皆さんは浮世絵は好きですか?
教科書では見たことがあるけど、わざわざ美術館に見に行くことはないかなって方が多いと思います。
そこで今回は、浮世絵の個性や面白さを語っていきます。
この記事を機に浮世絵に興味を持ってもらえたら嬉しいです!
浮世絵って何が面白い?
それは西洋画の陰影や遠近法を用いた写実的な表現とはかけ離れた、 斬新な構図と 輪郭線による表現 、ベロ藍(ベルリン藍)に代表される鮮やかな色彩だと私は思います。
《東海道五十三次之内 藤澤》歌川広重
手前に見える江ノ島弁財天の鳥居をくぐり、境川を越えると江ノ島が見えます。
輪郭線を用いて被写体が描写され、空は黄色から赤へと移り変わるグラデーションと自由で独創的な色使いがされていますね。川にはベロ藍が用いられ、とても鮮やか!
そして、幾何学遠近法ではなく平行遠近法が用いられ、対象に焦点を絞る描き方が大胆ですね!近景を大胆に描き、遠景と対比させる構図が威風堂々としています。
幾何学遠近法とは、遠くの物体は小さく描かれ平行線が無限遠で一点に収束する西洋画の技法。
平行遠近法とは日本の伝統的表現方法で、遠くにある物体は上方に描かれ、奥行き方向の線が平行のまま描かれる技法です。
なんだ、これは⁉ジャポニスムの始まり
実を言うと、浮世絵は当時では高価なものではありませんでした。
一枚およそ20文。二八蕎麦一杯が16文であることを考えれば、現在では1000円前後なので今でいうポスターと同じ感覚ですね!
浮世絵は観賞用ではあったのですが、輸出される陶器の緩衝材としても用いられていたのです。
この時包装紙として使われていた『北斎漫画』のユーモアや完成度がヨーロッパの画家たちの目にとまり、他の美術工芸品と共に熱狂的な収取ブームジャポネズリー(日本趣味)が起こります。
そしてなんと、1867年パリ万国博覧会に浮世絵が出品されるほどまでに広まっていくことになるのです。
前述したとおり、西洋画とは全く異なる描写がされる浮世絵。
新しい表現法としてゴッホやモネ、ドガといった印象派の画家たちが影響を受けて真似をしました。
これをジャポニスム(日本様式)と呼び、その中でも今回は線を用いた表現、特に雨についてまとめていきたいと思います。
《ラ・ジャポネーズ》クロード・モネ
その発想はなかった!
西洋画では今までどのように雨を表現していたのか
実は雨そのものを描いたものはなかったんです!
例えば、ターナーの《雨、蒸気、速度―グレート・ウェスタン鉄道》
横殴りの雨が降り、霧が一面に立ちこめる中で蒸気機関車が力強く走る様子が描かれていますが、雨をはっきりとは表現していません。
《Rain, Steam, and Speed – The Great Western Railway 》Joseph Mallord William Turner
コローの描く《突風》は強風にあおられる木々を被写体にしています。空には湿気が感じられますね。
《突風》ジャン=バティスト・カミーユ・コロー
それに対して浮世絵では雨そのものを線で表現しています。
《名所江戸百景 大はしあたけの夕立》歌川広重
この表現はゴッホも真似していますね。
《Bridge in the rain, after Hiroshige》Vincent van Gogh
しかしながら、オリジナルと比べるとゴッホ自身による工夫も見られます。
広重が橋脚を単色で描いたのに対して、様々な色を用いることによって陰影をつけて立体感が出ています。
隅田川に関しても浮世絵が木目によって水面のように見えるところを、白や緑、青など様々な色で濃淡つけている点はさすが印象派といえるでしょう。
遠くの空もオリジナルでは暗く描かれ手前の対象物を引き立たせていますが、ゴッホは明るく描いているために手前に来るほど暗くなり風景の奥行きが出ていますね。
よほど感銘したのでしょう。後にゴッホは雨を線で描くことを研究していくことになります。
《Auvers in the Rain》Vincent van Gogh
さいごに-次回のテーマ
ここまでいかがだったでしょうか。
浮世絵の見方や影響をお伝えできたでしょうか?
今後は浮世絵の雨の描き方の工夫や影響を受けた西洋画についてさらに掘り下げていきたいと思います!
続き↓
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