ラダック・インド紀① 町は変われど人は変わらず | 世界一周行ってきます!と果たして言う事ができるのだろうか
インド上陸3回目にして、首都・ニューデリーの町は初めてだった。なぜならば…


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インディラ・ガンジー国際空港に降り立ったぼくは、少し緊張していた。


思い出すのは9年前、初めてインドに着いたとき、この場所でタクシーを拾い、ニューデリーの町へ出ようとした。


しかし、タクシーは何故だか小綺麗な旅行代理店に横付けすると、待ち構えていたようにスーツをきめたインド人がでてきた。

そして、強制的に次の町アグラーまで、法外な値段で連れていかれたのだった。


そうそう、その時、ニューデリーの町には「オバマ大統領が来てるから厳重体制」という理由で入れなかったのだった(もちろん嘘。オバマが来ていたのは本当)。




そんな、曰く付きの町、ニューデリー。

今回、ぼくはここで一泊しなければならなかった。




しかし、インド好きの友人が言うには、「ニューデリーは変わった」のだそうだ。

近代化の波がついにきたそうな。



まあ、変わったも何も、ビフォーを知らないのでよくわからないのだが、とにかく心配しなくていいという。




事実、空港を出たぼくは驚いたのだった。


あれほどいた、タクシーの客引きが全くいないのである。


そして、ニューデリーの町へは、メトロで行けるらしいのだ。



安心安全の公共交通機関!



インドやるなあ。

と感じるとともに、あの9年前の旅行代理店は潰れてしまったのかなあ、と、いささか寂しく思う。騙した相手を心配する余裕さえ出てきたのだ。

ちなみに、当時はあのようなニセ旅行代理店がたくさんあった。






30分後。

それは無駄な心配だと知ることとなる。



メトロに乗りニューデリーについたぼくは、5歩歩いただけで、にこやかなインド人に捕まった。


「やあ、フレンド」



というと、どこに行くのか?と聞いてきた。

ぼくは、この友好的で紳士的なインドの首都ニューデリーの都会人にすっかり心を許して、



「●●ホテルを探してるんです。」


と、答えた。すると、


「ふむ。そのホテルがあるあたりは、今日は許可証が必要だな。4日後が独立記念日というのは知っているだろ?」

たしかに4日後はインドの独立記念日。
それにしても前回はオバマ大統領で今回は独立記念日。

それでも、ぼくは、実はちょっと信じた。




え?許可証?そんなの持ってないですよ。困ったなあ。



「大丈夫、ぼくが紹介するトゥクトゥクに乗れば、許可証が貰えるオフィスに簡単に着くから。」

オフィス…オフィス?


ありがとうございます!なんていうオフィスなんですか?


「確か写真があったな。うん。ここだ。」


といってスマホを取り出すと、ある写真を画面に表示した。




わお!9年前に騙されたのと同じような旅行代理店!!まだあったんだ!!心配して損したな!

やけに小綺麗な旅行代理店のオフィスが、そこには写っていた。





まあ、ノーサンキューです。


ぼくは再び歩き出すと、インド人紳士はまだごちゃごちゃ言ってくるようだったから、走った。




走って、走って、走って、息が切れて、立ち止まったところで、別のインド人に話しかけられた。




「ところでフレンド。ここから先に行くには許可証が必要だよ。なんたって4日後は独立記念日…」




インド。


急には変わらないか。



ちなみに、ホテルにはもちろん許可証なしで行くことができましたとさ。