グランド・ブダペスト・ホテル | 記憶のための映画メモ

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大好きな映画も数日で忘れてしまう我が記憶力。
ユルユルの脳味噌に喝を入れるための映画ブログです。

グランド・ブダペスト・ホテル


2013年/イギリス・ドイツ/100分
監督:ウェス・アンダーソン
出演:レイフ・ファインズ、トニー・レヴォロリ、F・マーレイ・エイブラハム、シアーシャ・ローナン、エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー、マチュー・アマルリック、ティルダ・スウィントン、他
おすすめ度(5点中) → 3.7


――― あらすじ ―――――――
1932年。グランド・ブダペスト・ホテルは、“伝説のコンシェルジュ”と呼ばれるグスタヴ・Hの完璧なおもてなしが評判で、彼目当てのエレガントな客で溢れかえるヨーロッパ随一の超高級ホテル。そこでベルボーイ見習いとして働くことになったのが移民の少年ゼロ・ムスタファ。グスタヴの指示を忠実にこなし、少しずつ信頼を獲得していく。そんなある日、グスタヴと懇意の間柄だった富豪の常連客マダムDが殺害され、遺言で名画“少年と林檎”がグスタヴに贈られることに。しかしグスタヴには殺人の嫌疑がかけられ、おまけに絵を取り戻そうとマダムDの息子ドミトリーの刺客も迫ってくる。そんな中、グスタヴとゼロはコンシェルジュ仲間やゼロの婚約者アガサの力を借りて逃亡を続けつつ、事件の謎を解明すべくヨーロッパ中を駆け巡るのだったが…。(allcinemaより)


―――  感想  ―――――――
僕はウェス・アンダーソン監督が苦手だなって思っていて、「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」以来ずーっと敬遠していたんですね。でも、10年以上ぶりに彼の作品を今回観たわけですが…、これがけっこう面白かったんですよね。


この映画、導入の入れ子構造がすごくて…

①ある少女が銅像になっている作家のところへ行ったら→②生前のその作家が「作品のネタ元については、他人がすすんで披露してくれるお話からインスパイアされるんだ(^~^)ンフフ」みたいなことを言ってて

→③その作家が若い頃訪れたグランド・ブダペスト・ホテルで出会ったムスタファという富豪がいかにしてグランド・ブダペスト・ホテルを手にするに至ったかを作家に話し始めて→④やっとムスタファの回想である本編がスタート!こうして若きムスタファがベルボーイの見習いとして働きだし、グランド・ブタペスト・ホテルのコンシェルジュであるグスタヴと繰り広げた一騒動が描かれます。


▲ムスタファ(左)が若き作家(右)に昔話を始めましたとさ…。それがこの映画の本編なり!


わざわざこんな入れ子構造にしたのは、終盤で色濃くなる反戦へのメッセージ性をより強めるためだと思います。そこには語り伝えることの大切さが垣間見えるような気がしてなりません。


で、この映画は役者が豪華!この人こんな役やるんだwってだけで劇場内は笑いが起きていましたよ。


▲伝説のコンシェルジュであるグスタフ。ホテルには彼を慕い老いた婦人が通ってくる。彼は彼女たちに対し性サービスも含めたおもてなしをしていました。


▲ここで、ロビーボーイの見習いとして働き始めたゼロ・ムスタファ(左)。グスタヴと彼の交流が始まります。


▲ある時、懇意にしていたマダムDが殺害されます。最近のティルダ・スウィントンはどうしたのだろう(笑)。なんだこの婆さんはw。


彼女はグスタヴに“少年と林檎”という名画を譲ることを遺言に残していたから、さぁ大変。マダムDの息子ドミトリーはその名画を奪い返そうと殺し屋を送ってくるし、マダムDの殺害容疑でグスタヴは逮捕されてしまうことに。


▲ドミトリー(真ん中)と殺し屋のジョプリング(左)


収監されたグスタヴは何とか脱走を図り、逃げながらもムスタファと事件の真相を突き止めようとするんです。逃げる時には各地のコンシェルジュ仲間が彼を助けるために色々と手助けしてくれるんですが、コンシェルジュ同士の“電話連絡網”の描写はいちいちユーモラスでした。


ユーモアといえば、グスタヴとムスタファがソリに乗って、スキーで滑走するジョプリングを追いかけるシーンがあるんですが、なんだかすごい間の抜けた映像で(でもスピード感はあって)、だんだん可笑しくなって、とうとう大笑いしてしまいましたよ。


▲ムスタファとアガサの可愛らしい恋愛模様も描かれます。

シアーシャ・ローナンの可愛さが犯罪レベルだと思うのは僕だけでしょうか。

戦争という状況下でも自分の強い意思で正しいことをしようとするグスタヴの姿勢が、終盤になるころに心に響いてきます。偶然かもしれませんが、今作の可愛らしい映像美は逆説的な意味合いでも効果的だったと思います。


実はとても味わい深い映画でした。