「天外者」12月11日公開ですが、既に上映終了の劇場の案内が出ています。これは大手配給会社の配給ではない映画としては、通常の日数、いえ長い方といえるかもしれませんが、三が日の興行収入と動員数ランキングをみると、正月映画として大手やアニメ、子供用映画がバンバン売れ線の映画をくりだすような時期に、興行の強い映画の中で9位と健闘している映画です。ただファンが観に行っただけで、ここまで頑張ることはできないでしょう。つまり、それだけ映画作品が良いということです。

 

この映画、もしかしてまだ観ていない人は、「ただ三浦春馬の最後の主演映画だからだろう」なんて高を括っていませんか?だとしたら、大損してます。この映画は「今」観るべき映画です。

 

・映画好きなら観るべき

・歴史好きなら観るべき

・幕末・明治が好きなら観るべき

・埋もれた偉人を知りたいなら観るべき

・日本が好きなら観るべき

・生き方に悩んでいるなら観るべき

・感動が欲しいなら観るべき

・現在の世界情勢に疑問があるなら観るべき

・日本の現在の状況に疑問があるなら観るべき

そして最後に、

・三浦春馬の演技の凄さは観ておくべき

 

この映画、観るなら、今!です。

 

↓多分日付間違えています

1/1~1/3のランキング

1位 劇場版 鬼滅の刃 無限列車編

2位 新解釈 三國志

3位 映画 えんとつ町のプペル

4位 約束のネバーランド*

5位 劇場版ポケットモンスター*

*2~3日は4位と5位が入れ替わる

 

 

私が新作公開の映画をこんなに何度も観に行ったのは「マトリックス」と「永遠の0」以来で、回数でいえば「マトリックス」は試写会だけで3回観に行っていたので、自腹で既に4回観ているこの映画は私の中で画期的な映画です。同じ映画を続けて何度も観る人たくさんいますが、私はあまり同じ映画を同時期に何度も観ないので、繰り返し観ていること自体が珍しいのです。実は最初に観る前はここまで良い映画とは考えてなくて、三浦春馬さんの演技はいいかもしれないけど、映画そのものは弱いかもしれない・・・と予想していました。しかし、あまりにも素晴らしい映画でしたので何度も観たくなっているわけです。確かに映画そのものは弱かったのです、もし春馬さんが出演してなければここまで良い映画になったのか疑問です。しかしその演技が物凄すぎて、映画を格上げしています。「マトリックス」は公開当時映画史を塗りかえる画期的な技巧を使った映画として、そしてこれ以降の映画作りに影響を与えた映画としてこれからも記録に残る映画ですが、この「天外者」も三浦春馬さんの演技が物凄すぎて記憶に残る映画となっています。

 

私の記憶に残っている名演技といえば、これだけ何度も映画好きで映画をずっと観てきたと言いながら、ベストは、大河ドラマの「北条時宗」の時のその父、時頼役のの渡辺謙さんが最期に「時輔(兄)を殺せ」(台詞不確かですが・・・)と言いながら死ぬシーンでした。あの演技は、当時身震いが出るほどの迫力を感じたものです。

 

しかし、昨年それに「太陽の子」の三浦春馬さんの出発シーンが加わりました。あのシーンの繊細な哀しみと決意の別れのシーンは、これまで色んな別れのシーンを観てきましたが、一度も観たことのない心ゆさぶるシーンでした。

 

そして、この「天外者」では、既に何度か書いていますが、薩英戦争のさ中、捕虜になった五代が艦長の前でその言動で大見えを切るシーンの殺陣と英語のセリフ、そしてラストの演説シーンと、二ヵ所の演技シーンが物凄すぎて、印象に残るシーンに加わりました。

 

でも、その三浦春馬さんの演技だけでなく、この映画そのものがかってない幕末明治の映画となっていると思うのです。だからこそ、上記のように「今」観るべき映画というわけですし、三浦春馬さんもそのように考えて演技をされたのでしょう。監督も今までに作られたような映画とは違う、幕末明治という若者が活躍した時代の息吹を感じられる映画が作りたかったと語っています。幕末明治の志士達の年齢は皆若かった。時代を変える人たちは古今東西若いのです。その若さと熱意と力強さがあってこそ、世の中は変えられるのです。

 

志士達の年齢↓

 

 

しかも、昨年から世界は激変しました。そうした中で、今までは隠れていた各国の本質が覗き始めています。そしてそれが、世界中を植民地にしていた欧米の虎視眈々と世界中を狙っていた時代と重なって見える時代となっています。だからこそ、この映画が「今」観るべき映画となっているのです。この映画が作られた2019年の秋、翌年ここまで世界が変わるなど誰も考えていなかったでしょう。現在劇場で流れている映画の予告で「たった1日で世界は変わるんだよ」という言葉が流れてくるのですが、それもまた真実なんだと改めて思うのです。

 

天外者=凄い才能の持ち主=五代友厚=三浦春馬

 

映画「天外者」は、五代友厚についてわかりやすく要約された物語として作られており史実そのものではありません。しかし、かといって五代友厚は天外者ではなかったのか?というとやはり天外者だったのでした。そしてその五代友厚を熱く演じた三浦春馬さんのその演技も天外者そのものでした。

 

例えば、私はこの映画の一番の見せ場は薩英戦争さなか捕虜となった五代友厚が英側に大見えをきって、薩摩の戦力について大きく言い、また侍の気概について英語で語るシーンだと考えています。

 

