そこのみにて光輝く | 記憶のための映画メモ

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こんにちは!
大好きな映画も数日で忘れてしまう我が記憶力。
ユルユルの脳味噌に喝を入れるための映画ブログです。


そこのみにて光輝く


2013年/日本/120分
監督:呉美保
出演:綾野剛、池脇千鶴、菅田将暉、高橋和也、火野正平、伊佐山ひろ子、田村泰二郎、他
おすすめ度(5点中) → 3.9


――― あらすじ ―――――――
短い北の夏。ある出来事をきっかけに仕事を辞めてしまい、無為な毎日を過ごす男、佐藤達夫。ある日、パチンコ屋でひとりの青年、大城拓児と知り合う。彼は前科者でチンピラ風情ながら無垢で憎めない奴だった。そんな拓児は海辺に建つ粗末なバラックに家族と暮らしていた。そこで拓児の姉、千夏と運命的な出会いを果たす達夫。しかし千夏は家族を守るために自らの人生を諦め、絶望の中に生きていた。(allcinemaより)


―――  感想  ―――――――

鑑賞からかなり時間がたちましたが、簡単に感想を残しておきます。物語の舞台となる街のスケールがちゃんと伝わってくる感じとか、ちょっと不穏な空気が続く感じとか、とても好きでしたよ。


▲冒頭、主人公達夫のだらしない裸体を映すところからとても良い。タバコの灰が畳に落ちていたりして、この男の気力が完全にぬけているのが、これだけで分かるのがいいですね。


▲達夫が知り合った拓児が乗り回している赤い自転車は最高!

徒歩の達夫と、自転車に乗った拓児のカットが何回も出てきますが、徒歩と自転車が並ぶとこーなるよなーって画ヅラがハマりすぎていて唸りましたよ(自転車の拓児の方がはやいから、歩いている達夫のまわりをグルグルと行ったり来たりする感じがね)。拓児の頭が悪くて人懐っこいキャラがとてもイキイキとしていて、「達夫達夫」といいながら自転車をバタバタ上下に動かすのとかも素晴らしいし、これだけで拓児が貧乏でこの自転車をずーっと乗っているのが分かるってのも申し分ない。

上映終了後に、高橋ヨシキさんと松江哲明監督のトークイベントがあったんですが、「拓児がまずそうなものを、美味しそうに食べるのがいいよね」って言ってて、たしかに!って頷いたりもしましたね。


▲達夫と出会う拓児の姉・千夏も、これまた肉付き具合とかが何ともいえない。


▲千夏にべったりくっついている街の実力者を演じた高橋和也の鬼畜っぷりは絶品。

この男は千夏と不倫をしているのだが、拓児の仮出所をエサに千夏を自分のものにしているんですね。しかも街のみんなに顔がきくという、あるある感が何ともいえないです。ちなみに彼が言う「家族を愛しているからおかしくなる」というのは名言だなーと思ったり。


▲楽しそうなカットがある一方でずーっと不穏なものを感じるのもいいですね。


そういえば、拓児と千夏の家には、痴呆症(なのかな)の父親がいて、彼の性処理を母親がしているのとか、んん~と辛い気持ちになりながらも、然もありなんと思いました。


最後はタイトルが見事にハマるショットでエンディング。一筋の光が感じられる味わい深いラストでした。