國學院大學は渋谷にありますが校内神社があり、日本国内では皇學館大学と並び、神道を学べるたった二つの大学のうちの一つです。

 

その國學院大學に以前行った時、大学内にあった大きなポスターが目を引きました。美しいお辞儀の姿です。さすが國學院大學!!とこの時思ったもので写真に撮りました。

 

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大学内の神社

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宗教系大学の不思議

 

 

 

 

最近は多くの神社で拝礼の仕方を動画に多数アップされていて、参拝の作法がわかりやすくなっていますが、そのお辞儀の仕方は神社だけでなく、日常に取り入れるととても美しい立ち居振る舞いになります。

 

 

神社の作法は、古来から伝わり整えられてきたものですから、神道の作法が日本人の礼法としては一番参考になると思います。

 

伊勢神宮公式チャンネル

 

 

東京神社庁の動画で「拝礼の仕方」。とてもわかりやすいです。

 

 

 

 

 

上川神道青年会の玉串拝礼の作法

 

 

坐礼の場合

 

 

せっかくなので、手水の仕方も。これも重要です。

 

 

 

神社への奉納芸能が始まりの歌舞伎・能・狂言等の伝統芸能の方々は、その所作が美しいです。先日、神社での日本舞踏と狂言の奉納を見る機会に恵まれましたが、皆さん挨拶の時の所作が本当に自然で美しく、流石だなあと改めて思いました。伝統を引き継ぐことの美しさをその所作から感じさせられたのです。

 

 

これは普段から私達は芸能ニュースで目にしているものでもあります。舞台でなくともちょっとした動きの所作が美しいのは日々精進されてらっしゃるからだと思います。

 

 

坂田藤十郎さんが指名を受けた後のお辞儀が美しいです。

 

 

登場の際のそれぞれの軽いお辞儀が美しいです。特に幼少の頃から歌舞伎の世界にいた猿之助さんは時間が経っても座っている姿勢が美しいです。私は以前、猿之助さんのミニ講演に出席する機会がありましたが、洋装でも姿勢が最後まで良かったのが印象的でした。

 

 

武道をやっていればこういうことは普通の人でも自然に身に付くかと思います。

 

 

 

 

 

立ち方では、自然に両手をわきに垂らす。あるいは自然に前に両手を下す立ち方となります。

 

 

ただし、洋装の場合は女性はウエストをスッキリ見せるため、肘を曲げて両手を合わせる立ち方があります。これは明治時代に洋装が取り入れられた時に入ってきた立ち方です。私は以前、元CAの方の美しい所作のミニ講座を受けた時に、腕をたらした時と肘を曲げた時の写真を出席者と撮りあったことがありますが、やはり見え方が全然違いましたので納得したのと同時に、子供の頃から洋画好き、ヨーロッパの歴史好きだったので絵や写真を思い出したものです。

 

昭憲皇太后の十二単とドレス姿、立ち方が違います。

 

 

 

 

最近は幕末明治の写真集など出ていますが、こういう写真を見るとよくわかります。

 

 

お抱えの肖像画家がいたマリー・アントワネットのたくさんの肖像画は、腕をたらしたりしているものもありますが、肘を曲げている絵の方が多いことをみてもこの立ち方が定着しているものだったのだと思います。

 

それよりも前の時代のポンバドール夫人のいくつかの絵などを見ると、いかに腕を身体から離し、ウエストを強調するか、ポーズを工夫していたように見えます。

 

そしてさらに後の時代で、身体の線に気を使ったことで知られるオーストリア皇后のエリーザベートの肖像画や写真はほとんど肘を曲げているものばかりです。

 

 

 

こういう立ち方は現在も続いています。イギリスのキャサリン妃。

 

 

女優やモデルもこういう立ち方をしますが、最近は片手を腰に当てる立ち方がトレンドのようです。

 

アメリカのブレイク・ライブリーのレッドカーペット写真。レッドカーペットではこういうポージング写真がとても多いです。

 

長澤まさみさんも。

 

腕をたらしただけの写真もありましたので違いがわかりやすいと思います。

 

 

片手を腰に当てる立ち方はフォーマルにはなりえませんが、こういう立ち方がなぜあるのかを知る上でわかりやすいものだと思います。

 

 

会釈や軽いお辞儀の場合、両手を前であわせたままの場合もありますが、きちんとしたお辞儀をする場合は、自然に両脇か前に垂らす形になります。これは洋装でも和装でも変わりません。(何かを持っている場合はまた別です。)

 

 

わかりやすいのが1897年に水野年方が描いた「茶の湯日々草帰るところの図」。玄関先でお辞儀をしている青い着物の女性は後ろ姿ですが袖が真っ直ぐになっていますから、腕を真下に下していることがよくわかる絵となっています。

 

 

 

 

先日、伊勢で神宮の月次祭を奉観させていただいたのですが、これは公益財団法人修養団、伊勢青少年研修センターの会に参加させていただたものです。ここでは、「礼法作法実習」があり、お辞儀の仕方、畳の上での座り方、立ち方等の所作を教えてもらえます。私は子供の頃に親に教わった挨拶の仕方ぐらいしか知らず、畳の上での所作も縁を踏まないぐらいしか知りませんでした。また、そうしたことをどこで習えばいいのかも知りませんでしたので、教えて頂いたことに感激いたしました。

 

もし、ご興味のある方は、あるいは新人研修をしたい法人などは、こちらの講習に参加するといいかと思います。

 

最近おかしなお辞儀の仕方をするところが多くありますが、それは古来からの所作がちゃんと教えられていない、また教えられなくなったための無知に付け込まれているものです。私達日本人の多くがきちんとした所作を知り、覚えることで、こうしたつけ入られる隙を減らすことができますし、日常の所作にも自信が持てるようになると思います。(とはいえ1回だけの参加ではもう忘れてますが(T_T)・・・。)