ここで、三浦春馬さんが殺陣を行い英語で「勇敢に戦って敗れた国はまた立ち上がれるが逃げ出した国に未来はない」と言う場面です。この言葉の内容はそのまま、大東亜戦争時に特攻隊の方々が語っていた言葉そのもので、このセリフには感動しました。そして、もしかしたら、こうしたことを古来から日本人は言っていたのかもしれない、とこの映画を観て私は考えさせられました。これについては、日本独自の兵法があるので、そうした本で探求すれば答えがみつかるかと考えています。そして、映画の中では英語と日本語が混ざったこのシーンでこのセリフを英語にしたのは、海外で映画が上映される際にこの言葉を翻訳により違う意味にされないようにかもしれない、と考えています。

 

しかし、実際はこの時の五代にそこまでの英語力はなく、一緒に捕虜となり、英語力を買われて既に公式に海外に渡航していた寺島宗則が通訳したはずです。実際横浜で解放された後、二人とも命を狙われていますが、映画では寺島が五代に「裏切り者!」と怒る設定となっています。またここで大見えを切った話は伝わりますが、実際にどのように言ったのか私が読んだ本には書かれていませんでした。ただ、生麦事件がきっかけであることから英側が侍に用心して接近戦にならないよう用心していたことは確かで、薩摩側が上陸を促しても絶対に船から下りなかったと伝わっていますので、映画のようなことが起きたという脚本が作られたのでしょう。

 

それから、五代の命を助けるために映画で登場したはるがイギリス人に頼むという設定となっていますが、これも違っていてイギリス側はこの五代の大見えや、長崎では五代が欧州側に既に知られていたことから、五代達の命を取る気はなかったのです。しかし、映画では「はる」という架空の女性を登場させて劇的な物語に変えているわけです。

 

また、薩摩側で五代の味方になっていたのは、五代の子ども時代からの友人で家老となった小松帯刀という存在があったからです。帯刀が家老であったことから薩摩との間を取り持ち、薩摩に帰ることができたのも帯刀の存在が大きかったのだと言います。実は、五代と同様名前が知られていない幕末明治の偉人の一人が小松帯刀で、もし小松帯刀が長生きしていたら薩摩や明治の歴史はもっと違っていたものになっていたのかもしれないともいわれています。

 

映画の中には、五代に近い存在でありながらもう一人登場しなかった人がいて、長州の高杉晋作です。坂本龍馬よりは、小松帯刀や高杉晋作が登場したほうが史実に近かったはずですが、多分幕末明治の定型ストーリーに入れやすくて坂本龍馬を五代の身近な人物設定にしたのだと思います。ただ、五代と坂本龍馬に交流があったのは確かで、有名ないろは丸事件を納めたのは実は、龍馬ではなく五代友厚の人脈によるといいます。

 

こうしたことを事前に調べて知っていたため、この映画を観て幕末明治の物語を分かり易く上手くまとめた物語にしていると感じたのがこの「天外者」でした。2時間に激動の時代を全て納めるのも、多くの志士を登場させるのも無理があります。だからこそ、五代と龍馬に幕末明治の物語を集約させたのがこの物語というわけです。

 

しかし、歴史小説や歴史ドラマ、あるいはこうした歴史映画を観て感動してその時代に興味をもったら史実を調べればいいと思うのですが、これをそのまま史実だと思う人が多くいます。これはあくまでも映画用の物語である、ということを今一度言いたいと思います。

 

実際、「天外者」のメイキングドキュメンタリーでは、五代友厚についての本に必ず記載されている子供の時に世界地図を模写し地球儀を作ったという逸話が最新の資料から、友厚ではなく兄の話であったことが、五代家に保存されていて発見された模写された世界地図への父の書き込みで紹介しています。この時、友厚はまだ四歳でした。つまり、五代家は友厚だけでなく、兄も相当出来る人であったのだと思います。私は兄と武士を捨て商人になった友厚の仲が悪かったと伝わっているのは、だんだんと本当とは違うのではないかと思えてきています。兄は家を継がねばならなかったし、当時の感覚としては家を遺さねばならなかったから、あえて表面上、薩摩で反感を買っている友厚を勘当のようにして、薩摩に帰ってこなくてもいいようにしたのではないかと。そして、映画の中の兄も、そのように演技しているように感じられたのでした。映画の中では最初の頃こそ、弟のやっていることに怒っていた兄ですが、最後は理解していたのだと思うのです。そうした微妙な機敏を、兄役の内田朝陽さんは出していたと私は感じていて、出番は少ないですが印象に残っています。

 

 

「時代を超え、志は未来に生き続ける」素晴らしいコピーだと思います。

 

「天外者」の劇場情報↓

 

 

この映画に感動して背景をわかりやすく解説している動画がありました。これも一部漏れていたりするところがありますが、解説としてはうまくできていると思います。

 

 

メイキングドキュメンタリーに登場した、五代友厚の兄が模写し保存されていた世界地図の映像も登場する映画製作PJのPV↓

映画製作のきっかけについて。やはり坂本龍馬が幕末・維新の機動力になっているような描かれ方が多い現在の歴史観を変えたい!ということがきっかけであったという。五代友厚について書かれた本を読むと本当に面白いです。

別の動画で語られる当時の状況

 

 

明るい未来を予感させる、ラストに微笑む五代春馬、第二の見せ場である演説シーンの顔と全く違う表情。演説シーンの春馬さんは気迫が物凄かった。

 

現在田中光敏監督は伊勢志摩の地元の人達がプロデュースする映画製作の準備中だそうで、志摩市のテレビで語っています。まるで「日本製」の映画版のような作品で、もし三浦春馬さんがいたら、この作品にも出演依頼されていたかもしれないなあ、と考えてしまいました。

 

 

 

 

本日20時にアップされるらしい、神職とお坊さんのユニットの歌、期待してます\(^o^)/