エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE | 記憶のための映画メモ

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こんにちは!
大好きな映画も数日で忘れてしまう我が記憶力。
ユルユルの脳味噌に喝を入れるための映画ブログです。

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エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE


2010年/ブラジル/115分
監督:ジョゼ・パヂーリャ
出演:ヴァグネル・モーラ、アンドレ・ハミロ、イランヂール・サントス、ペドロ・ヴァン=エウド、他
おすすめ度(5点中) → 4.1点 


――― あらすじ ―――――――
南米一の犯罪都市リオ・デ・ジャネイロ。この街では毎日のようにギャングと軍警察との攻防が繰り広げられていた。刑務所暴動事件で失態を犯し、特殊部隊BOPEから保安局へと左遷されたナシメントは、タンキ地区の警察署から盗まれた銃の行方を追っていたが……。


―――  感想  ―――――――
前作と同じ115分という長さは狙いなのかな?前作では特殊部隊BOPEのハードな側面を中心に描いていましたが、今回はより政治的に内部の腐敗とそれにまつわるドラマを中心に展開します。結果としてスゲェ面白かった!ですね。


前回に引き続き超犯罪都市のリオ・デ・ジャネイロ。街ではギャングと郡警察の攻防戦が続いていた。

ある時、刑務所で暴動が起きる。警察のエリート組織である特殊部隊BOPEのナシメントは鎮圧に向かうのだった。


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▲刑務所で暴動がっ!刑務所内は複数のギャングの巣窟になっており、勢力争いによる血みどろの戦いが起こったのだった。檻の中なんだから大人しくしててほしいですね(笑)。


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▲鎮圧に向かうは我らがBOPEの鬼・ナシメント中佐(前回は大佐だった気が……)

ある程度ギャング同士で殺し合わせてから鎮圧しようという姿勢に、非情なものを感じますね。

ちなみにギャングを一掃してくれるっていうので国民からの指示は熱い。


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▲そこに現れたのが左翼で人道派のフラガ(左)。ギャングを殺すんじゃないっ!とナシメントに詰め寄る。

彼はギャングを説得にかかるのです。


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▲しかし、フラガの説得も空しく、鎮圧のタイミングを誤ったBOPEは、ギャングたちを撃ち殺してしまう。

鎮圧には成功したが、人道派のフラガがそのことを放っておくわけがなく、BOPEは糾弾され

ナシメントは責任をとって、BOPEから公安に異動になってしまうのだった。


ハイ、この序盤戦だけでかなり盛り上がります。

前作でBOPEに入隊した黒人のマチアスが逞しく成長しているのが嬉しいですね。

ただ、逞しすぎて若いころのナシメントに似てきているところに、監督の狙いを感じますね~。

今作は娯楽大作に寄っていた前作を突き放したリアル志向なところがあるんですよね~。それが素晴らしいんです!


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▲政治に利用され、ギャング一掃のためBOPEは拡大。街のギャングたちをどんどんやっつけていく。


これにより犯罪は激減するが、結果“悪いお金”が流動しなくなり、その甘い汁を吸っていた輩は困ってしまうんですね。さらに、人道派のフラガも勢力を持ち始め、物語は三つ巴の権力抗争に発展していくんです。しかもドロドロ具合をちゃんと描けているんで、この監督凄いなーって感心してしまいますね。


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▲甘い汁を吸っていた代表格は警察なわけで……。

麻薬の売り上げがカラッキシになったギャングたちは警察にみかじめ料を払えなくなるんです。

そしたら、警察側はギャングと縁を切り(殺し)、独自に儲けを生む流れを生み出していくんです。

結果、住民は警察に搾取されるようになっていくんです。


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▲警察が行っていることはギャングと同じ。

環境によって人は変わっていくというパート1の語りが今更になって響いてくるなんて、、、上手すぎる!


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▲しかしながら、そんな警察を裏で動かすもっと悪い奴がいるわけで、コイツら三人、本当にムカつくんです。

でも、悪い人の魅力っていうのもある程度体現していて、それは見事だな、と。
そんなコイツらは、国民の関心を自分たちに集めるために、詐欺まがいの茶番劇を繰り広げるんですね。

タンキ地区っていうところの警察を急襲して、銃を盗み出すんです。で、それをギャングがやったかのように

演出するんですよ。ムキー(`ε´)。そしてその後、堂々とギャングたちを懲らしめ世評を自分たちに向けるわけなんですね。


んで、我らが主役のナシメントはその事件を調査するわけなんです。そしてどんどんブラジルの暗黒に足を踏み入れていき……って感じですね!


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▲真相を知ろうとするものは、こうなるのだっ!強姦されたあとに丸焼きにされ、歯を抜かれて捨てられるという。


今作ではBOPEはほとんど登場しませんが、最後の銃撃戦でBOPEをもってくるあたりが、とってもスカっとしましたね。最終的に法廷で証言をするナシメントは、BOPEという存在自体を否定し、ブラジルという国そのものに問題提起して物語は終わります。一つの権力が終わり、次の権力へと移行するシーンも1カットで描いており、何気にどんよりなこのエンドブロックは大好きですね!!


まとまっていませんが、とにかく面白かった!

パート1を観たうえで鑑賞しないと良さが伝わってこないので、ご覧になるかたは2本続けて観ることをおすすめします。