神嘗祭(かんなめさい)は、「年間1500回に及ぶ(伊勢の)神宮の恒例のお祭りの中で、最も重要なお祭りである」ことが、神宮のウェブサイトに記されています。
また、天皇陛下が、毎年、10月17日の朝、神嘉殿(しんかでん)において伊勢の神宮をご遙拝(ようはい)になられた後、天皇皇后両陛下が、賢所(かしこどころ)に新穀をお供えになって神恩に感謝する宮中祭祀、神嘗祭賢所の儀が、重要な祭祀であることは、私のような者が、改めて申し上げるまでもございません。
当初、本年の3月15日(日)に予定されていた「故中曽根康弘」内閣・自由民主党合同葬儀が、毎年、神嘗祭賢所の儀が執り行われます10月17日、まさにその日に延期され行われたこと、そして、この葬儀のために必要な経費の一部が、主に税金を原資とする公金で支払われたことなどが、マスコミで取り上げられていました。
より具体的に申し上げれば、この公金の使用は、9月25日の閣議決定に基づいて、あろうことか、一般会計の予備費が使われたとのこと。
公務員が公金を使用して仕事をする時は、近代国家として当たり前過ぎることですが、前もって、予算を成立させなければなりません。そして、公務員の仕事の内容や進め方に関し、人々の意見が大きく分かれるような事柄があれば、前もって、公務員の仕事の内容や進め方に関する法律を成立させなければなりません。公平な予算を成立させることと、公平な法律を成立させること。この二つのみが、国会議員の仕事でしょう。
国家財政における予備費とは、財政法24条によれば、「内閣が、予見し難い予算の不足に充てるために、予算に計上する項目」のことです。本年の6月12日に、直近の補正予算が成立した後に、「予見し難い予算の不足」が、あったのか。
そもそも、公務員であった中曽根氏の葬儀費用を盛り込んだ予算が成立済みであるならば、葬儀が延期されたら、諸々繰り越されるので、予備費に手を付けることは、明らかに、公金の不適切な使用でしょう。
「これこれの条件に合う元公務員の葬儀費用は、政令で定めるところにより、政府が負担する」のような条文が盛り込まれた法律がもしあり、中曽根氏がその条件に合うのなら、その法律に則って、やはり、現在執行中の予算の中に葬儀費用が盛り込まれているので、予備費に手を付けることは、同じく、公金の不適切な使用でしょう。
まぁ、公金の使い方にも、げんなりしましたが、例の「弔意の表明を求める通知」にも、げんなりしました。故人がどんな方であれ、「そんな通知が世に出回っていることが報道され、既に、そのことが多くの国民に知れ渡っている」ことを故人が知ったら、故人が浮かばれないと、思いました。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則