本日は旧暦では三月十七日となりますが、天武天皇十年(681年)三月十七日は、「帝紀及び上古の諸事を記し校定せよ」と詔があった日です。(当時の暦と何度も改暦された後の現在の旧暦は同じではありません)

 

記紀、古事記と日本書紀はこの詔により編纂されました。

 

 

人気ブロガーねずさんの「ねずさんと語る 古事記 壱」から紹介します。

 

この古事記では原文と読み下し文と現代語訳と解説が書かれていますが、とてもわかりやすいです。ねずさんは、以前も百人一首を書かれていましたが、こちらも目からウロコの本となっています。

 

天武天皇の詔の現代語訳

 

「朕は、諸家にもたらされている歴代天皇記(帝紀:すめらきのひつき)や我が国の神話や伝承(本辞:さきつよのことば)は、既に真実と違っていて、多くの虚像が加えられている。今この時に、その誤りを改めなければ、幾年を経ずして真実の歴史が滅びてしまうであろう。これらは国家成立の経緯(邦家の経緯)であり、歴代天皇の事績の大本(王家の鴻基)である。そこで帝紀を撰録し、旧辞を調べて、偽りを削り真実を見定めて、後の世に伝えたいと思う」と詔を発せられました。

ときに姓を稗田、名を阿礼という二十八歳の聡明な下級官吏がいました。彼はひとめ見ただけで、文をすぐに暗記し、一度聞いただけで心に刻み付けて忘れません。そこで稗田阿礼に勅命をもって帝皇日継と先代旧辞を読み習わせました。

しかし、天皇の時勢が変わっても、未だこの事は完成に至っていません。

 

以上

 

 

竹田恒泰さんは、古事記は古来からの各家(豪族)の先祖の話である神話を一つにまとめた挙げたものだとよくおっしゃっていますが、ねずさんはもう一歩踏み込んで、その当時の時代情勢を付け加えて解説されています。

 

つまり、当時は天武天皇の前の時代までにあった白村江の大敗により、いつ唐と新羅の連合軍が日本に攻め込んでくるのかわからない、そんな危機的状況の中で日本を一つにまとめあげるために、国家として天皇のもとに一丸となろうという問題意識への対策の中の一環として古事記は編纂されたと。

 

そしてそのような壮大な作業だからこそ、天武天皇が詔を発してから三十年ほど過ぎてもまだ終わらなかったというわけです。

 

私などは単純に時間かかったなあ、なんて思ってたんですが、そう考えると凄い編纂の結果が古事記なんです。そういえば、竹田恒泰さんは、編纂した太安麻呂と稗田阿礼、そして井上毅を日本の歴史上一番の大天才だといつもおっしゃっています。日本の歴史上の大天才のうち二人が同時期にいた証が古事記というわけです。すごい書物です、古事記は。

 

 

そうして読むと、現代の日本の状況とこの時代の状況が似通って見えてきます。というのも、天武天皇は戦後復興時の天皇であり、現代も戦後の影響、負の遺産がずっと残っている時代だからです。しかも古来からの神話教育が戦後されなくなって久しい時代です。

 

そうした現代に、古事記編纂1300年頃から神話が見直され教育でも復活してきているのは時を超えて、天武天皇の思慮が生かされているということになりますし、そうした時代にこのような解説本が出されるという奇跡があるというのは、日本は日本人はつくづく恵まれていると思います。

 

ねずさんの古事記は、漢字の作りの説明や、大和言葉の音の説明まであり、とてもわかりやすい古事記となっていますし、今までなぜこういうのがなかったんだろう?と思うほど面白いものとなっています。

 

私はその中でも神生みの記載について語られている所が特に気に入りました。ここは神様の名前がずらっと出てきて、神様の名前はなかなか覚えられないし、必要な神様は又出てくるから読み飛ばしてもよい、とよく言われるところです。しかし、ねずさんはそんなことはないといいます。その神様の名前や順番から国が生まれ町が出き生活が出来て行く様が見えるというのです。これは是非本を手に取って確認して頂きたい面白い箇所の一つです。

 

 

ブログや動画でも随分発信されていますけれども、本となり文字として読むのもまた頭への入り具合が違うかと思います。是非是非手に取ってみてほしいと思います。

 

ねずさんと語る古事記は参巻までとなっています。

 

ねずさんのブログ記事↓

古事記のすゝめ

 

 

 

 

 

古事記について語られている方は他にもたくさんいます。何度も何度も読めば独自の発見ができるかもしれません。その時々の興味や視点で気づきも変わってきますので、何度も読むといいのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

古事記で伝説を作った男、私はこの高杉晋作の話大好きです

ニッポンはこうして救われた

 

 

国際派日本人養成講座で人気の伊勢雅臣さんのブログ↓

 

 

何度でも機会がある度に古事記を紹介します。なぜなら古事記は日本の叡智だから、日本人にこそ繰り返し何度も読んでもらいたいし、そこから何かを読み取ってほしい本です。日本神話は我国のトリセツですから、我国の人達こそ読み伝えるべきものなのです。

 

物語、神話が未来を作るという興味深い話↓

 

 

 

こうして天武天皇の詔によって編纂の始まった古事記が、時の天皇に献上されたのは、その皇子の草壁皇子の正妃であり、後に天皇となった元明天皇天皇時代、和銅五年(712年)のことで、31年を経て完成となりました。

 

 

そしてその後、次の元正天皇の御代の養老四年(720年)に日本書記が完成しています。

 

 

古事記を読むとき、それを命じた天武天皇の想いやその編纂された太安麻呂や稗田阿礼に思いを馳せたいものです。

 

 

 

 

竹田恒泰さんは、古事記の勉強会から発足した竹田研究会を主宰していますが、2012年の古事記1300年を機に古事記の普及活動として古事記プロジェクトを立ち上げました。これは日本中の旅館やホテルに古事記を置こうというものです。現在、大多数のホテルに聖書あるいは仏典までが置かれていますが、日本のなのに古事記は置かれていませんでした。そこで日本全国の旅館・ホテルに順次古事記の配布始めたのです。これは全て寄付で賄われております。

 

現在、ホテルだけでなく、図書館、病院、介護施設、刑務所、拘置所、自衛隊などにも配布されていますが、まだまだ足りません。賛同して頂ける方は是非、寄付をしていただきたいと思います。私も何度か寄付しております。

 

HPではその詳細や配布先リストも見ることができます。配布先リストには多分配慮して載ってないのだと思いますが、他にも配布先があります。寄付が増えれば配布先も増やすことが出来ますので、よろしくお願いいたします。

 

なお寄付された方には、非売品の國酒禊を戴くことが出来ます。こちらは竹田研究会の方々が自然栽培で作られたお米から作ったお酒で、愛知と愛媛の二つのバージョンがあります。このお酒がまたとても美味しい。是非、禊と古事記両方を楽しんで頂きたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

すめらぎいやさか

天皇弥栄