気読みするためだったのだ、と思えてきています。

 

実は、毎日毎日三浦春馬さんのことが頭から離れないので、長年の友人が亡くなって以来の喪失感がいつになっても消えなくて、ちょっと良くないなあと思ってました。しかも長く続いてますから。

 

その友人が亡くなったときに、立ち直るきっかけとなったのはヤタガラスシリーズの「玉依姫」です。

 

玉依姫とは、神話を知っているとすぐピンとくる名前なわけですが、日本人はやはり何かあったときは日本の物語、神話に基づく物語なのかもしれない、と思いました。大塚ひかりさんという、古典関連の書籍をたくさん書かれている方が、体の調子が悪かった時、どんな本も読めなかった中、たった1冊だけ読めた本が古事記だったと書かれています。また、京大名誉教授の中西輝政氏は海外留学中に勉強が行き詰まったときに救ってくれたのが現地の図書館にあった古事記だったか日本書紀で、日本神話に救われたと語っていました。

 

そして「神様の御用人」は、タイトル通り日本神話の神様がたくさん登場します。しかも神様がいろんなことに悩み、人間に御用を命ずることで助けを求めている、形になってます。神様も悩み、また力も弱まるのです。とても人間的です。が、日本神話を読んでいればこれは意外でも何でもありません。神様は人間的な存在です。そもそも神話の中の神様は、ご先祖様のお話が神格化されたものともいいます。事実、天照大御神は皇室のご先祖様ですから、神話化するぐらい昔の話だというわけです。

 

そして神、という存在はいつまでもそこにあり続けるわけですから、長い間の死すべき命の人間の姿を見てきたものとして書かれています。そうした生と死まで書かれていること、そして死を超越した存在である、つまりそれは自然神ともいうようなそんな存在が描かれているからこそ、私は、「玉依姫」を読んだ時のように立ち直れてきているのかもしれない、と考えています。

 

ここ何年も神社人気が続いていますし、小説、漫画、アニメ、ゲーム等の題材としても神社、神様を扱ったものがたくさんあります。そうした中で、10巻までこの本が続いているのは、その内容が神社と神様の本質に迫った内容でありながら、物語としても魅力的だからだと読んでみて実感しています。「神様の御用人」、なんと私が買ったのは昨年の8月に39版となっています。いかに人気の物語となっているかがわかるかと思います。本書は早いうちから漫画化もされています。メディアワークス文庫はライトノベルですが、本書シリーズは長く残る本の一つだと思います。

 

こんな素晴らしい物語を紡ぎだした浅葉なつさんには感謝です。

 

それにしても浅葉なつさんが参考文献として挙げている書籍、同じ本を読んでもこのような物語を生み出せる人とそうでない人(私)違いは大きいなあ~。

 

この物語は、主人公が全く神社や神様についても歴史についても知らずに、御用人に任命されるところから始まります。つまり、多くの現在の日本人と同じ状態です。つまりこの本を読むと、主人公と同じような状態で初めて聞かされる歴史、神話といった感じで、読み進めていくと知らずに日本や、神話、神社について知ることになります。しかも、もふもふの狐神つきです。この狐神=黄金が神様のくせに甘いもの好きで、いろんな箇所で笑わせてくれます。そもそも古事記を読むと、しつこいぐらいにオヤジギャグのような言葉遊びが出てきて、笑いが大切であることを語っているようにも思わせます。だから、神様の物語に笑いがあって面白いのは自然なことなのだと思うのです。こんなに面白くて物語に引き込まれながら、神様のことをたくさん知ることができるこのシリーズ、今読むことができて本当に良かった、と思っています。

 

ところで私が、今まで何度も手に取りながら読まなかった本書を、読もうと思ったきっかけはこの言葉が目に入ったからです。

 

「神は人の敬いによって威を増し、人は神の徳によって運を添う」

 

これは御成敗式目に出てくる言葉ですが、このブログでは何度も取り上げていますが、この言葉はそのまま本シリーズの裏テーマとなっているのです。もう素晴らしいとしかいいようがありません。なぜなら、これこそが日本の本質、そして神社、神様の本質でもある、と私は考えているからそう思います。ラスト10巻がどうなるのか、凄く期待して次は7巻に入ります。昨夜は買えなかったので、今夜買って読みます。

 

それにしても、本書を読んで思い浮かべたのは、人々に妖精を信じるか?と聞いて拍手を求めた舞台劇「ピーターパン」や、本を読んでいる読者に信じるかどうかを聞いて、物語の中のお姫様を救う「ネバーエンディングストーリー」です。人々はこうした物語に救われ、信じてきたからこそこういう物語が生まれたんだろうと思います。世の中には、人が理解できない何かがある、ということを信じることも必要なのではないか、と。

 

西行も伊勢神宮にお参りしてこう詠んだのですから

 

何ごとのおはしますかは知らねども
かたじけなさに涙こぼるる

 

 

1巻の紹介、試し読みできます↓

 

本シリーズの雰囲気がわかるPV↓

 

 

 

 

凄い!冒頭の走りもそうだったか!いずれ明かされるだろと思っていたんですが、やはり春馬君凄いです。!!次見るときは確認します。情報共有ありがたいです。

 

 

 

 

 

 

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