2013年/アメリカ/153分
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホール、マリア・ベロ、テレンス・ハワード、ヴィオラ・デイヴィス、メリッサ・レオ、ポール・ダノ、他
おすすめ度(5点中) → 4.0点
――― あらすじ ―――――――
ペンシルヴェニア州ののどかな田舎町。感謝祭の日、工務店を営むケラーの6歳になる愛娘が、隣人の娘と一緒に忽然と姿を消してしまう。警察は現場近くで目撃された怪しげなRV車を手がかりに、乗っていた青年アレックスを逮捕する。しかしアレックスは10歳程度の知能しかなく、まともな証言も得られないまま釈放の期限を迎えてしまう。一向に進展を見せない捜査に、ケラーは指揮を執るロキ刑事への不満を募らせる。そして自ら娘の居場所を聞き出すべく、ついにアレックスの監禁という暴挙に出てしまうケラーだったが…。(allcinemaより)
――― 感想 ―――――――
「灼熱の魂 」の驚く展開が記憶に新しいドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の最新作。めっちゃ丁寧なつくりなのは言うまでもなく、バラバラのパーツがつなぎ合うストーリーテリングは、やはり匠の技だなーと唸りました。すごいよ!
ケラー一家の娘が、隣人の娘とともに姿を消してしまう。それはちょうどケラー一家が、その隣人の家に家族全員で遊びにきたときのことだった。
▲肩車してもらっている娘さんが、行方不明に。
警察は近くにいた怪しいRV車に乗っていたアレックスという青年を容疑者として逮捕する。しかしアレックスは10歳程度の知能しかなく、証言をまともに得ることはできないのだった。
▲容疑者として拘束されたアレックス。
証拠は不十分。アレックスは釈放されるのだった。しかし、ケラーはこのことに納得がいかず、アレックスは絶対に何かを知っているはずだと、独自で行動を起こすようになる。
▲アレックスが重大な手がかりを持っているに違いない!とケリーはアレックスを脅す。
▲警察はそんなケリーを止めようとするのだが、警察があてにならないと思ったケリーは徐々に暴走。
どーでもいーけど、警察役のジェイク・ギレンホールは、デザート並の画ヅラですw。
果たして、ケリーはアレックスを監禁。娘のことを白状させるため、暴行をくわえ続けるのだった。
この監禁には、同じタイミングで娘を誘拐された隣人バーチ一家の主フランクリンも共犯として加わるのだが、怪しいというだけで監禁・暴行を行うケリーのやり方にフランクリンは及び腰。
▲過激なケリーとそんな彼にビビりながらも協力するフランクリン。
この映画、人物の対比を個々人の行動の差でしっかりと描き分けています。同じ監禁を行うにしても、ケリーとフランクリンでは明らかにスタンスが違うし、まともな精神を持つフランクリンは監禁を隠し切れない。同じように、娘を探すという目的において、冷静に捜査を進める警察と常軌を逸脱していくケリーは明らかに対照的な存在としての配置に思うし、その手法は堅実で素敵だなーと。
▲誘拐という事件が、こうも人間個々人の差を浮き彫りにしてしまうのか。
▲アレックスにだって、血のつながりはないけど保護者がいるんです
映画は散らばった伏線がみごとに回収されていきとても快感!しかし内容は重たく、謎解きモードの脳と相まって体力を奪われます(笑)。で、ケラーがアレックスを監禁・暴行しているのは明らかに犯罪でありながらも、その行為がなければ事件は解決の糸口を見つけなかったと思わせるところもまた何とも言えない。抑えがきいたラストも非常に好み。さらに田舎という舞台ならではの恐怖も十分に感じます。