1973年/日本/99分
監督:深作欣二
出演:菅原文太 松方弘樹、梅宮辰夫、金子信雄、田中邦衛、伊吹吾郎、渡瀬恒彦、三上真一郎、川地民夫、曽根晴美、他
おすすめ度(5点中) → 4.2点
――― あらすじ ―――――――
敗戦直後の広島・呉。復員してきた広能はその度胸ときっぷの良さを買われ、山守組の一員に。それを機に、弱小勢力だった山守組は組織を拡大、ついには他組織との全面抗争へと発展していく……。(allcinemaより)
――― 感想 ―――――――
バラエティ番組で任侠シーンになると必ず流れるアノ曲。誰でも知っているアノ曲。
改めて考えてみると、この映画の社会への影響力は凄まじいものがありますね。
僕は外国のギャング映画を観て大喜びしても、リアリティの面では正直よく分かっていません。
日本で育ったからこそ分かるっていう邦画の面白さってきっと今作のようなものなんでしょうね~。
なにより人物描写が素晴らしい。
それぞれの登場人物の立ち位置を明確にしているので、行動の原動力がなんなのかハッキリ分かる。
銃は性器の象徴だとか、宇宙ロケットは精子をバラマキたい男の本能の現れだとか、
そんな比喩的なメッセージも一切ない。本当に骨太だなーと感心する。
▲巧みに修羅場を避けながらのし上がるものもいる(敗者あってこその自動繰り上げですが)。
▲しまいには、長い付き合いの友までもが信じられなくなる。
鳥が鳴いたみたいな嬌声をあげる松方兄貴がおかしいw。
▲ウソ泣きを必殺技とする親分のせいで、いったい何人の命が消えてしまったことか。
一般社会からしてみたら別次元のヤクザ社会でも、人間同士の争いは似たようなもの。
明らかに違うのは、理想の違いがそのまま生死の境目になることですよね。
▲なれ合いなのか、だまし合いなのか、結局なにがしたいのか。
そんなモヤモヤの全てに突き付けられた主人公・広能の銃口!めちゃくちゃカッコいい!!
映画という創作物とはいえ、
この映画を学校の社会の授業で流したら面白いだろうな(無理ですけど)。
アメリカ兵に襲われていた娼婦を助けてあげたら、
その娼婦は数日後になにくわぬ顔で別のアメリカ軍と寝床に行こうとしていました。
冒頭でそんなシーンがありますが、
自国の置かれた状況と、己の無力感を知る素晴らしい描写だと思いました。
これは明らかに社会学の一端でもあると思うんですがね。
そーいえば、義務教育って音楽の授業はあるのに、映画の授業はないね。なぜゆえに~?
どーでもいいんだけど、僕いっかい菅原文太をナマで見たことあるんですけどね、
たまたま黒スーツの人が両隣に2人いて、超怖かったっす(っていう自慢話です(`∀´)テヘッ)。