普通選挙を実施しないのに共和国だと名乗る、不条理(その1) | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

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 漢字文化は、大陸から伝来したものですが、日本で使われている漢字の中に、国字と呼ばれる、日本で作られた漢字、和製漢字があることは、確か、小学校で習いました。しかし、日本で作られた漢字熟語の中に、中国語圏に輸出され、中国語圏でも広く使われている漢字熟語が、沢山あることは、習わなかったように思います。
日本で作られた漢字熟語とは、国字のことではなく、和製の漢字熟語のことです。漢字ではなく、漢字の組み合わせを、日本人が新たに考えるなどして、作り出した熟語のことで、和製漢語と呼ばれています。

 なぜ、和製漢語が、中国語圏に輸出され、広く使われているのか。幕末以来、日本には、沢山の舶来品が入ってきました。外国から、物品だけではなく学問や芸術なども入ってきました。その際、新しく入ってきた物品や概念を、どう呼ぶか。21世紀の今は、あまり、いや、ほとんど頭を使わず、片仮名を使って音訳し、それも、結構、いい加減な音訳をして、事を済ませています。しかし、当時は、一つ一つ、じっくり意味を考え、それらの訳語として適切な漢字熟語を、中国の古典の中で求めたり、中国の古典の中になければ、独自で熟語を作り出すという、知的な格闘をしていたそうです。

 結果、日本人は、幕末以降、学ぶべき事柄が外国語で書かれていれば、英和辞書、独和辞書を、ボロボロになるまで使って、その吸収に努めて、近代化を急ぎました。そういう和製漢語が、今度は、近代化を模索するために日本に来ていた中国(当時は、清国・中華民国。中国という言葉が生まれるのは、もっと後です)からの留学生などによって、母国に伝えられ、広く使われるようになったそうです。

 "people"や"republic"の訳語である「人民」も「共和国」も、和製漢語です。中国語においても、日本語においても、短く、中国と呼ぶことが多いですが、その正式国名は、中華人民共和国。「えー、普通選挙を実施し、共和制の国、共和国であるのは、中華民国、台湾のほうじゃないの。どうなってるの」と思ってしまうのは、僕だけでしょうか。


神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則