2011年/アメリカ/97分
監督:トニー・ケイ
出演:エイドリアン・ブロディ、クリスティナ・ヘンドリックス、ルーシー・リュー、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ジェームズ・カーン、他
おすすめ度(5点中) → 3.7点
――― あらすじ ―――――――
高校の代理英語教師として赴任したヘンリーは、校長のキャロルから“荒れた学校”について現状報告を受ける。早速洗礼を受けるも、動じないヘンリーはきっかりと授業を始める。舐められる教師、教育に無関心あるいは過干渉な親、そして教員たちのストレスと、問題だらけの学校は閉鎖を言い渡されてしまう。また、どうやらヘンリーは家庭に暗い過去を持っているようだ。ある日、ヘンリーは売春を行う少女エリカと出会う。彼女との出会いをきっかけに、ヘンリーにも変化が出始めるのだが…。(allcinemaより)
――― 感想 ―――――――
荒れ果てた高校にエイドリアン・ブロディ教師が臨時でやってくる話。おセンチです。めっちゃ暗いです。
▲荒れ果てた高校に臨時教師としてやってきたヘンリー。
▲初日からイカツイ生徒の歓迎を受けるが、ヘンリーはサラッとかわし淡々と授業をすすめていく。
いかにも何か抱えていそうなヘンリーですが、中盤以降相当なトラウマを持っていることが描かれます。
出てくる生徒も、ふさぎ込んでいるもの、未来のことをまったく考えていないもの、動物虐待するものなどとかなりクセがあるし、そいつらの親もなんでも学校のせいにするし、それを受け止める先生たちの精神も限界ギリギリになっている。
それらを過剰な演出ではなく、黒板にチョークで描いたイラストとかを挟みつつ情感豊かに紡いでいきます。で、音楽がまた暗いんだなw。
▲ある日、ヘンリーは街で売春をしている少女を家においてやることになる。
ヘンリーは彼女を家においてやるばかりか、HIVの検査を受けさせたりと、とにかく紳士。少女はやがてヘンリーを好きになり、ご飯を作ったりするようになる。
▲生徒のなかにもヘンリーを頼るものが出てくる。
▲芸術を志す生徒がヘンリーのことを描いた絵。顔のない先生が、誰もいない教室で教えている。
無関心で自分のことも語らないヘンリーという先生を捉えた画だが、実際のヘンリーは教育者としてものすごく真面目な精神をもっている。
終盤、ヘンリーのとったちょっとした行動が引き金となり、生徒が自殺してしまうシーンがある。生徒が人生に希望を失わないようにしてやるのが教師の務め。この映画にはそんなテーマがある。
▲介護施設にいるお祖父さんもヘンリーの過去に一枚かんでいる。
夜中に騒ぎ出したお祖父さんに手が付けられず、職員がヘンリーを呼び出すシーンがある。ヘンリーは職員に向かって、テキトーな仕事をしてるんじゃない!職務を果たせ!と叱るシーンがあるんですけど、ちょっとシビれてしまうシーンでしたね。
最終的にヘンリーが赴任したこの学校は廃校になってしまいます。学力の低下→学校の荒廃→地価の下落と人口の減少。映画の途中で学校の価値と不動産をからめる話が一瞬出てきますが、かなり重要なテーマだと思いました。荒れた学校はそのままサヨナラ。ダメなのは潰す。そんな精神が蔓延しているんですかね。病んだ社会です。
いや~それにしても暗い。
トニー・ケイという監督に聞き覚えがなかったんですけど、なんとあの「アメリカン・ヒストリーX」の監督でした。アメリカの社会を真剣に考えているその姿勢は変わっていないんだなーと感じました。