本日はいよいよ御譲位の儀式が行われる日ですが、図書館の日でもあります。

 

1971年に日本図書館協会がこの日を「図書館記念日」としました。

 

日本図書協会HPをみるとその説明があります。

しかし気になったのが、この説明の最後に「戦前の記念日(4月2日―帝国図書館長が天皇に図書館についての御進講をした日)との決別も意図しています。」とあること。つまり戦前は4月2日が図書館記念日だったのに日にちを変えたということになります。帝国図書館は明治30年に設立されてますので御進講されたのは 明治天皇でしょう。

 

ただこの文言に「決別を意図して」とあるのが不快な感じがします。「戦前の記念日(~)と日付が変わった」の記載ですむのにわざわざ入れているのが嫌な感じです。

 

図書館を舞台にした物語に「図書館戦争」がありますが、この原作は図書館の自由がきっかけで生まれた物語です。

 

 

 

これは図書館に貼られていますので、図書館に行くときには確認して頂きたいと思います。

 

昭和54年(1979)5月30日のこの宣言の詳細はHPを見て頂きたいのですが、4条にはこんな文言まであります。

図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。

 

有川浩さんの言葉

図書館という一見すると文系のおとなしそうな組織がこんなに勇ましい宣言を持っていた。今まで私が持っていた図書館に対するイメージと、この宣言に対するギャップ、それをそのままタイトルにしたっていう感じですね。だってこの人たち、事が起これば戦うよって宣言しているわけですから。その「戦う」っていう部分を極端化した物語が、『図書館戦争』なんです。

 

 

私がこの本について知った時思い浮かべたのは焚書坑儒です。実際に映画の中では本が燃やされていく言論弾圧が行われ、またメディア規制まで登場し、現代日本が彷彿とされる内容なのです。ただし実際にメディアが行っているのは報道しない自由という違いで日本ほどメディアが好き勝手している国はないと思うんですけれども、報道のしかたで人々が誘導されていることに違いはありません。

図書館の自由に関する宣言

 

 

焚書坑儒というと、大陸の歴史の中の遠くの出来事のような気がしますが、終戦直後の日本でも行われ未だにそれが尾を引いているのが今の日本です。つまり実際は図書館の自由に関する宣言は宣言された時既にもう自由が侵された状態だったわけです。

ウオーギルトインフォメーションプログラムってなんですか?

 

ところがそんな中「図書館戦争」という物語が生まれ若い子を中心にベストセラーとなったことが、現在、若い世代を中心に目覚めている人達が増えている一因になっているのではないかと私は考えています。もちろん就職率、他、目に見える効果も大きな一因でしょうけれども、こうした物語を知ったらなにかしらその影響が顕在的にも潜在的にも出てくるだろうと思うからです。こうしたことを含む様々な事が積み重なって、今の若い人達の思考を形作っているのだと思うと、これからの未来に希望が持てるのではないかと思うのです。

焚書発掘?

 

有川浩さんの原作は累計600万部突破のベストセラーで6巻までのシリーズほんとなっています。そして原作小説は、漫画化、アニメ化、映画化され今もその人気は衰えていません。

 

あらすじ

2019年(正化31年)。

公序良俗を乱す表現を取り締まる『メディア良化法』が成立して30年。高校時代に出会った、図書隊員を名乗る"王子様"の姿を追い求め、行き過ぎた検閲から良書を守るための組織・図書隊に入隊した一人の女の子がいた。名は笠原郁。不器用ながらも、愚直に頑張るその情熱が認められ、エリート部隊・図書特殊部隊に配属されることになったが......!?様々な困難と出来事、そして、本を狩る組織・メディア良化委員会にひたむきに立ち向かう、郁を始めとする図書隊の面々。そう、すべては本と自由を守るため......。

 

 

ちなみに正化という元号は平成の元号が決まった時の候補の一つだったものが作中で使用されています。

 

 

実写化の際には、その前に行われていた登場人物になってほしい人気ランキングでトップとなった岡田准一さんと榮倉奈々さんがそのままキャストとなったのも話題となりました。

 

アニメ版

 

実写版

 

 

 

 

ところで、「自由」の英語訳といえば「フリーダム=freedom」や「リバティ=liberty」ですが、江崎道朗氏の著書「フリーダム」によれば、「フリーダム」の意味は「自由」というよりも「自主独立」の意味の方が近いそうです。

 

そして、一国が独立国といえるための三つの自由が挙げられています。

第一は、自国の防人をもって自国を守ること。

第二は、自ら教育したいように自らの子弟を教育するということ。

第三は、自ら祀りたいように自分達の神々を祀るということ。

そしてこのなかのどの自由も今の日本にないといいます。

FREEDOM フリーダムの本当の意味

 

この意味を考えて改めて「図書館の自由に関する宣言」を読むと、図書館を国に置き換えても読めることに気づかされます。

「図書館」を「我が国」に置き換えました。

 

我が国の自由に関する宣言

 1 我が国は資料収集の自由を有する

 2 我が国は資料提供の自由を有する

 3 我が国は利用者の秘密を守る

 4 我が国はすべての検閲に反対する

 

ちょっと怖くないですか?我が国の自由は本当に脅かされています。、

 

しかし、本を読む自由がある我が国です。本を読めば現在の日本の状況も、新元号の令和が引用された万葉集についても、我が国の歴史や伝統についても、新しいもの、新知識についても知ることが出来ます。現在IT化により、ITで得られる知識が圧倒的に増えましたが、それでも本そのものがなくなることはないでしょう。国によっては、こうした知識が、図書としてもITからも得られない国があるなか、日本には図書の自由は守られています。

 

この自由がある限り、日本本来のフリーダムを得られる日も来る日があることを信じています。

 

 

平成の御代への感謝と、新しい御代への期待を込めて

 

 

 

夜明けの図書館

 

 

おまけ

足利生まれの私からすると図書館といえば足利学校です。県立足利図書館(平成28年4月1日からは市立)ができるまで、足利の図書館といえば足利学校でした。日本最古の学校と云われるだけあって古来から蔵書の多さで有名でしたが明治以降には旧蔵書の保管と共に一般蔵書も集め図書館として開かれた場所だったからです。