「ヘルメット、サングラス、マスクやタオルに、角材」で、何を連想されますでしょうか。70年安保でしょうか。東京大学の安田講堂でしょうか。浅間山荘でしょうか。成田空港でしょうか。世に問いたい意見をお持ちで、その意見を同胞に伝え、支持を得たいのであれば、まず、何をすべきでしょう。
もし、ヘルメットを被(かぶ)っておられるのであれば、そのヘルメットを脱ぎ、もし、濃い色のサングラスを掛けておられるのであれば、そのサングラスを外し、もし、マスクやタオルで口周りを覆(おお)っておられるのであれば、そのマスクやタオルを外し、もし、角材を手にされておられるのであれば、その角材を邪魔にならない所に仮置きして、意見を伝えたい相手方である同胞と対面し、己(おのれ)の名前を名乗った上で、相手方の理解できる言葉遣いで、心を込めて丁寧に、意見を伝えるべきでしょう。
ヘルメット、サングラス、マスクやタオルで、顔を隠す。そういう身なりで、ご自身の匿名性をしっかりと確保しながら、サングラス越しに周囲を見て、目の前の相手が、敵か味方か、機動隊か仲間か、もしくは、ノンポリ学生かを識別し、相手が敵であれば、角材で威嚇し攻撃する。それで、同胞の支持や支援を得ることができるでしょうか、できたのでしょうか。
僕も、昔からおっさんだったのではなく、若者と見做されていた時期を経て、今に至っているので、若者の真っすぐさ、直情さが羨ましいと感じます。が、同時に、真っすぐなだけでは、交渉ごとは前に進まず、政治的な運動(movement)が長期化すればするほど、結果的に、「分割して統治せよ(Divide and rule.)」で、激しい切り崩しに遭うこともあり、交渉を有利に運ぶには、一にも二にも、したたかさが大切であると、僕は思っています。
今回は、海外の時事(current affairs)から離れ、我が国の、僕よりも一回り上の世代の方々の政治史の一面について、思うところを書かせていただきました。
兵庫県姫路市にて
佐藤 政則
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