何の因果か、急に思い立って、2019年の9月、51歳の時に、生まれて初めて香港を訪れてから、2年半余りの歳月が過ぎました。当時、香港では、特別行政区政府が、いわゆる逃亡犯条例の改正を進めていて、それへの反対をきっかけとして、何度目かの大規模な民主化運動が展開されていました。
お恥ずかしい話ですが、大昔、若い時に、香港への(蜜月)旅行を検討したことがあったのですが、諸般の事情により、訪れずじまい。その際、香港について、少し調べただけ。なので、訪れる前に、香港に関し知っていたことは、ほんの僅か。「新しい空港は、ダウンタウンから、随分遠いなぁ」ぐらい。香港人に対する印象も、「商売に長けた、利にさとい人々」や、「雑踏の中で、携帯電話を使って大声で通話する、せわしい人々」といった感じ。
余談ですが、上述の逃亡犯条例の改正案の骨子は、「重い罪を犯した後に高飛びした」とされる人を、犯罪地の司法当局に引き渡すことを可能にすることです。骨子自体に問題は全く無い、僕は、今も、そう認識しています。
問題のある条文が、改正案の中に盛り込まれているのであれば、その条文に関し、徹底的に法律論争をすべきですが、そのような法律論争を、大手マスコミの報道の中で見かけることはなかったと、記憶しています。
当時、僕は気になって、香港特別行政區立法會(LegCo)のウェブサイトの法令データベースに当たって、調べてみました。が、「高飛びしたとされる人を、犯罪地以外の地域、例えば、北京の司法当局に引き渡すことを可能にする」条文を見付けることは、できませんでした。もちろん、素人故、僕の見落としが原因かもしれませんが。
更に余談ですが、2019年の民主化運動では、「五大要求」というものがを掲げられていましたが、「戦略的でないことが悲しい」と、僕は感じました。「この状況で、五つの要求を横並びにしたら、虻蜂取らずになる。要求の優先順位を明確にして、要求を一つに絞るべき(それが達成されたら、次の要求を掲げる)」というのが、僕の考えです。
実際に香港を訪れ、僅かな時間ではありましたが、あちこち歩き回ってみて、また、その後、香港について、色々と調べてみて、「香港は、電力源だけでなく電力、それに、水を、自給していない(=香港以外の地域にある発電所や水源に、依存している)。この時点で、勝負はあった」と、考えるようになりました。
このことは、国防(先の大戦後の流行り言葉で申し上げると、安全保障)を考える上で、とても重要なことであると、僕は思っています。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則