「アウター、君、泣いているの?」
「ごめんなさい。ちょっと油断してしまいました」
照子。こんな街もういいよ。こんな悲しいことしかない街のことなんてどうでもいい。あなたが命をかけて守る必要なんてないよ。あんなにボロボロになって、、私、もうあなたのあんな姿見たくない。
見たくないの、照子。
クロノスの指が私の顔に触れる。優しい仕草で涙の跡を隠してくれた。
「僕は自分のできることを探してみることにするよ。今のままじゃ、主に会わせる顔がないからね」
「そう、、。わかりました。皆には私から話しておきます」
ニコッとクロノスは笑う。そして彼は私の前から姿を消した。
私は外の様子をうかがうため、意識を体から巨大な『泥』の中に移動させる。
『失礼します、オベリスク。現在の状況はいかがでしょうか?』
『アウターか。順調だよ。すでに街の中心にも変化が現れている』
『主の復活と共に街の機能は回復させてよろしいのですよね』
『構わないよ。元々、緊急の処置だったからね。主が目覚めたら住民の前に姿を見せるか聞いてもらいたい』
『そのことなんですが、主には私から色々と説明しなければならないことが多くあります。なので住民への説明はオベリスクにやっていただきたと考えているんですが、よろしいでしょうか?』
『、、、そうだね。わかった。君がそう言うなら、そうしよう』
『ありがとうございます、オベリスク』
『アウター』
『なんでしょう?』
『何かあったのかい?君の顔は、泣いているように見えるけど』
『そうですね。私、なんで泣いているんでしょうね?』
『誰か楽園に行くように指示を出そうか?ミレニアムがいいかな』
『いえ、ミレニアムにはランクS対象者の監視をしてもらっています』
『そうなのか。では誰がよいだろう?』
『誰も必要ありませんよ、オベリスク。今は一人ですが、すぐに主が復活なさいますから、さみしくはありません』
『、、アウター、あまり無理はしないように。君は少し問題を一人で抱え込む悪い癖がある。もっと私たちを頼ってくれていいんだよ』
『そうですね、主が復活なされた後は、そうさせてもらいます。ではこれで失礼します』
オベリスクとの通信を終了させる。
次はムーンライトに連絡をとる。
『ムーンライト。外の様子はどうでしょうか?』
『アウター。そうですね、今の所、異常はありません』
『ランクS対象者はどうですか?』
『雨森希にはミレニアム、夜凪祭にはネメシス、空木夜雨には私が、そしてマリアフローズンにはアダムが、それぞれ監視任務についています。何か不審な動きがあれば、すぐアウターに報告がいくはずです。私が監視している空木夜雨についてですが、彼は今、地下鉄の駅にいます。シェレターに避難しようとしたんでしょうね。しかし入口が閉まっていたので、今はご友人と何かお話ししながら時間を潰しているようです』
『わかりました。ムーンライト、もうすぐ儀式が終了します。街の機能も回復しますが、しばらくはそのまま監視を続けてください』
『それはなぜですか?できれば私はすぐにでも主のお顔を拝見したいのですが、、』
『主には私から主が沈黙していた100年の間に何がおこったのかを説明しなければなりませんし、それに主にも皆に再開する前に気持ちを整理する時間が必要かと思います』
『、、、そうですか。わかりました。任務を続けます』
『よろしくお願いします』
そう言って、ムーンライトとの通信を終了させた。